「動悸・息切れ」対策に、ハツやラッキョウを用いた薬膳を
最近、胸がしょっちゅうドキドキする。少し動いただけなのにすぐ、息切れがする……。食の力で、気になる動悸の改善に努めましょう。
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中医学において動悸は、「心」とよばれる臓器の弱りが原因と考えます。
心は血脈と血液循環機能をつかさどる臓器。血を押し出し、全身にいきわたらせる働きをしています。この機能が低下すると、動悸、息切れしやすくなってしまうのです。狭心症、心筋梗塞、不整脈といったトラブルも心の弱りが原因です。
不安感、物忘れ、不眠、赤ら顔は心の弱りのサイン
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心が弱っているサインとしては、不安感、落ち込みやすい、無気力といったトラブルも見られます。中医学では心は意識や思考、感情などの精神活動もつかさどる臓器と考えます。脳の働きは心との関係が深いとされているのです。
また、物忘れが激しくなることもあります。記憶力が低下するというよりも「鍵のかけ忘れ」「書類を忘れた」といった“うっかり系”が増えるのです。
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不眠も心の弱りの決定打。非現実的な夢を、あれこれ見る場合も同様です。
心の状態は、関連する器官である「顔」や「舌」にも出やすいとされています。赤ら顔になったり、言葉がうまく出てこない、ろれつが回らないといった場合は要注意です。
汗との関係も深く、少し動いただけで顔や全身にドッと汗をかくといった特徴もあります。
心は暑さに弱く、夏にその働きが低下しがちです。とくに動悸・息切れといった症状が悪化しやすいので気をつけましょう。心が弱い人は、暑がり、ほてりやすいタイプが多く、そもそも夏が苦手な傾向もみられます。
ちなみに「寝ているときに笑っている」のも、心が弱っているサイン。家族に指摘されたら注意しましょう。
鳥や豚のハツ、ラッキョウで心のパワーをアップ、症状を改善
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動悸・息切れを改善するためには、とにかく心の働きを高める食材を取り入れることが大切です。
おすすめは鳥や豚のハツ。中医学の考え方では「同物同治」といって、身体の弱りは同じ臓器で補うとよい、としています。鳥や豚のハツ=心臓は、弱った心の働きを補う効果が高いのです。
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魚介ではカキが心のパワーアップに役立ちます。精神安定、不眠の改善にも威力を発揮します。
また、動悸・息切れの強い味方なのがラッキョウ。心臓系トラブルに効果が高く、胸苦しさの解消にも役立ちます。
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これからの時期、スーパーに登場する百合根も効果大。乾燥したものは「百合(びゃくごう)」という名前で生薬としても用いられています。更年期障害の情緒不安定にもよく、女性にとっては乾燥肌、シワの改善にも役立つうれしい食材でもあります。
なつめも、動悸・息切れが気になる方にぜひ試していただきたい食材です。中華食材コーナーで販売されている乾燥なつめが手軽に使えます。煮出してお茶として飲んだり、汁ものや煮ものに入れるとほんのりした甘みがついて美味しく仕上がります。
飲みものでは、牛乳、緑茶が心をサポートする働きがあります。
また、徹夜や夜更かしはもっとも心を弱らせて動悸や息切れを悪化させてしまいます。しっかりと睡眠時間を確保するように心がけましょう。
「動悸・息切れ」対策におすすめの薬膳レシピ
出典:筆者にて撮影(ハツとらっきょうのカレー風味マリネ)
★ハツとらっきょうのカレー風味マリネ
心の働きを強めて、動悸・息切れの改善に役立つハツと、らっきょうを組み合わせた薬膳レシピ。ハツは市販の焼き鳥串を使用すれば、カンタンにできあがります。らっきょう酢がしみたカレー風味のハツと、らっきょうのサクサク感がマッチした一品はビールのおつまみにもぴったり。ハツは塩でもタレでも美味しく仕上がります。
【材料】2人分
ハツ(市販の焼き鶏串) 4本
らっきょう甘酢漬け 80g
細ねぎ 適量
A(らっきょう甘酢漬けの酢 大さじ2、カレー粉 少々、こしょう 適量)
【作り方】
①ハツは串からはずす。らっきょうは3~4つに切る。細ねぎは小口切りにする。
②ボウルにハツ、らっきょうを入れ、混ぜ合わせたAも加えて全体を混ぜて器に盛り、細ねぎを散らす。
次回は、「二日酔い」対策におすすめの薬膳情報とレシピをお届けします。
12月28日(火)の配信予定です。