南知多・マル伊商店「生炊きしらす佃煮」。口当たりふんわりの激ウマ｜からだに美味しいお取り寄せ（26）
出典：マル伊商店
いわしは、薬膳においてアンチエイジングにうれしい食材。中医学で老化をつかさどる臓器「腎」のパワーをアップして、若々しい身体づくりに役立ちます。また、血行促進にもおすすめ。生活習慣病、肩こり、ダイエットなどに欠かせない効能があるのです。
その効能を手軽に摂取できるしらすは、ぜひ小まめに取り入れたい食材です。今回は、絶品の「しらすの佃煮」をご紹介。よくある佃煮とはまったく別モノ。一度食べたら、トリコになってしまうはず！
日本有数の生産量を誇る南知多のしらす
出典：筆者にて作成（マル伊商店は、愛知県南知多町でしらすや海の幸の卸・加工・販売を営んでいます）
少し意外かもしれませんが、愛知県は日本有数のしらす漁獲量を誇ります。とくに知多半島南部に位置する、南知多町で水揚げが盛ん。
「市町村別漁獲量でいえば、南知多町が全国1位なんですよ」と胸を張るのは、「マル伊商店」の社長である坂下史朗さん。マル伊商店は、南知多町師崎に明治41年創業。おもに師崎漁港で水揚げされたしらすをはじめとする海の幸の卸、加工・販売などを行う老舗です。
出典：芳賀由明さん提供（マル伊商店4代目社長となる坂下史朗さん。叔父である先代から事業を継承し、しらす事業に加えて、冷凍技術を用いた海外輸出事業にも進出）
南知多が、しらすの一大産地となった理由は、三河湾と伊勢湾が交わる「内湾」、そして太平洋に面した「渥美外海」と漁場が多いことにあるのだそう。
「内海と外海ではそれぞれ生育環境が異なるため、年間通して漁期が長いことから、このあたりは一大産地になったのです」と坂下さんが説明する。
出典：マル伊商店（しらすが豊富に水揚げされる師崎漁港からの風景。東は三河湾、西は伊勢湾に囲まれ、天然の良港として古くから漁業が盛ん）
マル伊商店はこの地でしらす漁が盛んになった昭和30年代に、いち早く、しらす干しの大型乾燥機や自動釜を導入。師崎漁港すぐに位置する工場で、水揚げ後すぐに加工。クセがなくふんわり、プリプリした食感のしらす干しの大量生産と供給を可能にしました。
出典：マル伊商店（マル伊商店の「しらす干し」。地元で朝に水揚げされた鮮度バツグンのしらすを甘塩に仕上げた創業当初からの逸品）
さらに1991年、南知多では数少なかった「直売所」をオープン。
出典：マル伊商店（マル伊商店師崎店。しらす、ちりめんじゃこ、干物、佃煮などの自社商品を販売）
このときに「スーパーでは買えない、ここならではの高品質商品を」と開発された「生炊きしらす」です。しらすの佃煮といってもよくある商品とはまったく別モノ！ 佃煮特有の固さがなくふわりとした食感と、やさしい味わいが魅力の佃煮は全国に多くのファンをもち、日本農林水産大臣賞も受賞した逸品です。
出典：筆者にて撮影（リピーター続出の、マル伊商店看板商品 佃煮「生炊きしらす」）
職人の技で、貴重な「生炊き」仕上げ、2か月長期保存可能な佃煮に
美味しさの秘密は商品名のとおり「生炊き」であること。これは日本でも数少ないマル伊商店ならではの技術です。
「一般的なしらすの佃煮はボイルしたしらすを、いったん乾燥させてから調味料とともに煮込んで作ります」と坂下さん。「うちの『生炊きしらす佃煮』は、生のしらすをタレと一緒に炊いて仕上げているので、しらすそのものの風味を堪能していただけます」。
文字にするとカンタンに思えるかもしれないですが、生のしらすを炊き上げることは大変なこと！
「そもそも、しらすは小さくてやわらかく繊細。とても形が崩れやすいんです。さらに生のしらすは水分が多く、煮ると身がグチャグチャにほぐれがち。そのうえ、あっという間にタレがしみ込んで、味が濃くなってしまいます」と坂下さんが説明する。
「日本各地でコウナゴやイカナゴの生炊き佃煮の技術を見た父が、『しらすも生炊きできないものか』と開発を始めましたが、当初はまったくうまくいかずに失敗続きだったそうです」と坂下さん。
試行錯誤の結果、ようやくしらすの形を維持しながら、納得のいく味わいの「生炊き」のしらす佃煮が完成しました。成功の秘訣はまず、「鮮度バツグンのしらすをスピーディに加工する」こと。
「鮮度が悪いと味が落ちるとともに、煮崩れしやすくなってしまうんです」（坂下さん）。朝、港に向かい新鮮で良質なしらすを目利き、買い付け後すぐに加工。セリから完成まで、わずか約３～4時間で仕上げます。
そして、「ゆで方」も大きなポイントです。熟練した釜炊き職人が、直径1メートルの蒸気釜でタレを煮立たせ、しらすを泳がせるようにして味付けしていきます。
