お買物探偵団

金賞受賞・特選絹ごし(青梅市とうふ工房ゆう)。これは大豆のババロア?|からだに美味しいお取り寄せ(17)

出典:とうふ工房ゆう

 

今回は、豆腐ファンから絶大な支持を誇る名店の絶品豆腐を紹介します。

 

豆腐は薬膳において、潤いを与える効能が高い食材。乾燥肌、シワ対策に威力を発揮する「モイスチャー美容液」のようなパワーがあります。そしてからだの外も中もしっかり潤わせるので、呼吸器系トラブルや便秘にも役立ちます。また、解毒作用があり、二日酔いにもおすすめですよ。

 

 

出典:筆者にて作成(とうふ工房ゆうは、東京都青梅市に所在)

 

東京都の多摩西部地域に位置する青梅市。JR青梅駅から歩いて15分ほどの静かな住宅街にたたずむ「とうふ工房ゆう」。

 

じつは全国豆腐品評会で金賞を受賞、豆腐ファンから高い人気を誇り、数々のメディアに取り上げられている名店です。

 

 

出典:とうふ工房ゆう(とうふ工房ゆう。こだわりの豆腐は青梅市ふるさと納税でも人気)

 

「都内のみならず、全国各地から訪れるお客さまがいらっしゃいます」と語るのは、店主の大久保裕史さん。

 

出典:筆者にて撮影(大久保裕史さん。東大和市出身。青梅市に移住して、2016年にお店をオープン)

 

豆腐といえば「味のない白い物体」。そんなイメージをもつ人も多いかと思いますが初めて、ゆうの豆腐を食べたときに衝撃を受けました。

 

これまで食べたことのない豆腐」。

 

美味しい。けれど、美味しい豆腐の表現としてよくいわれる「なめらか、濃い」。これだけでは語りつくせない、味わい。

 

100個豆腐が並べられていても、たぶん、ゆうの豆腐はわかる。それくらい、心をわしづかみにする風味と食感。きっと誰もが「人生において忘れられない豆腐になる」といっても過言ではないくらいの味わいです。

 

 

厳選した大豆、常識を超えた「濃度」の豆乳を天然にがりで仕上げる

 

大久保さんは大学卒業後、自動車ディーラーに勤務していました。けれど、「いつかは独立して、自分で何か商売をはじめたい」と考えていたのだそうです。そのときに、思い浮かんだのが「豆腐」。

 

大久保さんの祖父は豆腐店を経営。子どものころから「大豆本来の味がする美味しい豆腐」に親しんで育ってきました。

 

大久保さんは「スーパーでいま、販売されている豆腐は『工業製品』に近いと思います」と語ります。

 

スーパーの特売品の代名詞ともいえる豆腐。「大豆は水の量で濃度はいくらでも調整できます」と大久保さん。

 

年々、大豆は値上がりしています。原価を抑えるためには、低価格の大豆をふやかしてすり潰し、水を大量に加えて、それでも固めることができる人工的なにがりを使って、「豆腐のかたち」にする。でき上がった豆腐は、「本来の豆腐」とは違う姿。

 

「しょうゆをかけないと食べられないですよね……」と大久保さん。

 

 

大豆本来の味わいがする豆腐を食べてもらえたら、と大久保さんは決意を固めました。

 

祖父の豆腐店で3年間修業。自分が求める味わいを見出したところで、お店をオープンしました。

 

大久保さんが目指したのは「口あたりがマイルドで甘みがあり、十分に旨みを感じて、舌に余韻が残る味わいの豆腐」です。

 

豆腐の原料は大豆とにがり。いたってシンプルです。そのぶん大久保さんは徹底的に選びぬいています。

 

 

大豆は厳選した国産大豆。おもに、宮城、新潟、長野などの豆を厳選。看板商品である特選シリーズ「絹ごし」と「よせとうふ」は、希少な在来種青大豆を使用。品種改良されていない、その土地に合った環境で生き抜いてきた豆だからこその、強い甘みと旨み、香りがあります。

 

いずれも、大久保さんが生産者のもとへ何度も足を運び、コミュニケーションを図って「よりよい豆腐を作る」ために収穫のタイミングなど、オーダーができるまでの関係性を築いて仕入れています。

