【海の神様】船旅や漁業の無事を祈願!海上安全・航海守護の神社・お寺

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いにしえより、海は人々に恵みをもたらす一方で、荒ぶる自然として恐れられてきました。そのため、古くから航海の安全や大漁を祈る「海の神様」を祀る神社やお寺が日本各地に存在します。
本記事では、船乗りや漁師、そして海を愛するすべての人々が航海の無事を願って参拝してきた海上安全・航海守護にご利益のある神社・お寺を厳選してご紹介します。
長い歴史の中で海の男たちに信仰されてきた由緒ある場所から、絶景を望む岬に鎮座する場所まで、それぞれが持つ物語やご利益について紐解いていきます。
次回の船旅や釣りに出かける前に、海の安全を祈願しに訪れてみてはいかがでしょうか。
もくじ
海上安全・航海守護の神社・お寺10選
【鹽竈神社】(宮城県塩竈市)
出典:公式ホームページ (左右宮拝殿)
鹽竈神社(しおがまじんじゃ)は、宮城県塩竈市に鎮座する歴史ある神社です。主祭神は潮の満ち干を司る神である鹽土老翁神(しおつちのおじのかみ)であり、この神は日本に塩作りを伝えたとされています。そのため、古くから製塩の守護神として崇敬されてきました。
また、鹽竈神社は海上交通の要衝である塩釜港に位置することから、航海の安全や漁業の守護神としても厚く信仰されています。航海守護や海上安全を祈願する人々が多く訪れ、特に漁師や船員からの信仰が篤いです。
創建は古く、平安時代初期には朝廷から篤い崇敬を受けていました。東北地方の総鎮守として、また、陸奥国一宮として古くから地域の人々に信仰されてきた格式高い神社です。境内からは塩釜の港や松島湾が一望でき、景勝地としても知られています。
住所:〒985-8510 宮城県塩竈市一森山1-1
地図:https://maps.app.goo.gl/VuueQyXpx5NMvioK7
【洲崎神社】(千葉県館山市)
出典:千葉観光ナビ (浜の鳥居)
洲崎神社(すのさきじんじゃ)は、千葉県館山市の東京湾の入口に突き出た岬に鎮座する古社です。祭神は天比理乃咩命(あめのひりのめのみこと)で、安房国を開拓した忌部氏の祖神の后神にあたります。
古くから海上交通の要衝に位置するため、航海安全や豊漁の守護神として漁師や船員から篤い信仰を集めてきました。沖を通る船が航海の安全を祈願して絵馬を奉納する風習があったと伝えられ現在もその信仰は続いています。
また、源頼朝が石橋山の戦いに敗れた後、安房国に逃れて再起を祈願したことでも知られ、再起・再興の神としても崇められています。
境内からは東京湾や富士山、伊豆半島を一望でき、景観の美しさでも知られています。神社の背後にある御手洗山は県の天然記念物に指定されており、自然と歴史が調和した荘厳な雰囲気を醸し出しています。
住所:〒294-0316 千葉県館山市洲崎1697
地図:https://maps.app.goo.gl/Cat5Lv8DNYPif3G26
【氣比神宮】(福井県敦賀市)
出典:公式ホームページ (氣比神宮 拝殿)
氣比神宮は福井県敦賀市に鎮座する、北陸道総鎮守として崇められる大社です。主祭神は食物や海上交通、衣食住全般を司る伊奢沙別命(いざさわけのみこと)で、御食津大神(みけつおおかみ)とも称されます。
古代から日本海交通の要衝である敦賀に位置するため、航海安全や漁業の守護神として特に信仰が厚いです。境内には、海上での安全を祈願して多くの船員や漁師が奉納したとされる絵馬が数多く見られます。
また、仲哀天皇、神功皇后、応神天皇など七柱の神々を祀っており、これらの神々も海上安全や農漁業に御神徳があるとされています。
特に神功皇后は安産の神としても崇められており、母子ともに海上での安全を願う信仰も存在します。古くから朝廷や武将からも篤い崇敬を受け、国の重要拠点として歴史に深く関わってきた格式高い神社です。
住所:〒914-0075 福井県敦賀市曙町11-68
