下園薩男商店。鹿児島、イタリア、フランス、インド〜世界の味を〝旅する丸干し〟|からだに美味しいお取り寄せ(53)

出典:下園薩男商店
薬膳においてイワシは、アンチエイジングにおすすめの食材。足腰を強化して腰痛を改善する働きもあります。また、血行を促進する効能も高く肩こりや婦人科系トラブル、ダイエットにも役立ちます。美容面においては、美白にうれしい魚。じつにさまざまなパワーがあるのです。
今回は、鹿児島県阿久根市から世界の味で楽しめるウルメイワシの丸干し、「旅する丸干し」を紹介します。
もくじ
阿久根市を代表する特産品「ウルメイワシの丸干し」

出典:筆者にて作成
鹿児島県北西部に位置する阿久根市は、古くから海と陸の交通の要衝として海運業や商業が栄えた歴史ある町。東シナ海に面した約40kmにも及ぶ美しい海岸線を有し、東シナ海の恩恵を受けた海の幸が豊富に水揚げされます。また、新鮮な魚を使った干物加工も盛んなことで知られています。
「とくに阿久根ならではの干物といえば『ウルメイワシの丸干し』です」と語るのは下園薩男商店代表取締役の下園正博さん。

出典:下園薩男商店(下園正博さん。水産加工品のみならず、地元の食材を使った加工品やアパレルなど地域に残るものにひと手間加えて魅力を発信、活性化させる取り組みも行う)

出典:下園薩男商店(下園薩男商店が2017年にオープンした「イワシビル」。1Fはショップ・カフェ、2Fが工場、3Fはゲストハウス。全国から訪れる人が絶えない阿久根の人気スポットになっている)
下園薩男商店は1939年創業の老舗干物店。主力商品は高品質なウルメイワシの丸干しです。
もともと阿久根ではマイワシが大漁でしたが、1980年代に入り激減。そのため丸干しの加工品業者と漁師が話し合い、イワシのなかでは高級魚とされているウルメイワシを狙う取り組みが始まりました。
さらに付加価値を高めるために、「エサ食い」のないウルメイワシを漁獲することになりました。「朝4~6時に獲れたウルメイワシは、まだエサを食べていなくてお腹がからっぽ。苦みが少ない高品質の丸干しに仕上がるため、市場において高値で取引されるんです」と下園さん。

出典:下園薩男商店(阿久根港に水揚げされたウルメイワシ。その名のとおりうるんだ目が特徴)
丸干しは、その名のとおりウルメイワシを「まるごと」乾燥させて作ります。阿久根では6~8月に漁獲した「朝獲れ」のウルメイワシを塩水にひたしてから串に刺し、3日間乾燥させて仕上げます。
ウルメイワシの丸干しは高知、佐賀、長崎、大分などで造られていますが、高品質とされる「うるめの目ヌキ」とよばれる魚体が小さくて、「上乾」というカリカリにさせたものはほぼ鹿児島か高知でしか造られていないそうです。
「阿久根界隈で獲れるウルメイワシは、脂のりが少ないのが特徴。長く乾燥させて造る丸干しは、脂がないものが向いているんです。阿久根の丸干しは、噛めば噛むほど旨みを感じる上質な味わいが魅力です」と下園さん。

出典:下園薩男商店(下園薩男商店のウルメイワシの丸干し。噛むとピュアな旨みが感じられる)
下園薩男商店では、市場で朝獲れのウルメイワシの中でもコンディションのよいものを厳選し、購入後すぐに氷の入った塩水に漬け込みます。味付けは香川県の海水を使用した国産の「海塩」のみ。魚の状態をみて塩分濃度は都度変更しています。
そののち、手作業で串に刺し乾燥させます。