出典：芳賀由明さん提供（坂下さんと、しらすをゆでる釜。タレを沸騰させて、しらすを30分煮込む）
その日のしらすのコンディションによって、やわらかく、そして味がほどよくしみこむ塩梅を見極めて仕上げます。
出典：マル伊商店（繊細なしらすを崩さないため、混ぜ方など扱いに細心の注意を払って炊き上げる）
そして、マル伊商店の生炊きしらすの凄さは「完全無添加で、『2か月』保存可能」ということ！
「一般的な佃煮は保存のために、増粘剤や、その代替品として水あめが使われています。しらす本来の美味しさを味わっていただくためには、余計なものは入れたくない。そこは譲れないこだわりです」と坂下さん。
タレは、しょうゆ、酒、本みりん、砂糖のみ。着色料や保存料は使用しなくても、長期保存を可能にするための工夫も施されています。
「保存料の役割を果たすのは砂糖です」と、坂下さん。糖分をしっかりとしらすの中に入れ込むことで、長期保存が可能になるのです。
ただし、それは至難の業。「『煮方が甘い』と日持ちしなくなってしまうものの、もちろん煮すぎては固くなってしまいますし、味に差し障りがでてきます」。
けれど煮る時間、温度、調味料の量の微妙なさじ加減によって、無添加を実現。まさに「職人技」をもってなし得た、「至高の佃煮」なのです。
銀色のまなざしが眩しい！ ふわふわで上品な味わいの佃煮
職人技で仕上げた「生炊き」のしらす佃煮。パッケージをあけてみると、まず「見た目」の違いに驚きます。
色合いが淡く、「カチカチ」感がなく、盛り付けると「ふんわり」。
出典：筆者にて撮影（見た目から上品なマル伊商店の生炊きしらす）
小さくも、美しくかたちをとどめたしらすの目がキラキラと、まるで「小さなスパンコール」のよう。
出典：筆者にて撮影（佃煮に「銀色のまなざし」！ こんなに佃煮を凝視したのは初めてです……）
輝きのある佃煮は、口に入れるとふんわりした口当たり、歯が喜ぶようなしなやかさ。味付けも濃すぎず、一切雑味がなく、はんなりとおだやかで、上品な味わい。佃煮なのに「しらすの繊細な味わい」が見事に残り、思わずうっとりするほど。
「一度ゆでたしらすを使って佃煮にすると、特有のクセが出てしまうんです。生炊きだからこそ、やわらかさと本来の味が楽しんでいただけます」と坂下さん。
炊き立てのごはんにのせると………。ごはんの甘みと佃煮が一体となって、このうえないやさしさ。佃煮がごはんのお供、お互いの味わいを引き立てた、完璧なペアリング。思わず笑みがこぼれる、至福のひととき！
出典：筆者にて撮影（生炊きしらすをごはんにのせて。ぜひ、美味しいお米で味わって）
マル伊商店内海店のイートインでは、出し汁をかけて食べる「生炊きしらすひつまぶし」も提供しているそうですが、お茶漬けにしても美味。
出典：マル伊商店（マル伊商店内海店で提供している、愛知県らしい一品「生炊きしらすひつまぶし」）
このままおつまみにしても、お酒がすすみます。また山椒をかけると「一般的な山椒佃煮」とは違って、「きっちりしらすを味わえる」美味しさに仕上がります。
絶品の佃煮で薬膳レシピを作ってみました。
まず、「生炊きしらすナガイモやっこ」。豆腐に刻んだナガイモ、細ねぎ、佃煮をトッピングします。生炊きしらすの上品な旨みで、まるで割烹で出てくるような一品に。佃煮の風味があるので、味付けはしょうゆではなく塩で少し補う程度で十分な美味しさ！
出典：筆者にて撮影（アンチエイジングに役立つナガイモを組み合わせた、生炊きしらすナガイモやっこ。ナガイモのサクサク感がよいアクセントに）
麺類にも使ってみました。「生炊きしらすのかまたま薬膳うどん」。ゆでたてうどんに、卵を落としてからめ、佃煮と、刻んだくるみ、細ねぎ、クコの実をトッピング。おだやかな味わいの生炊きしらすと、うどん、まろやかな卵の相性はバッチリ。癒されるおうどんに。
出典：筆者にて撮影（こちらにもアンチエイジングによいくるみ、クコの実をプラスした、生炊きしらすかまたま薬膳うどん。佃煮だけでかなり味が決まるので、めんつゆやしょうゆは必要なら、補足レベルで）
和風パスタに使っても美味。「生炊きしらす薬膳パスタ」にしてみました。ゆであげたパスタ、オリーブオイル、佃煮、昆布茶、わさび少々で味付けをして、もみのりをトッピングします。レモンを少ししぼると、さわやかな味わい！
出典：筆者にて撮影（腎の働きを高める昆布、のりを組み合わせた、生炊きしらす薬膳パスタ。ワインにも合う味わいです）
なんだか、思わず一匹一匹大切に食べたくなるような、生炊きしらす。南知多のしらすの美味しさがギュッとつまった「煌めく佃煮」、ぜひお試しを。
■「生炊きしらす佃煮」は、マル伊商店公式サイトのオンラインショップでお買い求めください。
