お買物探偵団

食べるお茶・グリーンティージェノベーゼ(的場園)。狭山茶の老舗が手掛けた絶品茶葉調味料|からだに美味しいお取寄せ(16)

出典:的場園

出典:的場園

 

今回は、狭山茶を使った珍しいグルメ、食べるお茶をご紹介します。

 

薬膳において緑茶はストレスを解消し、リラックスに役立つ食材。身体にこもった余分な熱を冷まし、頭をスッキリさせる働きがあります。仕事が煮詰まったり、イライラしたときにおすすめ。まさに忙しい現代人にとって欠かせない飲みものです。

 

「次世代へ茶の文化を継承したい」。新たなお茶への取り組み

 

日本三大銘茶として知られる狭山茶。埼玉県南西部および東京都西多摩地域で生産されています。茶葉はもともと温暖な気候が適しています。けれど、比較的冷涼な狭山丘陵で栽培された狭山茶は、葉がしっかりと厚く、栄養を蓄えて育ちます。そのため「色は静岡、香りは宇治よ、味は狭山でとどめさす」と唄われるほど濃厚な甘みをもち、味わい深いのが大きな特徴です。

 

出典:筆者にて作成(的場園は狭山茶の生産量が最も多い入間市に位置します)

 

そんな狭山茶を使ったユニークなお茶加工品があります。その名は「グリーンティージェノベーゼ」。手がけるのは狭山茶の生産量が最も多い入間市に位置する「的場園」の4代目・的場龍太郎さん。お茶の魅力を発信するべく、これまでにはないさまざまな活動に取り組んでいます。

 

出典:筆者にて撮影(的場龍太郎さん。東京都大田区出身。日本茶への興味がゼロの人に、「1パーセントでも興味をもってもらいたい」と情熱を燃やす)


的場園は1945年に創業。自社で茶葉の生産、製造、加工販売を行う老舗です。

 

出典:筆者にて撮影(的場園の店舗では自社製造のさまざまなお茶を販売。急須などお茶にまつわる道具も並ぶ)

 

もともと建設会社に勤務していた的場さんは、10年ほど前、結婚をきっかけに奥さまの実家である的場園の業務に携わるようになりました。

 

「それまではまったくお茶とは無縁でしたが、すっかりお茶の魅力にハマってしまいました。本当に1日中お茶のことしか考えていなくて、妻に怒られるほどです」と笑う的場さん。

 

まずは一杯、と的場さんが急須で煎茶を淹れてくれました。茶葉を急須に入れてお湯を注ぎ、そして茶碗へと……。滴るお茶の音とともに、ふっと時間の流れがゆるやかに、静かになります。

 

出典:筆者にて撮影(急須でお茶を淹れる的場さん。イチからのものづくりは、建設業も茶業も共通していると語る)

 

「こうやって、ゆっくりお茶を入れる時間が好きですね」と的場さん。「もちろん味も美味しいけれど、そんな空間づくりができる存在であることも、お茶の魅力だと思います」。

 

芽吹いた若葉が放つさわやかな香りの一番茶をいただくと、濃い旨み、そして甘みがあって思わず体の力がぬけるような味わい。飲んだ後に深みのあるふくよかな余韻が残ります。

 

出典:筆者にて撮影(春の息吹を凝縮したような、緑香る狭山煎茶)

 

じつはこの味わいは、的場さんが作り上げたもの。「飲んでリラックスするような、甘いホッとするお茶。そして熱湯で淹れても渋くない、万人が美味しく味わえるお茶を作りたい」というチャレンジから誕生しました。

 

日本において残念ながら、お茶の消費量は年々減少しています。

 

的場さんの掲げる目標は「茶の文化を生活に取り戻し、次世代へ継承する」こと。苦みや渋みが苦手ないまの若い世代に親しんでもらうためには、甘み、旨みのあるお茶の開発が必要、という想いもありました。

 

一般的に日本茶を代表する品種は「やぶきた」。「香りと味のバランスはよいけれど、渋みや苦みがあるんです」と的場さん。お茶の味を変えるには、加工技術では限界があり、品種を変えるしかありません。決意を固めた的場さん。なんと、これまで代々植え続けてきたやぶきたの栽培を中止。まろやかで飲みやすい特徴がある「はるみどり」「おくみどり」に切り替えました。これまで手掛けたことがなく「栽培がうまくいくかどうかわからない」なかでの決断です。

 

「やぶきたを全部引っこ抜くとは、と周りからも驚かれました。けれど『これからやっていくのは君だから』と何の反対もしなかったお義父さんには本当に感謝しています」と的場さん。結果、植え替えた品種の栽培には無事、成功しました。

 

