さつまいも栽培100年!熊本・大津町「古庄からいも農園」の絶品焼きいも|からだに美味しいお取り寄せ(20)
出典:古庄からいも農園
今回は熊本県大津町から、甘みバツグン!絶品の熟成焼きいもをご紹介します。
さつまいもは、中医学において消化をつかさどる脾を強め、気を補う食材。古来、滋養強壮によく、生命力を養う「最高のご長寿食材」とされてきたお芋です。食べ続けると体内すべての臓器を補う作用もあります。美容面においては、肌の新陳代謝をアップして、たるみの改善にも役立ちます。
もくじ
美味しさの要となる大津町の土壌にこだわったさつまいも栽培
日本でも有数のさつまいも生産量を誇る熊本県。なかでも熊本市と阿蘇山の中間に位置する大津町は、県内一栽培が盛んなエリア。良質なさつまいもは、市場でも評価が高く、ふるさと納税でも人気を誇る逸品となっています。
出典:筆者にて作成(阿蘇山の西隣り、大津町で「古庄からいも農園」は絶品さつまいも栽培を行っています)
「大津町は阿蘇の噴火によって長い年月をかけて降り積もった火山灰が作り出した、さつまいも栽培に最適な土壌を有しています」と語るのは、この地で100年以上の歴史を誇る、さつまいも専門農家「古庄からいも農園」の古庄利康さん。
農園の4代目となる利康さんは大学の農学部でさつまいもの研究を行い、東京で農業経営を学んだのちに8年前に就農。
出典:古庄からいも農園(古庄からいも農園の古庄利康さん。ネット販売、加工品、販路開拓にも積極的に取り組み、大津町産さつまいものPRにも力を入れる。ちなみに「さつまいも」は、九州では「からいも」とよばれている)
約7ヘクタールという広大な農園で、父の律雄さんとともに、代々受け継がれた技術を大切にしながら、ていねいな栽培を行っています。
出典:古庄からいも農園(古庄からいも農園の畑。東京ドームがすっぽり入るという広大な畑で、紅あずま、紅はるか、高系14号、シルクスイートをメインに栽培を行う)
じつは、古庄からいも農園の歴史は「大津町のさつまいもの歴史」と重なります。
そもそも、阿蘇のふもとに位置する大津町は阿蘇外輪山の火口瀬から吹き出す東からの「まつぼり風」とよばれる強風のために、栽培できる農作物が限られていました。
いわゆる「根もの」の野菜でないと難しいなか、古庄からいも農園の初代である近さんが、「火山灰の土壌には、さつまいもが適しているのでは」と研究を重ねました。その成果によって町内に栽培が広がり、一大特産品になったのです。
もともと恵まれた土壌ですが、利康さんはさらに、より味のよいさつまいもが育つ土壌を追求。とうもろこし、大豆など植物性の有機肥料にこだわり、年に1度土壌分析を行い、必要に応じて不足しているカルシウムやマグネシウムなどの化成肥料を補給して味わいを高める工夫をしています。
出典:古庄からいも農園(美味しいさつまいもの要となる土づくりにはとことんこだわり、肥料設計の研究を重ねている)
有機肥料にこだわるのは、美味しく仕上げることはもちろんですが、「大津町のさつまいもに適した土壌」を維持するため、という理由もあります。
有機肥料は土の中の微生物の餌になり、農作物が育ちやすい土壌になるといわれています。微生物を失わず、土の中の生態系を崩すことがありません。大津町のさつまいもに適した土壌のよさを損なうことなく、栽培が可能になります。
さつまいもの美味しさの要となる、土壌は産地の宝。だからこそ守らなければならないもの。
「さつまいもはほかの野菜を栽培した土壌では、栽培がしづらいという特徴があります」と利康さんが続けます。「肥料が入りすぎたりして、味が変わってしまうんです」。
大津町のさつまいもは長きにわたり、さつまいもを作り続けてきた土壌があってこそ育まれる味わい。これもまた、美味しさの秘密です。未来に向けて、地元の誇りである土壌の質を維持することも、利康さんは大切にしているのです。
45日「貯蔵庫」で寝かせて熟成。甘みバツグンのさつまいものみを出荷
大津町のさつまいもには、もうひとつ、この地ならではの美味しさの秘密があります。それは「貯蔵庫」。大津町ではさつまいもは収穫ののち、必ず貯蔵庫で45日寝かせてから出荷されます。「さつまいもは熟成すると、含まれているでんぷんが糖に変わり、格段に甘く、美味しくなります」と利康さん。
じつは、この貯蔵庫を初めて開発したのは、利康さんの祖父にあたる2代目の信一さん。
出典:古庄からいも農園(古庄からいも農園の、さつまいも貯蔵庫。日本で初めて開発された」
「それまで、さつまいもは収穫後、畑に穴を掘り、土をかぶせて貯蔵していました。けれど、ネズミによる被害があったり、温かくなると芽が出てしまうといった問題があったようです」と利康さんが説明します。
コンクリート造りに土を被せ、天井に通気口をあけた貯蔵庫は、山の木々で日陰になり、地下水のおかげで適切な温度と湿度を維持。呼吸を続けるさつまいもが放つ炭酸ガスを逃す仕組みになっていることで、冬を越す貯蔵も可能にしているのです。これも、信一さんの研究の賜物。
出典:古庄からいも農園(自然の地形を利用して開発された貯蔵庫内は、さつまいもの保存に適した温度、湿度が保たれている)
一般的にさつまいもがスーパーなどに出回るのは10~11月。大津町では貯蔵庫で寝かせることを前提に、他産地よりも早めに栽培を行っています。そのため4~5月に植え付け、8月のお盆明けには収穫をスタートして貯蔵庫へと搬入。
よって、10月ごろに店頭に並んだ大津町のさつまいもは、他産地の掘りたてのものとは違って、熟成した「とびきりの美味しさ」ということ!
