ニラや牛肉、山椒など「湯たんぽ食材」を使った薬膳で、冷えを撃退
寒さが一段と厳しくなった今日このごろ。冷えは万病のもとといいますが、まさにそのとおり。免疫力が落ちて、本来身体が備えている修復機能が低下し、風邪をひきやすくなったり、疲労の原因につながります。
また、冬は冷えに弱い臓器「腎」の働きが衰えやすくなります。腎は老化をつかさどる臓器。恐ろしい「冬老け」を防ぐためにも、冷えから身を守ることは重要なのです。
冬は「温熱性」の食材を積極的に取り入れる
出典:photoAC
冷えを撃退するには、身体を温める食材選びが大切です。中医学において、すべての食材は身体を温める「温熱性」、身体を冷やす「寒涼性」、どちらでもない「平性」に分けられるとしています。
夏は身体の熱を冷ます食材が必要ですが、冬はとにかく温熱性の食材でしっかりと身体を温めることが大切です。いわば食べる「湯たんぽ食材」を積極的に取り入れましょう。
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身体を温める王様的食材といえば、しょうがとねぎ。しょうがは「生姜(しょうきょう)」とよばれる立派な冷え解消の食材。身体の芯から発汗を促す作用があります。ネギも身体を温めて寒さを追い払います。
また、ニラも別名「起陽草」とよばれるほど、温める効果が大。とくに下半身の冷えによく、血流をアップする効果が高いので冬にたっぷりと取り入れたい野菜です。
肉は牛肉・羊肉、魚介類ではエビが温熱性の食材です。ちなみに、寒涼性の肉は、馬肉、魚はカニ、タコなどです。
また、手軽に冷え解消に使えるのがスパイス類。身体を温めるパワーが絶大なのです。
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おすすめは山椒。身体を温める効果がバツグンに高く、冷えによる腹痛の解消にも役立ちます。山椒というと「ウナギ」のイメージしかないかもしれませんが肉のソテーや焼いた魚、炒めものにかけるとスパイシーな風味で美味しくいただけます。麻婆豆腐など中華料理に使われる「花椒」は、さらに温めるパワーが高いので、手に入るときは使ってみましょう。
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シナモンも頑固な冷えに悩む人におすすめです。「桂皮」の名前で生薬としても用いられ、その効能は「助火補陽(じょかほよう)」。身体に火をつけるほど全身をポカポカにしてくれます。同じく温める効果の高い紅茶にふったり、肉料理などに使ってみましょう。
そのほか、こしょう、フェンネル、クローブ、八角も冷え撃退に役立ちます。
身体を「冷蔵庫化」する食べ方に気を付ける
身体を温める食材を取り入れることも大切ですが、身体を「冷蔵庫化」する食べ方を慎むことも大切です。
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冷えを寄せ付けないために、冬の調理は基本的に「オール加熱」。生野菜はゆでる、魚は焼く、ドリンク類はホットか常温を心掛けましょう。
また身体を冷やす「寒涼性」の食材、キュウリなどウリ系食材、トマト、レタスなどの夏野菜、ニガウリ、バナナ、マンゴーなど南国のフルーツは控えめにしましょう。
意外に知られていませんが大根、ごぼう、レンコンや豆腐も寒涼性食材です。食べたいときは、身体が熱を持っている日中に取り入れること。あるいは、しょうがやネギなど温熱性の食材と組み合わせるとよいでしょう。
また白砂糖も要注意! 身体を冷やします。甘みづけは、温熱性の「黒砂糖」がおすすめです。
「冷え」対策におすすめの薬膳レシピ
出典:筆者にて撮影(牛肉とニラの山椒風味炒め)
★牛肉とニラの山椒風味炒め
身体を温める牛肉、ニラ、しょうが、ネギを組み合わせ、さらに山椒も加えた
「温活食材オールスターズ」レシピ。山椒の香りとピリリとした風味で、ごはんがすすむ炒めものです。
【材料】 2人分
牛切り落とし肉 150g
ねぎ 1/2本
ニラ 1/2わ
しょうが 1かけ
にんにく 1かけ
A(しょうゆ・オイスターソース・酒大さじ1/2)
山椒 適量
塩・こしょう・サラダ油 適量
【作り方】
①牛肉は塩・こしょうをふる。ネギは斜め薄切り、ニラは4センチ長さに切る。しょうが、にんにくはみじん切りにする。
②フライパンに油を熱し、しょうが、にんにくを入れて炒め、香りが立ったら牛肉を入れて炒める。牛肉に火が通ったらネギも入れて炒める。
③②に混ぜ合わせたAを入れてからめ、ニラを加えて全体をざっと混ぜ、山椒をふる。
次回は、「頭痛」対策におすすめの薬膳情報とレシピをお届けします。
2月1日(火)の配信予定です。