地図:https://maps.app.goo.gl/YHqYiKDS1Vmbo7LKA
【住吉大社】(大阪府大阪市)
出典:公式ホームページ (住吉大社 境内)
住吉大社は大阪府大阪市に鎮座する全国約2,300社の住吉神社の総本社です。主祭神は住吉三神(底筒男命、中筒男命、表筒男命)と神功皇后の四柱で、これらは禊祓(みそぎはらえ)の際に海中より出現したとされる海の神様です。
この由緒から、住吉大社は古くから航海の守護神として篤い信仰を集めてきました。古代には遣唐使船の出発に際して航海の安全を祈願し、また万葉集にもその御神徳を詠んだ歌が残されています。江戸時代には北前船をはじめとする海上輸送が盛んになり、多くの船主や船員が航海安全や商売繁盛を祈願して参拝しました。
現在でも、境内には当時の船員たちが奉納した石燈籠が数多く残り、海の守り神としての歴史を今に伝えています。
また、本殿は国宝に指定されており古代建築様式を今に伝える貴重な建物です。反橋(太鼓橋)も住吉大社の象徴として知られ、多くの参拝者が渡る名所となっています。
住所:〒558-0045 大阪府大阪市住吉区住吉2-9-89
地図:https://maps.app.goo.gl/5LV3MJNV8jVWfuzUA
【海神社】(兵庫県神戸市)
出典:公式ブログ(正月の海神社鳥居)
海神社(かいじんじゃ・わたつみじんじゃ)は兵庫県神戸市垂水区に鎮座する歴史ある神社です。主祭神は、綿津見三神(底津綿津見神、中津綿津見神、上津綿津見神)で、いずれも海の神様として知られています。
その由緒は神功皇后が三韓征伐からの帰途、当地で暴風に遭った際に海神三神を祀ったところ無事に難を逃れることができたことに始まると伝えられています。
このことから、古くより海上安全、航海守護、漁業繁栄の神として、海の仕事に携わる人々から篤い信仰を集めてきました。
特に毎年10月に行われる「海上安全渡御祭」では御神輿を御座船に乗せて海上を巡る神事が行われ、多くの船がこれに供奉します。
この祭りは、今もなお、海と深く関わってきた地域の歴史と信仰を伝える大切な行事です。
住所:〒655-0028 兵庫県神戸市垂水区宮本町5-1
地図:https://maps.app.goo.gl/GUsLxJdWP89mysRA7
【厳島神社】(広島県廿日市)
出典:公式ホームページ (厳島神社 鳥居)
厳島神社は広島県廿日市市の宮島に鎮座する、世界文化遺産にも登録されている神社です。ご神体である島全体を神聖な場所とするため、社殿は陸地を避け、海上に建てられました。
主祭神は宗像三女神(むなかたさんじょしん)である市杵島姫命、田心姫命、湍津姫命で、古くから航海の安全や交通、財宝の神として信仰されてきました。特に瀬戸内海は古くから海上交通の要衝であり、多くの船乗りや交易商人が航海の無事を祈願しました。
海に浮かぶように建つ社殿と大鳥居は、干潮・満潮によってその姿を変える神秘的な光景を見せます。満潮時には小舟で大鳥居をくぐる「海上参拝」も可能で、現在もフェリーが鳥居に近づく便を運航するなど、海上交通との深い繋がりを今に伝えています。
また、社殿の床板には隙間を設けるなど、潮の満ち引きや高波に耐えるための建築技術が随所に凝らされており、これも海上での安全を守る知恵として評価されています。
住所:〒739-0588 広島県廿日市市宮島町1-1
地図:https://maps.app.goo.gl/ZGwQiHd1SutqUsuM7
【金刀比羅宮】(香川県仲多度郡)
出典:公式ホームページ (金刀比羅宮 本殿)
金刀比羅宮(ことひらぐう)は香川県琴平町の象頭山に鎮座し、「こんぴらさん」の愛称で親しまれています。主祭神である大物主神は、古くから海の神様として信仰されており、航海安全、漁業繁栄、大漁満足のご利益があるとされています。
古代から海上交通の要衝である瀬戸内海を見下ろす場所に位置するため、多くの船乗りや漁師、船主から篤い信仰を集めてきました。特に、江戸時代に盛んになった北前船の船乗りたちが旅の安全を願って参拝したことで広く知られています。
