ナスやサンマ、黒きくらげなど薬膳的「食べる座薬」で、つらい痔の悩みを解消
なかなか人に言えないつらいお尻の痛み。薬膳の力で改善をはかりましょう。
痔には、さまざまなタイプがありますが、その根底にあるのは「血の巡り」の悪さ。中医学で、「於血(おけつ)」といわれる体質の場合、肛門周辺の血流が悪くなることで、痔になりやすいのです。
血行を促進する食材や、気を補う食材で健やかなお尻に
出典:photoAC
於血の人は血の巡りが悪いために、身体の末端にまで栄養が行き届かず、新陳代謝が低下して老廃物が身体にたまりやすい状態になっています。慢性的な肩こり、頭痛もち、関節痛がある、打ち身やアザができやすいといった不調が見られがち。
痔ばかりか、血液がドロドロになり、あちこちに固まりやすいことから、がんなどの悪性腫瘍、脳梗塞、心筋梗塞に要注意な体質です。
改善のためには、血行を促進する食材を積極的に取り入れることが大切です。
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おすすめの野菜はナス。血を全身に巡らせる作用が高く、痔の改善に高い効果があるのです。また、黒きくらげも血液を浄化してサラサラにするとともに、痔の痛み止めにも威力を発揮します。そのほか黒豆、らっきょうも改善に役立ちます。
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魚介ではサンマ、サバ、アジなどの青魚がおすすめ。血中の老廃物を洗い流し血液をサラサラにする働きがあります。
また、痔は人間のエネルギー源である「気」が不足している場合にも引き起こされます。この場合、痛みが少ないものの痔核が飛び出す、脱肛しやすいといった傾向があります。
気には、内臓を「あるべき位置」に維持する働きがありますが、気が不足してしまうと持ち上げきれずに下垂しがち。よって「肛門が飛び出す」という現象が起きてしまうのです。
気が不足している人は、ふだんから疲れやすい、朝なかなか起きられない、胃腸が弱い、よく風邪をひくといったトラブルが見られます。
対策としては、血行促進とともに、気をしっかり補う食材を取り入れること。
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おすすめはきのこ類。気を全身にたっぷりとチャージして、改善に役立ちます。そのほか野菜ではイモ類、豆類、ブロッコリーも気を補う作用に優れています。
痔の悪化防止には、黒ごまで便秘対策を
痔の悪化防止には、便秘対策も重要です。腸に潤いを与える食材を取り入れて、便通をよくすることもポイント。
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便秘対策としてぜひ、取り入れていただきたいのが黒ごま。その効能は「潤腸通便」。腸に潤いを与えて、便を出すのに役立ちます。老人性便秘にも効果大。
料理にふりかけたり、飲みものに混ぜるなどして、こまめに使うように心がけましょう。
また、黒ごまは血を補う働きも高い食材。血行不良を改善するためには、「血を補う食材」と「血を巡らせる食材」の組み合わせが効果的です。痔の改善対策として、先に挙げた食材にプラスすることをおすすめします。
「痔」の改善におすすめの薬膳レシピ
出典:筆者にて撮影(ナスときのこ、サンマ蒲焼缶の丼)
★ナスときのこ、サンマ蒲焼缶の丼
痔の根本的原因である血行不良の改善に役立つナス、黒きくらげ、サンマと痔核・脱肛対策によいきのこ、便秘におすすめの黒ごまを使った薬膳レシピ。
サンマ蒲焼缶を使えば手軽に完成。炒めたナスに蒲焼缶の味がしみて、とろける美味しさ。黒ごまでコクのある味わいに仕上がります。
【材料】 2人分
ナス 2本
黒きくらげ(乾燥) 5g
まいたけ 1/2パック
さんま蒲焼缶 1缶
水 50cc
しょうゆ 小さじ1
黒すりごま 大さじ1
青じそ 3枚
サラダ油 大さじ2
ごはん 丼2杯分
【作り方】
① ナスは縦半分に切り、斜め1.5cmに切り、塩水につけておく。黒きくらげは水でもどし、食べやすく切る。まいたけはほぐしておく。青じそは千切りにする。
② フライパンに油を熱し、ナスを炒める。火が通ったら黒きくらげ、まいたけも加えて炒め合わせる。
③ ②にサンマ蒲焼缶を汁ごと入れて水、しょうゆも加えて混ぜ、汁気がなくなるまで煮る。
④ 丼にごはんを盛り、③の2分の1量ずつをのせて黒すりごまをふり、青じそをのせる。
次回は、「冷え」対策におすすめの薬膳情報とレシピをお届けします。
1月25日(火)の配信予定です。