出典:下園薩男商店(一尾一尾、ウルメイワシを手作業で串に刺し、じっくりと乾燥させる)
乾燥具合は脂質によって異なるため、毎日味見をして時間を調整。長年、培った経験によって仕上げられているのです。
前代未聞の「おしゃれな洋風干物加工品〝旅する丸干し〟」は若い世代に大ヒット!
下園薩男商店は下園さんの祖父が創業。そのころは市場での販売が中心でしたが下園さんの父の代に全国の量販店へと販路を広げました。
下園さんは大学卒業後、東京のIT企業、水産関係の商社に勤務したのち、3代目として入社。当初は新商品の開発担当を任され、サバの干物などを手がけていました。
けれど、「干物売り場に若い人がいない」ことが気になっていた下園さん。近年、食生活の変化で水産加工品の消費は減る一方。干物の需要もこのままでは減っていくのではないか……。
かくして、「若い世代にも手に取ってもらえる商品を開発しよう」と思い立った下園さん。「やはり、使用するのは阿久根ならではの『ウルメイワシの丸干し』しかない、と思いました」。
下園さんは和のイメージが強い丸干しを「洋風」にできないかと考えました。
「『オイルサーディン』からヒントを得て、丸干しのオイル漬けがいいのでは、と自ら試作を重ねました」と下園さん。「けっこう、美味しく仕上がったので販売会に出してみたところ、好評だったんです」。
そして、下園さんが驚くほど、ふだんとはまったく購買層が異なりました。
「20代や30代の女性が、手に取ってくださったんです」。
手ごたえを感じた下園さんは、さらに工夫を重ねました。
「若い人に手に取ってもらうためには、量販店の売り場ではなくおしゃれな食のセレクトショップや雑貨店だと思いました。そういったお店でも扱っていただけるコンセプトやパッケージが必要だと考えたんです」と下園さんが説明します。
商品をブラッシュアップするべくプランナー、フードコーディネーターと検討を続けました。もともと、バジルやトマト、カレー味のオイル漬けを作っていた下園さん。「そこから、いろんな国の味にする、というアイデアが出てきたんです」。20か国もの味付けを前に、「丸干しが世界各国を旅する」というストーリーが出来上がっていきました。
商品名も「旅する丸干し」に決定。数ある候補の中から、イタリア、南仏プロヴァンス、マドラス、そして地元・阿久根と4つの味をセレクト。
こだわりの丸干しの両端をカットして、こんがり焼き上げてからそれぞれの国の食材を使った調味オイルに漬け込んで仕上げました。
パッケージもそれぞれの国をイメージしたカラフルなラベルにして、前代未聞の「おしゃれな洋風干物加工品」が完成しました。

出典:下園薩男商店(旅する丸干し「阿久根プレ―ン」「南イタリア風」「プロヴァンス風」「マドラス風」)
いまでこそ、おしゃれな水産加工品が増えましたが、旅する丸干しが完成したのは2013年。そのころ「おしゃれ」という肩書がつく水産加工品は皆無。時代に先駆けたエポックメイキングな商品がデビューを果たしたのです。
発売するなり話題騒然。多くのメディアから取り上げられ、農林水産大臣賞最高位の天皇杯賞も授賞。旅する丸干しの「旅のスタート」は前途洋々なものでした。
ワインのおともにも最高。オイルも絶品!多彩なアレンジ可能な「旅する丸干し」
その後も順調に売れ行きをのばした、旅する丸干し。パスタやパンに合う、ワインのおつまみにぴったりと大好評。「丸干しを食べたことがなかった人が、旅する丸干しを食べて、丸干しそのものに興味をもってくれることもうれしいですね」と下園さん。
これまで目立ったお土産がなかった阿久根を代表するアイテムとしても注目され、鹿児島空港でも大人気。日本各地へ旅立っていきました。
そして我が家にやってきた旅する丸干し。
商品の色鮮やかな、心躍るパッケージにも驚きますが、さらなる驚きは詰めこまれた「丸干し」の美しさ!

出典:下園薩男商店(ラベルで隠れていますが、このとおり整然と詰めこまれている)
丸干しの銀色に光る側面をボトル側にして、きっちりとラウンド状に詰め込まれ、まるでアートを見るよう。「一尾一尾、スタッフがピンセットでていねいに、すき間なく瓶に詰めています。少しでも力の加減を変えるとくずれてしまうので、なかなか技がいるんですよ」と下園さん。

出典:下園薩男商店(ていねいに丸干しを詰める。熟練の技が必要)
さて、どこから旅しようかな。
まずは地元「阿久根プレーン」から。

出典:下園薩男商店(阿久根プレーン【ボンタンエッセンス】)
鹿児島県阿久根市の特産品である「ボンタン」を使用。ボンタンは直径20cmにもなるような大きな柑橘のエッセンスを加えて仕上げてあります。
ふたをあけると、ほんのりさわやかな香り。オイルをまとった丸干しをかじってみると、驚くほどの旨み。焼いてあるので香ばしさが華やかなアクセントを添えます。そして噛むほどに、豊かな旨みが、オイルの効果でひたすらまろやかに口の中に広がります。もう、永遠に噛みしめていたいくらいの美味しさ!