 

さらに大久保さんがこだわっているのが「高糖質、低たんぱく」の大豆であること。一般的に豆腐に適している大豆は真逆で「低糖質、高たんぱく」とされています。

 

「大豆のたんぱく質が高いと、少ない量でしっかりと固まります。ただし糖質が低く、当然甘みが少ないんです」と大久保さん。

 

甘みのある、やわらかな豆腐を作るために、あえて高糖質、低たんぱくの大豆を選んでいますが、つまりそのぶん「固まりにくい」ということ。あえて、豆腐づくりのハードルをあげている大久保さん。高い技術がなければ、挑めないのです。

 

出典:筆者にて撮影(ゆうで使用している大豆の一例。見た目も色も異なる)

 

にがりは、貴重な伊豆大島の「天然にがり」。スーパーで販売されている豆腐は人口にがりが多い中、海水を煮詰めて作られた天然にがりはミネラル分が豊富で、大豆の香りや旨みを引き立てる働きが優れているのだそうです。

 

出典:とうふ工房ゆう(伊豆大島から取り寄せる天然にがり。国内の海水100パーセントで精製されている)

 

厳選した素材を目指す味わいの豆腐に仕上げるために、大久保さんは、日々、並々ならぬ努力を重ねています。

 

豆腐づくりは、販売前日、大豆の浸漬(しんせき)から始まります。大豆を水に漬けてふやかす単純な作業のように思えますが、とんでもない!

 

「大豆は生きものです」と大久保さん。おおむね年末から仕入れた大豆は、熟成を続け、味が変化しています。使用するタイミングによって吸水の速度が変わるため、戻し加減は重要なポイント。豆腐の仕上がりに大きく影響があるからです。

 

「しっかり水を吸っていないと、豆乳にしたときに大豆の味が出ないんです。そして豆乳の抽出量も変わり、その後の炊き具合も調整が必要になってきます」と大久保さんが説明する。「その日の気温も考慮する必要があります。水に漬けてから、のんびり出かける余裕はありません(笑)」と大久保さん。

 

もちろん、使う大豆によっても調整が必要。前日から勝負が始まっているのです。

 

出典:とうふ工房ゆう(たっぷりと水を含んだ大豆。同じ大豆でも日によって吸水速度は異なる)

 

翌朝は5時ごろから作業をスタート。浸漬した大豆の水を切り、グラインダーに入れてすり潰し、釜で煮て豆乳のもととなる「煮呉(にご)」づくりにかかります。

 

一般的には、温度と時間を設定してオートメーションで行われる工程ですが、

大久保さんはあえて「微調整」ができるように特注した機械を使って、ていねいに行います。

 

「大豆の種類、コンディションによって、炊き加減は異なります。甘みや旨み、香りの出方がまったく異なるんですよ」と大久保さん。釜につきっきりで、湧き具合を確かめ、煮呉の滞留が少ないときは攪拌する作業を続けます。

 

ゆうの豆乳は、とんでもなく常識を超えた「濃度」が特徴です。「加える水はごく少量です」と大久保さん。一般的なスーパーで販売されている豆腐の濃度は1012パーセント。ゆうの豆腐は、レギュラーで15パーセント、特選シリーズは17パーセント!

 

煮呉は水分がなく粘度が高いので、攪拌作業も重労働です。大久保さんの筋肉隆々の腕は、水を吸った重たい大豆を持ったり、煮呉を攪拌することでついた「とうふ筋」なのだそう。

 

出典:筆者にて撮影(豆腐づくりにかかる機械の金額は、中古ですらひとつ100万円以上。初期投資がかなりかかるため、新規参入が少ないという)

 

炊き上がったら分離機で豆乳とおからに分けて、にがりを加えます。

 

 

これらの工程にかかる時間は4時間、機械の洗浄に3時間と、なんと一般的な豆腐製造の3倍。「ここまで手間をかける豆腐屋は少ないと思います」と大久保さん。決してラクな作業ではありません。「でも、おもしろい。ひとつひとつの工程をきっちり見極めて、ていねいに行ってこそ甘み、旨み、香り、食感のバランスがいい豆腐が完成します」

