まめ得のタネ

歯科医が答える!(1) 50代からの健康な歯作りのコツ

出典:photoAC


「生涯、自分の歯で食べる楽しみを味わえるように」との願いを込めて、厚生労働省と日本歯科医師会が推進している「8020(ハチマルニイマル)運動」。80歳になっても20本以上自分の歯を保とうという運動ですが、そのおかげもあってか、80歳以上で20本以上の歯を持つ人の割合は2016年には51.2%に上昇しています。年齢を重ねていくと口内環境も変わっていきますが、50代からはどんな点に気をつければいいのでしょうか? 歯科医の廣井久美さんにお話しを伺いました。

 

 

自分の歯の状態をしっかり知りましょう!

 

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80歳になっても20本以上自分の歯でいるために、50代以降のまめ得読者が気をつけるべきことを教えてください。

 

「とても基本的なことですが、まずご自身の歯の状態を知ることが大切です。例えば、歯のどこに詰め物があるか? それは何年前に治療したものでどんな素材を使っているか? といったことをきちんと答えられる方は少ないのではないでしょうか」(廣井久美先生・以下同)

 

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「虫歯治療は、虫歯になった歯を削って、そこに詰め物やかぶせ物をして治療をしていることがほとんどです。(虫歯が大きくなりすぎると歯を抜かなければならないこともあります)。詰め物にはCR(コンポジットレジン)、インレーなどの種類がありますが、共通して言える特徴は、歯と詰め物、被せ物の堺目には汚れが溜まりやすいということです。詰め物や被せ物をして年月が経つほどその境目には段差や溝ができやすくなり、その箇所から再び虫歯になりやすくなります。ですから、ご自身の歯のどこに詰め物があるかを知ったうえで歯磨きをすることは、とても大切なことなのです」

 

 

加齢とともに口の筋力も低下する

 

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「高齢になるにしたがい、舌や咬筋の筋力が低下します。加えて、口腔機能の低下や他の病気の影響、服用する薬の影響などから、唾液の出る量が減る傾向にあります。唾液は抗菌や清浄の働きもある大切な分泌物です。唾液の量が減ると口の中が乾いてしまい、細菌が増殖しやすくなってしまいます。シニア世代が虫歯や歯周病にかかりやすいのは、こうした口腔機能の低下も影響しているのです」

 

 

唾液の分泌を促す方法はあるのでしょうか?

 

 

「唾液は噛むことが刺激となって分泌が促されますので、食事をするときにしっかり嚼むといいですよ。また、唾液の量を増やす方法として唾液腺マッサージもあります」

 

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「耳の前を手指で後ろから前に向かってゆっくり押し、耳の前方にある耳下腺(じかせん)を刺激します。すると、唾液が分泌されますよ。また、喉のあたりから顎の下にかけてある顎下腺、舌下腺も同じように手指でゆっくり押すと唾液が分泌されます」

 

痛みがなくても定期的に歯科検診を受けましょう

 

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「歯周病は、歯周病菌の感染によって歯茎に炎症を起こし、症状が進行すると歯の土台である歯槽骨が溶けて健康な歯が抜けてしまう病気です。よく年齢とともに歯茎が痩せたという方がいますが、歯茎が痩せたのではなく歯槽骨が溶けてしまった状態です。虫歯と違って、痛みがないまま病状が進行し、重症化してから気づくことも多く、歯を失う原因の1位になっています。

 

また、歯周病は年齢が上がるほど罹患率が上がり、症状が進行(歯肉炎から歯周炎へ)しやすい疾患でもあります。皆さん、痛みがないとなかなか歯医者に足を運ばないかと思いますが、2~3ヶ月に1回など定期的に歯科検診を受けるようにしてください」

 

(先生のプロフィール)

 

廣井久美先生/奥羽大学歯学部卒業。歯科医師。都内の歯科医院勤務。

 

 

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