出典:筆者にて撮影(オイルにひたった丸干しは香ばしくまろやか。ひとつ食べると、あともうひとつと、クセになる味わい)
オイルサーディンより食感がしっかり、コクがあるけれどアンチョビのように塩辛くはない。両者の「いいとこどり」をしたような感じです。
そして、丸干しの旨みを吸い取ったオイルも絶品。「旅する丸干しはオイルもいかしたアレンジがおすすめです」と下園さん。たしかに、これはいろいろ使えそう!
ごはんにのせて、オイルをたらり、も美味しいですが「旅する丸干し薬膳冷やしうどん」にしてみました。つゆをかけたうどんに、いわし同様血行を促進するみょうが、赤タマネギと青じそをのせて、オイルもかけていただきます。

出典:筆者にて撮影(旅する丸干し薬膳冷やしうどん。めんつゆも丸干し効果でコクがでます)
丸干しの旨みとオイルでうどんがグッとコクうまに。爽快な薬味と一体になると、蒸し暑い日にも元気が出てきそうな美味しさです。
「南イタリア風」は、ドライトマトとガーリック、バジル入りでまさに「イタリアン」。

出典:下園薩男商店(南イタリア風【ドライトマト・ガーリック】)
食べてみると、驚くほどバジルの風味が丸干しにマッチ。どこかひなびた干物のイメージが激変する味わいです。
こちらは、パンと合わせた薬膳レシピにしてみました。「ナスとパプリカの旅する丸干し薬膳フォカッチャ」です。南イタリア風のオイルで美白に役立つナスとパプリカをじっくり炒め、丸干しと合わせて、フォカッチャでサンド。

出典:筆者にて撮影(ナスとパプリカの旅する丸干し薬膳フォカッチャ。オイルがしみたパンも美味しい)
丸干しの旨みは「アンチョビ」に近いのでナスもパプリカも風味豊かに。ドライトマトのほどよい酸味も加わって、ワインにもぴったり合う美味しさに仕上がりました。
プロヴァンス風は、タイム、セージ、フェンネル、ローレル、ローズマリーをブレンドしたハーブミックス「エルブドプロヴァンス」とオリーブ入り。ハーブの風味が加わった丸干しは清々しい味わいです。オリーブとの相性もバッチリ。スパークリングワインと合わせると、南仏の風が吹いてきそうなさわやかなペアリングです。

出典:下園薩男商店(プロヴァンス風【オリーブ・ハーブ】)
こちらは、アンチエイジングに役立つ「ブロッコリーとうずらの卵、丸干しのサラダ」に。ゆでたブロッコリーとうずらの卵、丸干し、オリーブを器に盛り、オイル・白ワインビネガー・塩を混ぜたドレッシングをかけます。

出典:筆者にて撮影(ブロッコリーとうずらの卵、丸干しのサラダ。オイルをドレッシングに使うとプロ級の仕上がりに!)
さわやかな香りがいっぱいのサラダは、丸干しの食感で食べごたえがあります。しばらく置いて、ドレッシングを丸干しにしみこませていただくのもマリネ風になって、おすすめ。
マドラス風は、ガラムマサラや唐辛子、黒こしょうなどが入ったオイルで、丸干しの旨味がグッと引き立つスパイスカレー風の味付け。こちらはひよこ豆などの豆が入っているのもポイント。「ナンに合わせたり、ピラフにしても美味しいです」と下園さん。スパイスの複雑な風味がしみた丸干しは、一気に本格的なインド料理に変身! ホコッとした豆も美味しいアクセント。

出典:下園薩男商店(マドラス風【カレー・ミックスビーンズ】)
ちなみに下園さんのいちばんお気に入りはマドラス風。丸干しを刻んでマヨネーズであえたものを、ふかしたじゃがいもにのせて食べるのがおすすめだそう。
アイデアをいただいて薬膳レシピは「ナガイモの丸干しポテサラ風」に。アンチエイジングによいナガイモをレンジで加熱してつぶして塩少々で調味し、オイルをかけて丸干しと豆をのせ、くるみを散らします。

出典:筆者にて撮影(ナガイモの丸干しポテサラ風。丸干しをほぐしてナガイモと混ぜながら召し上がれ)
スパイシーな丸干しの風味と、奥深い味わいのオイルがしみたナガイモの相性はバツグン。ビールが進む一品に仕上がります。
丸干しがこんなに多彩な味わいになるなんて。丸干しの可能性は無限大!
そして、いろいろな国の「洋服」に着替えた丸干しをいただくと、その町の喧噪が聞こえてきそう。各地のフレーバーをまとった豊かな旨みとともに「世界を噛みしめる」楽しい「味の旅」はいかが?
■旅する丸干しは、下園薩男商店の公式サイト内オンラインショップからお取り寄せください。

