徳島・志まや味噌から老舗の技で仕上げた絶品「御膳みそ」|からだに美味しいお取り寄せ(19)
出典:志まや味噌
今回は、徳島県から絶品の味噌をご紹介します。
薬膳において、味噌は人間にとって重要な目には見えないエネルギー源である「気」を補い、お腹をあたためて力づける働きがあり、疲労回復、滋養強壮に優れた作用があります。さらに、消化不良、デトックスにもよく、積極的に使いたい調味料です。
米の優しい甘みとコクを堪能できる「殿様も食した味噌」
日本各地にご当地味噌がありますが、徳島で愛されてやまない郷土味噌が「御膳味噌」。江戸時代、阿波国では主要産物として奨励されていた藍の栽培の間作として、大豆が多く栽培されていました。粒が大きく良質だったため、製塩業が発達していた鳴門の塩を使った味噌造りが盛んに行われるようになったのです。その味わいは香りと風味に優れ、阿波藩初代藩主・横須賀家正の「御膳」にも提供されたことが、御膳味噌の名前の由来とされています。
歴史ある味噌は、おもに関西方面に多く出荷され好評を博してきました。現在、御膳味噌は、徳島県味噌工業協同組合の地域団体登録商標となり、所有する13社が伝統の味わいを引き継いでいます。
出典:筆者にて作成
御膳味噌の特徴は「大豆に対する米糀の割合が高く、米の優しい甘みが堪能できること。そして、しっかりと熟成させているので、味わいが豊かで香りよく仕上がっていることです」と語るのは、徳島市の老舗味噌店・志まや味噌の濱野比加里さん。
甘みがありながら、濃厚。全国的にみると辛口味噌と甘口味噌の両方の特徴を備えた、珍しい味わいの味噌でもあります。
出典:志まや味噌(徳島市「志まや味噌」。吉野本町に工場兼店舗を構える)
志まや味噌は創業明治22年。そもそもは麹屋としてスタートし、醤油製造を経て味噌造りを手掛け、100年以上の歴史を誇ります。
出典:志まや味噌(創業より120余年を誇る志まや味噌。味噌、おかず味噌やフリーズドライの味噌汁、甘酒、塩麹など多彩な商品を店舗、オンラインで販売)
4代目である濱野正裕さんの娘である比加里さんは、大手百貨店での勤務を経て実家へ戻り、その経験をいかした商品開発や、自社商品、そして味噌の魅力についての情報発信に努めています。
出典:志まや味噌(濱野比加里さん。いまの時代に合った商品の開発や、パッケージのリニューアル、味噌造り体験教室の実施、味噌を使った多彩なレシピの発信などを意欲的に行う)
志まや味噌の社是は「量を追わず、質を追う」。「糀造りはいまも、機械を使うことなくていねいな手作業を続けています
」と、比加里さん。
糀の度合いが高い御膳味噌は、まさに、糀づくりが味の要。さらに、一般的な御膳味噌の糀歩合は11~13割のところ、志まや味噌の場合は14~16割まで高め、甘みを引き出しています。
厳選した良質の国産米を蒸して、ほぐしながら種糀をつけ、翌日は朝、昼、夕方と3度、固まった糀をほぐす作業はかなりの重労働。けれど、「その日の気温に応じた発酵のタイミングをコントロールするためには『手の感覚』がとても重要」と比加里さんは説明します。
出典:志まや味噌(糀づくりは手作業。糀の甘みを引き出すためには「糀の酵素」の働きを細やかに調整することが重要。機械まかせにはできない)
丹精込めて仕込んだ味噌は、半年から1年熟成させて仕上げるため、塩かどが取れて、濃厚な旨みと甘みが楽しめます。
幾重にも連なる旨みあふれる味噌に感動
志まや味噌の御膳味噌にはいくつかの種類がありますが、もっともベーシックなのは「御膳みそ 郷」。
ふわりと豊かで心地よい香りの味噌をそのまま食べてみると、ふくよかな甘みが口いっぱいに広がり、コクがありながらスッキリとした後味。一般的に甘いとされる九州の味噌の甘みとは違い、程よい辛みと濃厚さが加わってキレがあり、心地よい後口です。
そしてさらに長く熟成させた「御膳みそ 蔵出し」は、さらに濃厚で奥深い味わい。ひとなめするだけで、大豆と糀の豊かなハーモニーがジワジワと感じられます。スーパーで販売されている味噌にありがちな「単一感」はまったくなく、オーケストラのような幾重にも連なる旨み。これさえ使えば、絶対料理が美味しくなる! そんな確信が持てる味噌です。
出典:筆者にて撮影(「御膳みそ 郷」と「御膳みそ 蔵出し」。郷はあっさりめ、蔵出しはコクがあり奥深い味わい)
味噌というと「生まれ育った地元のものにこだわる」という傾向がありますが、志まや味噌の「御膳みそ」は、徳島のみならず県外にも多くのファンがいるそう。一度食べるとリピーターになる人が多い、という理由がよくわかります。
味噌汁に使えばもちろんのこと、「極上」の一椀に。まるで数種類の味噌をブレンドしたかのような、複雑で豊かな風味に驚きます。
そして飲むたびに全身に力がみなぎる、まさに「滋味あふれる」味わい。ていねいに造られた発酵食品のパワーを実感!
