お買物探偵団

北九州市小倉・宇佐美商店「百年床のサバのぬか炊き」|からだに美味しいお取り寄せ(22)

出典:宇佐美商店

 

今回は、北九州市・小倉から、栄養満点な絶品サバグルメをご紹介します。

 

だんだん寒さが募ってくる今日この頃。手足の末端が冷えて困る……。改善のためには、血の巡りをよくする「活血食材」を取り入れることが大切と考えます。

 

活血食材を代表するのが「サバ」。血流をアップして、全身のすみずみにまで血を送り届けて冷えを改善。ポカポカにしてくれる働きがあるのです。これからのシーズン、積極的に取り入れることをおすすめします。

 

3代にわたって受け継がれたぬか床で、サバをじっくり炊き上げる

 

北九州市・小倉の郷土料理といえば「サバのぬか炊き」。サバをしょうゆ、みりんなどの調味料で煮込み、ぬか床を加えて炊き込んだ料理です。食べたことがない人には想像しづらい料理ですが、一度食べるとその美味しさの虜になるリピーターが続出する逸品です。

 

出典:宇佐美商店(江戸時代から、豊前国に伝わるという郷土料理「ぬか炊き」。イワシ、サバなどの青魚で作られる)

 

「ぬか漬け」をイメージするかもしれませんが、しょっぱさはありません。ぬかならではの酸味と、ほのかな甘みが加わったサバは極めてマイルド。ぬかの効果でクセがなく、とろけるように炊き上がったぬか炊きは、全日本さば連合会広報担当を務めるわたしのなかで、全国サバグルメ3本の指に入る美味しさです。

 

出典:筆者にて作成(小倉の旦過市場にて、宇佐美商店はぬか炊きやぬか漬けを販売)

 

ぬか床を調味料として使うという、全国でも珍しい料理のルーツは、小倉藩にあるとされています。小倉藩主・小笠原忠真公がぬか漬け好きだったことから、江戸時代より小倉ではぬか漬け作りが盛んでした。その後、北九州近郊で捕れる新鮮なサバやイワシをぬか床で炊き込み、保存食とされるようになったといわれています。

 

JR小倉駅から歩いて10分ほどに位置する「旦過(たんが)市場」。北九州市市民の台所ともいわれる昭和レトロな長屋式の商店街には、野菜、魚、肉、そして手づくりお惣菜を販売する約120店舗がズラリと並び、多くのお客さんで大にぎわい。そして、小倉っ子が愛するサバのぬか炊きを販売するお店も軒を連ねています。

 

出典:宇佐美商店(旦過市場。大正時代初期、隣接する神獄川を昇る船の荷揚げ場として栄えたことから始まり、約100年の歴史を誇る)

 

「宇佐美商店」もそのひとつ。親子三代にわたって受け継がれ、100年もの歴史を刻んだぬか床を使用した、サバのぬか炊きが人気のお店です。

 

出典:宇佐美商店(旦過市場に位置する宇佐美商店。イワシのぬか炊き、ぬか漬け、ぬか床そのものなども販売)

 

1946年に創業。そもそもは食料品店としてスタートしましたが、ぬか床の美味しさが人気をよび、ぬか漬けをメインに販売。そののち、ぬか炊きも評判となり、看板商品となったという歴史があります。

 

三代目店主の宇佐美雄介さんはもともと、東京のIT会社で働いていました。

2018年、後継ぎとして小倉へ戻ってきた宇佐美さんは、地元で愛されてやまない、ぬか炊きがまだまだ全国区ではない、と感じていました。

 

出典:宇佐美商店(宇佐美雄介さん。伝統の味を受け継ぐとともに、新商品開発、イベントへの出店などぬか炊きの魅力を発信するべく、意欲的に活動している)

 

サバのぬか炊きは、美味しさもさることながら乳酸菌の宝庫ともいえる、ぬか床、そしてサバの栄養をまるごと摂取できる健康食でもあります。

 

「もっと多くの人に『小倉が誇るぬか炊き』を『博多の明太子』のように知ってもらいたい」と、宇佐美さんは、ぬか炊きづくりに情熱を燃やしています。

 

ぬか炊きの味の要となるのは、なんといっても、ぬか床。初代である宇佐美さんの祖母がお嫁入りのときに持参したというぬか床は、100年以上毎日手入れされてきたもの。

 

そこに日々、新鮮なぬかを継ぎ足し、塩、唐辛子、山椒の実、棹前昆布などを加えて味を調えます。「その日の気温や湿度、混ぜ方によって、発酵の速度や味が変わります。歴史あるぬか床を守るために、日々『育てる』必要があります」と宇佐美さん。伝統の味を維持するための細やかな気遣いが欠かせません。

 

出典:宇佐美商店(味の決め手となる、ぬか床。デリケートなぬかを、手間暇かけて育てる)

 

使用するサバは厳選した脂のりバツグンのもの。しょうゆ、みりん、酒などの調味料で、約2時間じっくり煮込みます。そして、最後の味付けに、手間暇かけたぬか床を加えて10分ほど炊き、ひと晩寝かせて味をなじませます。

 

出典:宇佐美商店(大鍋に、さばいたサバを並べてじっくりと煮込む)

 

こってりさわやか。味噌煮を超える味わい

 

宇佐美さんがていねいに炊き上げた、ぬか炊きを初めて食べたときに、衝撃を受けました。

 

これは味噌煮超え!