かつては遠洋航海に出る船が航海の無事を祈願し、「流し樽」と呼ばれるお守りを海に流す風習も存在しました。
多くの石段を登る参道の険しさも、航海の困難さを乗り越えることと重ねられ、信仰を深める要素となっています。
住所:〒766-8501 香川県仲多度郡琴平町892-1
地図:https://maps.app.goo.gl/LWBRQG8vuTr7Ansm7
【宗像大社】(福岡県宗像市)
出典:公式ホームページ (辺津宮)
宗像大社は福岡県宗像市にある三社の総称で、沖ノ島(沖津宮)、大島(中津宮)、田島(辺津宮)にそれぞれ御祭神である宗像三女神を祀っています。この三女神は、古事記や日本書紀に登場し、天照大神の命令により「道主貴(みちぬしのむち)」として、大陸や朝鮮半島へ向かう航海の安全を守る神として祀られました。
特に、神域全体が信仰の対象となっている沖ノ島は、古くから海上交通の要衝に位置し、国家的な祭祀が数多く行われていました。沖ノ島から発掘された国宝級の奉納品は、航海の無事を願って捧げられたものであり、当時の海運がいかに重要であったかを物語っています。この貴重な歴史的遺産が認められ、2017年には「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群として世界遺産に登録されました。
現在も宗像大社は海の守り神として、漁業関係者や船員だけでなく旅行や仕事で海外へ渡る人々からも篤く信仰されています。
航海安全を祈願する人々の思いは、古代から現代まで変わることなく受け継がれています。
住所:〒811-3505 福岡県宗像市田島2331
地図:https://maps.app.goo.gl/XRX81C4WgLRrw1B96
【志賀海神社】(福岡県福岡市)
出典:公式ホームページ (志賀海神社 拝殿)
志賀海神社は福岡県福岡市東区の志賀島に鎮座し、「海神(わたつみ)の総本社」「龍の都」と称えられる古社です。御祭神は綿津見三神(底津綿津見神、中津綿津見神、上津綿津見神)で、海の底、中、表を守る海の主宰神とされています。
古くから海上交通の要衝である博多湾の総鎮守として、航海の安全や漁業の繁栄を願う人々から篤い信仰を集めてきました。万葉集にも志賀海神社を詠んだ歌が残されており、航海の難所を無事に通過できた感謝を神に捧げる内容が記されています。
また、境内には航海安全を祈願して奉納された1万本以上の鹿の角を納めたとされる「鹿角堂」があり、海の守り神としての長い歴史を物語っています。
毎年行われる祭事でも海上との繋がりは深く、漁師たちが大漁旗を掲げた漁船で参拝に訪れるなど現在もその信仰は受け継がれています。
住所:〒811-0323 福岡県福岡市東区志賀島877
地図:https://maps.app.goo.gl/wRTdm2c2LLRqB4zW7
【波上宮】(沖縄県那覇市)
出典:公式ホームページ (波上宮)
波上宮は沖縄県那覇市にある海に面した断崖の上に鎮座する神社です。「なんみんさん」の愛称で親しまれ、琉球八社のひとつとして古くから琉球王国の総鎮守として崇敬されてきました。
創建は定かではありませんが、遥か昔から海の彼方にあるとされる神々の国「ニライカナイ」を信仰する人々が、この聖地で豊漁や豊穣を祈願したことに始まると伝えられています。その立地から、古くより海上交通の要衝であった那覇港に出入りする船乗りたち、航海の安全を祈願したり、無事の帰港を感謝したりする場所でした。
琉球王府もまた、国家の安泰や航海の安全を祈る重要な拠点として、篤い崇敬を寄せていました。この歴史は現在も受け継がれており、海に携わる人々だけでなく、沖縄を訪れる多くの観光客が旅の安全を願って参拝しています。本殿の屋根には沖縄らしい赤瓦が用いられ、狛犬の代わりにシーサーが置かれているなど独特の文化が感じられることも特徴です。
住所:〒900-0031 沖縄県那覇市若狭1-25-11
地図:https://maps.app.goo.gl/1ddk9ukDM8io8wpf6