さらに「収穫時のていねいな扱いも、大津町が誇れるところです」と利泰さんは続けます。
さつまいもは、一般的に収穫の際にできた傷などから病原菌などが入って腐りやすいという問題があります。そのため高温多湿の場所に置き、傷口にコルク層をつくる「キュアリング」とよばれる処理が施されます。
ところが、「大津町では、キュアリングの必要がないんです」と利康さん。これはそもそも、収穫からコンテナに入れるまで取り扱い方がひときわていねい、という証。
出典:古庄からいも農園(収穫された古庄からいも農園のさつまいも。傷もなく、美しい!)
大津町のさつまいもの美味しさは、長い歴史のなかで先人の想いを受け継ぎ、生産者の皆さんが心を込めた賜物なのです。
贈る文化を存続するために、さつまいもスイーツも開発
とびきり美味しい大津町のさつまいもを、もっと多くの人に食べてもらいたい、と利康さんは、加工品の製造もスタート。販売するさつまいもスイーツ専門店「BATATAS」も立ち上げました。
「大津町のさつまいもは、かつてお中元やお歳暮によく使われていました」と利康さん。しかし、現代の家庭では20本以上ものさつまいもを贈られても食べ切れない……という状況のなか、「さつまいもを贈る文化を存続させたい」と開発。多彩な商品が揃います。
出典:古庄からいも農園(フランス料理店とコラボして完成した「焼き芋のテリーヌ」。しっとり濃厚な味わいが大好評)
冷凍焼きいも「農家のやきいも」は、ふるさと納税でも大人気の商品。使用しているのは、糖度が高くしっとりした紅はるか。もちろん45日間熟成させたものを、最低でも1時間かけてじっくりと焼き上げます。
「収穫時期によって硬さが異なるので、焼き時間はこまめに調整します。栽培農家だからこそ、いちばん美味しい状態に仕上げることができるんです」と利康さん。
焼き上げたらすぐに、真空パックに入れてその日のうちに冷凍。いちばん美味しい状態の焼きいもを、1年中楽しむことができます。
出典:筆者にて撮影(「農家のやきいも」。さまざまなサイズが入っているので、用途や気分に合わせて選べるのもうれしい)
レンジで加熱していただいてみました。しっとり、シルキーな口あたり、そしてなんとも上品な甘さ。後味は、スッキリ。
出典:筆者にて撮影(レンジ加熱で手軽に、できたての味が楽しめる。冷凍することで、さらにさつまいもの甘みがアップ。まるで高級スイーツのような味わい)
焼き芋にありがちな「どっしり甘く極めて濃厚」というよりも、押しつけがましさがなく、あくまで「ナチュラルな気品」のある味わい。
いうならば「上品な和菓子」をいただいているような気持ちになります。
出典:筆者にて撮影(思わず見とれてしまう断面。みずみずしくしっとりしつつも、ホックリ感も残る。じつにバランスがよい味わい)
それゆえに、「一度食べたら当分いいかな」ではなく、すぐにまた「食べたくなってしまう」。そんな焼き芋です。
収穫時期によって、身質や甘みも変化するそう。いろいろな時期に食べ比べてみるのも楽しいかもしれません。
また、そのまま常温解凍して冷たい状態で食べても美味しくいただけます。
天ぷらや煮物、サラダなど、料理に使っても絶品の味わい
利康さんによれば「焼きいもを、料理に使うのもおすすめ」とのこと。イチオシは「いも天」。半解凍したものを素揚げにすると外はカリッ、中はとろっとした味わいで、生のさつまいもより美味しく仕上がります。
わたしも「さつまいも薬膳」を作ってみました。まず「さつまいもとりんごのパワーアップサラダ」。さつまいも同様、気を補う効果が高いりんごと合わせ、くるみをトッピングした疲労回復にうれしいサラダです。
焼き芋をざっくりつぶして、薄切りにしたりんごと合わせ、ヨーグルト、オリーブオイル、マスタード、レモン汁少々を合わせたドレッシングであえて、刻んだくるみを散らします。
ヨーグルトのドレッシングをまとった焼き芋は、グンと華やかでエレガントな味わいに。白ワインのお供にもぴったりです。
出典:筆者にて撮影(「さつまいもとりんごのパワーアップサラダ」。リンゴのサクサク、クルミがアクセントになって、よりさつまいもの美味しさを味わえます)
そして、同じくパワーアップに役立つ「さつまいもと、鶏ひき肉、きのこのスパイシー煮」。こちらもさつまいも同様、気を補う鶏肉、きのこを組み合わせました。
鶏ひき肉としめじ、にんにくみじん切りをオリーブオイルで炒めて水、コンソメとカレー粉少々を加えてしばらく煮たら、カットした焼き芋を加えてサッと煮ます。塩で味を調えて、クミンシードをふって完成。
さつまいもとカレー粉やスパイスは好相性。焼き芋の甘みが、キリッとしまってまた違う表情に。男性にもおすすめ。
出典:筆者にて撮影(「さつまいもと、鶏ひき肉、きのこのスパイシー煮」。ちなみに焼きいもを「クミン塩」で食べてもとても美味しい!)
そのまま食べても、さまざまなアレンジでも楽しめる焼きいも。大津町のこだわりさつまいもの魅力を、手軽に味わってみてくださいね。そして旬にはさつまいもそのものも、ぜひ堪能を。
■熊本県大津町「古庄からいも農園」の絶品焼きいもは、古庄からいも農園公式サイトにてお買い求めください。