 

コクがあるのに、後味がほのかな酸味でさわやか。 “こってり” “さわやか” 。この間逆の二文字が、自然に並ぶのは、まさに「発酵マジック」があってこそ。想像をはるかに上回る美味しさです。

 

出典:筆者にて撮影(サバのぬか炊き。ごはんにも、焼酎のおつまみにもぴったり)

 

サバは身がほっくり、しっとり、骨までやわらか。豊かで複雑な旨みのあとに、マイルドな酸味が心地よく、食べ始めると止まりません。

 

もちろん、ごはんには最高。そして、特筆すべきは「煮汁」の美味しさ。ごはんの上に身をのせ、サバの旨みと100年のぬか床が融合した煮汁をたらりとかけていただくと悶絶モノ。ふだん、あまりお米を食べないわたしですら、ごはんが「無限」になりそうです。

 

おすすめは、「高菜」との組み合わせ。福岡県が誇る「二大発酵系グルメ」は、最強の相性です。お茶漬けにしても絶品。驚くほど豊かな旨み、そして酸味が彩りを添えたグラデーションのある味わいに驚きます。

 

出典:筆者にて撮影(「サバのぬか炊きと高菜丼」。煮汁をかけるのをお忘れなく! ちなみに、この組み合わせはラーメンにのせても美味しい)

 

そのままでも美味しいですが、「温めて食べたり、パスタ、衣に着けてフリットなど洋風にアレンジしても美味しいです。チーズとの相性もいいんですよ」と宇佐美さん。

 

わたしもサバ×発酵という、すばらしいヘルシーご当地グルメで薬膳レシピを作ってみました。

 

まず、「サバのぬか炊きとナスの活血炒め」。サバ同様、血を巡らせる効果の高いナスを組み合わせてグングン血流をアップさせるレシピです。

 

一口大の乱切りにしたナスを油でいためて、サバのぬか炊きを入れて炒め合わせます。

 

たんにこれだけなのに、サバのぬか炊きの旨みが酸味とともに、とろとろナスに染み込んで、マイルドな味わい。味噌では醸し出せない、こってりさわやかな味わいに。

 

出典:筆者にて撮影(サバのぬか炊きとナスの活血炒め。ほのかな酸味で食が進む)

 

そして同じく、血行促進によい「サバのぬか炊きとたまねぎ、パプリカのパスタ」に。こちらも血液サラサラ野菜・たまねぎとパプリカを組み合わせました。

 

オリーブオイルでニンニク、たまねぎ、パプリカ、サバのぬか炊きを炒めて、ゆでたパスタをプラス。仕上げに粉チーズをたっぷりと。

 

ニンニク、チーズとサバのぬか炊きの相性がバッチリ。ぬか炊きイタリアンは絶品です。ワインのお供にもぴったり。

 

出典:筆者にて撮影(サバのぬか炊きとたまねぎ、パプリカのパスタ。「さわやかなアンチョビ」のような、ぬか炊きの旨みでコクうま、スッキリと仕上がる)

 

宇佐美さんは、お土産ニーズを狙って、サバのぬか炊きを常温で持ち運べる「100年床のぬか炊き缶」も開発した。こちらも、地元百貨店や、土産物店で大好評。

 

出典:宇佐美商店(100年床のぬか炊き缶。ぬか炊きの味わいそのものが楽しめる「本味」、唐辛子がきいた「辛口」、梅肉を加えた「梅味」の三種類がある)

 

さらに、「ぬか炊きをもっと若い人にも食べてもらいたい」と魚のみならず「スペアリブのぬか炊き」も完成させました。箸でもつと、崩れるほどやわらかなスペアリブは老若男女に人気を博しています。

 

出典:宇佐美商店(スペアリブのぬか炊き。一度下茹でして、脂を落としてから炊き上げるため、サッパリ。そしてトロトロ、ホロホロ)

 

ぬか炊きは確実にファンを増やし続け、より多くの製造に向けて宇佐美さんは新たな工場を準備中です。

 

昨年、2度の火災に見舞われた旦過市場。「旦過市場を、もっとぬか炊きで盛り上げたい」と宇佐美さんは意欲を燃やします。

 

ぬかとサバ。小倉で育まれた「美味しい出会い」をともかく、ぜひ、試してみてくださいね。

 

 

■「百年床のサバのぬか炊き」は、宇佐美商店公式サイトにてお買い求めください。

 

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