出典:筆者にて撮影(的場園の畑にて。取材は4月。芽吹きのころを迎えた「おくみどり」)

 

目指す味わいのお茶に仕上げるためには、収穫後の製造加工も、もちろん重要です。

 

的場さんは義父からの学びのうえに、実現したい味の成分、そのために必要な工程を科学的な理論から考えるなど、独学で研究を重ね続けました。

 

 

朝摘み取った茶葉は、すぐに工場へ搬入。鮮度の高いうちに蒸し上げます。「飲みやすくて味が出るように『深蒸し』にしています」と的場さん。

 

出典:的場園(水分をたっぷり含んだ朝摘みの葉を蒸す。蒸す時間で風味が変わる)

 

蒸した茶葉は冷却したのち、乾燥させます。この工程で使われているのが義父が特許を取得したという「的芽機」。「お義父さんが美味しいお茶を作るために長年研究して、開発したものです」と的場さん。茶葉を高温で乾燥させて仕上げることによって、渋み・苦みが低減されるのだそうです。

 

 

出典:的場園(的場さんの義父が開発したオリジナルの「的芽機」)

 

乾燥した茶葉は選別を行い、もみこんで形を作る工程を経て、仕上げ加工。狭山茶ならではの「狭山火入れ」を行います。強めに熱を加えることによって、味や香りを向上させるという、他産地にあまりみられないにはない工程です。

 

この工程においても的場さんは、4種類の火入れ機械を使い分けて、ていねいに調整しながら仕上げていきます。

 

的場さんが工夫を重ねて仕上げたお茶は、若い世代や海外の方からも大好評。新たなお茶ファンの獲得に成功を果たしました。

 

飲むだけではなく「食べるお茶」への挑戦

 

的場さんのチャレンジは、これだけではありません。日本茶に興味を持ってもらうべく、業界の常識にとらわれない斬新な取り組みを行っています。

 

狭山茶を使ったお風呂やサウナ、インド人留学生とのコラボレーションによる「スパイスティー」の開発……。

 

さらに、お茶の新たな可能性を開くために「飲む」だけではなく「食べる」試みがスタートしました。

 

その意図について、「飲むお茶の消費が減っているならば、食材としての需要を掘り起こしたら消費拡大ができるのではないかという発想です」と的場さんは語ります。

 

まず開発したのは、「食べられる茶葉」「EATea」と名付けられた商品は、たんに「茶葉を刻んで乾燥させたもの」ではありません。「それでは香りもなく、苦くてとても食べられません」と的場さん。

 

飲料用とは別に、食用専用で茶葉を栽培。茶葉の形を残したまま、高速乾燥させるという、これもまた的場園ならではの特許技術によって、苦みは少なく、そして新鮮な香りや味を閉じ込めつつ仕上げてあります。つまり、飲むお茶とはまったく別の視点で原料から製造まで行われている、的場園ならではの商品なのです。

 

EATeaは飲食店で天ぷらや、しゃぶしゃぶに使うと香りよく楽しめると大好評。けれど、「一般の方には『どうやって使うといいの?』と質問されることが多かったんです」と的場さん。そのため、使いやすい調味料にしてみては、と考えました。

 

いろいろ試した結果、いちばん美味しかったのがまさかの「イタリアン」。バジルの代わりに茶葉を使った「ジェノベーゼソース」だったそう。

 

「お茶というと『和』、のイメージを払拭してみたいという想いもあってトライすることにしました」と的場さん。

 

食べる茶葉と茶の実油を使った唯一無二の茶葉調味料

 

さっそく開発がスタート。食べる茶葉に加えて、珍しいお茶の加工品も組み合わせてみることにしました。

 

それは「茶の実油」。お茶の種から作られた油です。日本国内で茶の実を栽培する生産者は少なく、大変貴重なもの。的場園では、茶の実生産用の畑を設けて収穫、搾油しています。

 

出典:的場園(茶の実油。かつては、お茶農家の奥さんたちがトリートメントに使っていたのだとか)

 

茶の実油を作り始めたきっかけは、東日本大震災でした。「震災後、狭山茶は風評被害で大打撃を受け、廃業に追い込まれる生産者も多く、耕作放棄地が問題になりました」と的場さん。「人間の手を離れた茶は自然に戻り花が咲き、実がなります。

これで何かできないか自分で調べたり、埼玉茶業研究所に相談したりするうちに昔は油にして使っていたことがわかりました」

 

出典:的場園(茶の実。茶栽培は、挿し木が中心。生産する農家は少ない)

 

「価値がないものを価値に変える」。これから茶業でやるべきことの一環ではないか、と思った的場さんは製造をスタートしました。

 