 

大久保さんは豆腐づくりに「日々、同じはない」とキッパリ語ります。だからこそ、毎日が「真剣勝負」。

 

「魂がこもっていれば、食べて感じていただけると思うんですよ」

 

大久保さんが、大豆と真摯に向き合った成果である豆腐の味わいは格別です。

 

 

甘み、旨み、食感がベストバランスの「もっちりなめらか」クリーミーな豆腐

 

薄緑の美しい「特選絹ごし」は静謐な佇まい。スーパーの「白い長方形のかたまり」とは明らかに異なる麗しさがあります。

 

出典:筆者にて撮影(特選絹ごし。お店をオープンした年に、名だたる老舗をおさえて全国豆腐品評会で金賞を受賞。翌年も受賞した逸品)

 

一口食べただけで絶句。お豆腐の食感をたとえるとき、ふつうは「つるん」だと思います。

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ところが、ゆうのお豆腐は「もっちり、なめらか」。そして、深い甘みとコクがあって「クリーミー」。1ミリも「とがったところ」がありません。

 

いうならば「大豆のババロア」。そして食べ終わった後に深い余韻が残ります。

 

はっきり言って、しょうゆは不要。そのままで十分。つけるなら塩。しょうゆをかけると味が消えてしまってもったいない。そんなお豆腐です。

 

「特選よせとうふ」もしかり。やわらかなムースのようなよせ豆腐は「まるでスイーツ」というお客さんがいたほど。「黒蜜やはちみつをかけても美味しいですよ」と大久保さん。

 

出典:筆者にて撮影(特選よせとうふ。こちらも全国豆腐品評会で金賞を受賞)

 

レギュラーの豆腐も、ふんだんに大豆の豊かな風味が堪能できます。在来種を使用した特選に比べると、さっぱりとした味わいです。とはいえ、もちろん一般的な豆腐をはるかに上回る濃厚さ。

 

出典:とうふ工房ゆう(レギュラーの絹ごし、木綿。宮城県産大豆を使用)

 

絹ごしはしっとりなめらか、けれどぷるんとした食感。そして芳醇な味わい。たとえるなら「モッツァレラチーズ」のよう。そして水分が少ない、ゆうの豆腐は、水切り不要! 

 

そんな絹ごしを「薬膳冷ややっこ」にしてみました。肌に潤いを与える「松の実、しろごま、ナガイモのやっこ」、のどのトラブルによい「大根おろしとかいわれ大根やっこ」、そして二日酔いにおすすめの「トマト、タコのやっこ」です。

 

出典:筆者にて撮影(薬膳冷ややっこ3種。やっこは塩あるいは白だしで味わうのがおすすめ。トマト、タコのやっこはオリーブオイル、塩、レモン汁少々でいただくとワインのおともにもバッチリ)

 

 

木綿も驚くほど、しっかりとした濃い風味が堪能できます。

 

出典:筆者にて撮影(レギュラー木綿。ピシッと美しい。大久保さんはポン酢をかけるのがおすすめだそう)

 

 

こちらは「美肌薬膳白麻婆豆腐」にしてみました。肌に潤いを与えるホタテ、れんこんを具材にして、味噌で味付けしたやさしい味わいで仕上げます。

 

豆腐からも旨みが出て、なんともマイルドで豊かな麻婆豆腐が完成します。

 

出典:筆者にて撮影(美肌薬膳白麻婆豆腐。お豆腐そのものに甘みがあるので、ふつうの豆腐を使うときよりもみりんなど甘みは控えめで。加熱しても水分がほとんど出てこないことにびっくり)

 

出典:筆者にて撮影(ゆうでは、湯葉、揚げ出し豆腐などさまざまな大豆加工品も販売)

 

シンプルだからこそ、ていねいな作業によって、複雑で豊かな味わいが醸し出せる……。豆腐の奥深さに初めて気づいたように思います。「大豆の表情が見えるような豆腐」を、ぜひ召し上がってみてくださいね。

 

■とうふ工房ゆう公式サイト

■「特選絹ごし」「特選よせとうふ」は、とうふ工房ゆうお取り寄せサイトでお買い求めください。

 

 

 

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