出典:筆者にて撮影(「御膳みそ 蔵出し」を使った味噌汁。具は味噌同様、気を補い、お腹を温める効果のあるかぼちゃ、そしてたまねぎで胃に優しい一椀に)
また、かどがなく丸みがある旨み、風味が豊かなので、そのままごはんにのせてもバツグンの美味しさ。お箸が止まらなくなるほどです。
出典:筆者にて撮影(炊き立てごはんに「御膳みそ 蔵出し」をのせて。ストレートに「うまい」!)
「御膳みそ」の味わいをいかした「味噌薬膳レシピ」も作ってみました。
うだるような暑いこの時期によい、夏バテ撃退薬膳「パワーアップ冷や汁」です。すりばちに焼いたいりこ、「御膳みそ」、水を加えて溶きのばし、キュウリ、水を切ってちぎった豆腐、とろろ、白すりごま、青じそを加えます。
「御膳みそ」ならではの、しっかりした風味と甘みで、とろろの味わいもグンと引き立つ「コクうま」な冷や汁が完成します。
出典:筆者にて撮影(パワーアップ冷や汁。気を補う味噌、とろろ、身体の熱を冷ますキュウリ、汗で失った水分を補う豆腐、白ごまで夏バテ改善におすすめ)
また、完成され尽くした味わいが魅力の「御膳みそ」は、「優れた発酵調味料として多彩に利用していただきたい」と比加里さんは語ります。
シチューやグラタンなど洋風料理に。バターと合わせてトーストに。そして野菜炒めなどにプラス。
「たんに味噌風味にする」ためではなく、料理の味わいをグンと引き立てる調味料としてプラスすると、手軽に「ワンランク上」の仕上がりに!
味噌のデトックス効果を狙った薬膳レシピ「タコとトマト、黒きくらげのガーリック味噌炒め」はいかが? フライパンにオリーブ油を熱し、刻んだにんにくを入れて炒め、トマトと黒きくらげ、タコを炒め合わせ最後に味噌を加えて仕上げます。
オリーブオイル、ガーリック、そして隠し味の味噌が三位一体となって、トマトもタコもみずみずしさが際立ち、鮮やかなまでの美味しさに仕上がります。
出典:筆者にて撮影(タコとトマトのガーリック味噌炒め。薬膳においてデトックスに役立つタコ、黒きくらげの組み合わせ。トマト、タコは夏バテにもよいのでぜひ、この時期お試しを)
すだち、鳴門鯛。徳島が誇る食材とコラボした「おかずみそ」もおすすめ
志まや味噌では、徳島ならではの食材を使った「おかずみそ」も好評です。
「すだちみそ」は、徳島県が生産量一位を誇るすだち1個分の皮を加えたおかずみそ。さわやかな香りと風味にあふれ、ごはんのみならずふろふき大根、田楽、野菜スティックに添えたり、トーストしたパンに組み合わせても美味しくいただけます。
出典:筆者にて撮影(「すだちみそ」。そのほか、ゆずとすだちを掛け合わせた新品種「阿波すず香」を使った「阿波すず香みそ」や、徳島県産「木頭ゆず」入りの「ゆずもろみ」も人気)
少し甘口のすだちみそは、スイーツに合わせても。牛乳寒天に添えるとコクのあるさわやかな甘みが加わって美味。
出典:筆者にて撮影(「牛乳寒天すだちみそ添え」。寒天の原料であるテングサは薬膳的にデトックスに役立ちます。デトックスパワーの高まる薬膳スイーツに)
天然鳴門鯛の身をたっぷり加えた「鯛みそ」は、おにぎりやお茶漬けにしてももバツグンの美味しさ。お豆腐にのせたり、そのままおつまみにするのもおすすめ。
出典:筆者にて撮影(「鯛みそ」。味噌に鳴門海峡で育まれた鳴門鯛の身を入れて、甘めに炊き込んで仕上げたおかずみそ)
鯛みそは、油や酢などと組み合わせてドレッシングやタレに使っても美味しくいただけます。サラダ油、酢、レモン汁、しょうゆ、白すりごまと組み合わせて「薬膳鯛みそタレそうめん」を作ってみました。
鯛と味噌の旨みとコクで、食慾がない日もスルッといただける一品に。そもそも鯛も「気を補う食材」。まさにパワーアップにうれしい「薬膳おかずみそ」でもあります。
出典:筆者にて撮影(薬膳鯛みそタレそうめん。そうめんに鯛みそタレをかけて、気を補うたまご、枝豆、高温多湿の夏をのりきる効能の高いわかめ、もやしもトッピング)
味噌ライフがグンと楽しく、身体も喜ぶ徳島の絶品味噌。ぜひお試しを。
■「御膳みそ」「おかずみそ」の各シリーズは、志まや味噌公式サイトにてお買い求めください。