茶の実油はオレイン酸やビタミンが豊富に含まれた健康にもうれしい効果のある油。また、美容効果にも優れているとして化粧品にも使われています。

 

そんな茶の実油と食べる茶葉をメインに、くるみ、ガーリックなどを配合してジェノベーゼソースの試作を重ねましたが、そのバランスには苦労したそう。「苦すぎると敬遠されますし、苦みがないと『お茶感』がなくなってしまう。難しかったですね」。

 

試行錯誤の末、2018年にようやく「グリーンティージェノベーゼ」が完成。百貨店の催事で販売したところ、またたくまに完売。リピーターが多い人気商品として好評を博し、売り上げを伸ばし続けています。

 

出典:的場園(グリーンティージェノベーゼ。「家族で奪い合う」というリピーターがいる人気商品)

 

的葉さんのお茶への想いがつまったグリーンティージェノベーゼの瓶をあけると、まずお茶の清々しい緑の香り。続いてガーリックの食欲をそそる香り。

 

 

食べてみると、旨みと甘み、ほろ苦さの豊かなハーモニーが口の中に広がります。そして後味は、お茶を飲んだ後の、あの「スッキリ」した感じ。お茶のグラデーションのある豊かな味わいを改めて「食べて実感」できる逸品です。

 

出典:筆者にて撮影(香り、旨み、甘みに加えて、茶葉の独特の食感も楽しい)

 

お茶の風味が、料理の味わいをワンランクアップ

 

グリーンティージェノベーゼはさまざまな使い方で楽しめます。パスタのソースにしたり、肉や魚料理のソースに。シンプルにトーストにのせてもよし、ごはんにのせてもよし。「チーズとの相性がいいので、ピザもおすすめです」と的場さん。

 

わたしもグリーンティージェノベーゼソースでお茶薬膳メニューを作ってみました。

 

まずは「ホタテとセロリのグリーンティージェノベーゼサラダ」。ホタテと、カットしたセロリをグリーンティージェノベーゼであえて、パルメザンチーズをたっぷりかければ完成。

 

出典:筆者にて撮影(ホタテとセロリのグリーンティージェノベーゼサラダ。気を巡らせるセロリと、自律神経に関りの深い臓器・肝の働きを整えるホタテと組み合わせた「リラックスサラダ」)

 

ホタテの甘みと爽快なセロリを、お茶が香りよく軽やかに、そしてキリッとほろ苦く鮮やかにつなぎます。チーズのまろやかさが、じつにぴったり。白ワインがすすむ味わいに。

 

さらにもう1品。薬膳的にお茶同様にリラックス効果の高い食材・そばと組み合わせて「グリーンティージェノベーゼ薬膳そば」に。ゆでたそばに、めんつゆをかけ、蒸した鶏肉、大根、パプリカ、赤たまねぎ、ゆず皮の千切り、グリーンティージェノベーゼをのせて全体を混ぜていただきます。

 

出典:筆者にて撮影(グリーンティージェノベーゼ薬膳そば。大根、ゆずもストレス解消食材)

 

茶そばがあるくらいなので、当然ながらバツグンの相性。めんつゆの風味でさらにしっくりとおさまります。さらにグリーンティージェノベーゼがドレッシングがわりにもなって、野菜がたっぷり食べられるのも魅力。

 

グリーンティージェノベーゼは、なかなか味の想像がしづらいかもしれませんが、「濃い青のり」が近い感じです。はからずも的場さんによれば「茶葉には青のりと同様の香り成分が含まれている」のだとか。

 

そこで青のりを使う料理との相性がいいのではと思い立ち、「グリーンティージェノベーゼ薬膳やきそば」にトライ。

 

桜エビ、たまねぎ、にんじんを具に、ソース少々とグリーンティージェノベーゼで味付けしてかいわれ大根をトッピング。これが大当たり! 青のり効果に加えて、ほろ苦さも加わり、ワンランク上の焼そばに仕上がります。

 

出典:筆者にて撮影(グリーンティージェノベーゼ薬膳やきそば。ソースとの相性のよさに驚き。お茶と同じくストレス解消によい、かいわれ大根をトッピング)

 

グリーンティージェノベーゼは、料理に使うとほろ苦さがキュッと味わいを引き締めてくれます。普通のジェノベーゼより使えること間違いなし!

 

それにしても、食べるお茶の世界は、新たなお茶の魅力に気づかされることばかり。

 

かつては日本の家庭で当たり前だった、急須で淹れたお茶をいただく風景。

時代を経て「さまざまな料理でお茶を楽しむ」という新たな風景で、お茶の魅力を美味しく再認識してみては?

 

 

■グリーンティジェノベーゼは、的場園公式サイトでお買い求めください。

 

 

 

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