株式投資でFIREするためにはいくら必要?資産運用で早期リタイアを実現する方法

出典:編集者
年金だけで本当に大丈夫だろうか――
そう感じたことが一度でもある方に、ぜひ知っていただきたい考え方があります。
それがFIRE(ファイア)=経済的自立と早期リタイアというライフスタイルです。
若い世代のものと思われがちですが、実は今、60代を前に「働き方を見直したい」「年金に頼らず老後資金を増やしたい」という方々の間でも注目を集めています。
「今からでも間に合うのか?」
「どれくらいの資産が必要なのか?」
「年金や持ち家はどう考えればいいのか?」
本記事では、そうした不安や疑問を解消しながら、実際に必要な資産額の計算方法や年代別のシミュレーションを通して、現実的なFIREの形をご紹介します。
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もくじ
FIREとは何か?
FIREとは「Financial Independence, Retire Early(経済的自立と早期退職)」の略で、一定の資産を築くことで、働かなくても生活できる状態を目指すライフスタイルのことです。
2000年代以降、米国を中心に広がったこの考え方は、日本でも注目を集めています。
背景には、長時間労働や将来不安、人生100年時代への対応といった社会的な変化があります。
FIREを目指す理由とその魅力
FIREを目指す人が増えている理由は多岐にわたりますが、最大の魅力は「時間の自由」です。
経済的な不安から解放されることで、自分が本当にやりたいことに時間を費やすことができます。
また、仕事に縛られない生活が精神的なゆとりをもたらし、健康や人間関係にも良い影響を与えるといわれています。
FIRE達成に必要な資産額の計算方法
「4%ルール」とは何か?
FIREの資産計算における基準として有名なのが「4%ルール」です。
これは、年間生活費の4%を投資資産から取り崩すことで、資産を減らさずに生活できるという考え方です。
たとえば、年間支出が300万円なら、必要資産は300万円÷0.04=7,500万円となります。
年間支出の25倍が必要
4%ルールは、裏を返せば「年間支出の25倍の資産が必要」とも言い換えられます。
この理論は、過去の米国株式市場の実績に基づいており、一定の条件下では資産を枯渇させずに運用可能であるという前提で成り立っています。
生活費別に見る必要資産額のシミュレーション
生活費によって必要な資産額は大きく変わります。
月20万円の生活なら年間240万円で6,000万円、月30万円なら年間360万円で9,000万円が目安になります。
まずは自分の生活スタイルを明確にすることが、資産設計の第一歩です。
「サイドFIRE」という選択肢
4%ルールで考える場合、リタイア後の想定支出額の25倍の資産を準備する必要があるので、月20万円の生活なら年間240万円で6,000万円が必要になります。
ただし、6,000万円もの資産を準備するのは難しいと感じる人もいるでしょう。
そのような方には「サイドFIRE」という選択肢もあります。
サイドFIREとは生活費の全てを資産運用のみでまかなうのではなく、資産運用をメインにしながら、副業などの勤労収入と合わせて生活するスタイルです。
例えば、リタイア後も週1~2日は自分の好きな副業をするなど、ある程度の収入を得る前提にすれば目標金額を引き下げられます。
仮に月々5万円、年間60万円を副業で稼げば、リタイア後に運用で得るべき金額は240万円ではなく60万円を差し引いた180万円になります。
この場合のリタイア時に必要な資産は、180万円を25倍にした4,500万円となります。
FIREを実現するためには
FIREを実現して早期リタイアするには、大きく分けて2つのステップがあります。
- FIRE実現後の生活費を想定し、必要資金を計算する
- 投資を始める
よく考えずに闇雲にFIREを目指すと資産形成がうまくいかないことがあるので、FIREを目指す場合にはあらかじめ計画を立ててから行動に移しましょう。
FIRE実現後の生活費を想定し、必要資金を計算する
FIREを実現するための最初のステップとして、まずはリタイア後の生活費を想定して準備すべき資金額を計算します。
どのような生活を送りたいかによってリタイア後の生活費の想定が変わるので、ライフプランを描きつつ生活費を見積もりましょう。
リタイア後の生活費を考える上では、家賃など毎月かかる固定費を漏れなく含めるとともに、会社員時代とは変わる点に注意する必要があります。
例えば、退職すると会社員時代とは社会保険料の種類や金額が変わり、保険料負担が増えることがあります。健康保険料や年金保険料がどのように変わるのか、事前に確認しておきましょう。
また、子どもの入学資金など、家族のライフイベントも考慮しなければいけません。ライフイベントごとにかかる費用もFIRE後の資産運用によってまかなうのか、それとも別途資金を用意するのか、事前に計画する必要があります。
リタイア後の年間生活費を見積もれたら、4%ルールに則り、その金額を25倍した額がFIRE実現に必要な金額となります。
投資を始める
必要な資産額を計算したら、その金額を用意できるように投資を開始します。
早くから投資を始めて長期的な視点に立って運用すれば、複利の効果で資産を効率良く増やせるので、FIRE達成に向けた投資は少しでも早く始めるほうが良いでしょう。
なお、投資には株式や投資信託、不動産など様々な種類があり、特徴やリスク度合いは投資の種類ごとに異なります。
FIREを達成するために投資を行う場合は、投資の種類ごとの特徴を理解して、過度なリスクを取らないように分散投資を心掛けましょう。
高齢者の方は……
高齢者の方でもFIREを目指すことは可能です。
ただし、20〜30代よりも時間が限られている分、戦略と現実的な視点がとても大切になります。
なので「サイドFIRE」などの現実的なFIREの形を目指すといいでしょう。
また投資をする際には長期投資だけでなく、短期投資にも挑戦してみてもいいかもしれません。
デイトレードなどの短期投資であれば、資金をすぐに貯めることができます。
FIRE生活のメリットと注意点
早期リタイアして不労所得で生活するFIREに魅力を感じる人も多いと思いますが、FIREを目指すのであれば、FIREの良い点だけでなく注意点も理解しておく必要があります。
FIREの特徴を理解すればFIRE実現後の生活をよりイメージしやすくなるので、どのようなメリットとデメリットがあるのか押さえるようにしましょう。
FIREのメリット
FIREの主なメリットとしては次のような点が挙げられます。
- 時間や場所に縛られることなく自由な生活を送れる
- お金に関する知識や感覚が身に付いてお金の使い方がうまくなる
FIREを実現した後は、好きなことをして暮らすことができます。
自分の好きなように時間を使えるため、趣味やボランティア活動など、仕事以外を中心にした生活スタイルにすることも可能です。住む場所も自由ですし、働かないことに固執せず新たな仕事にチャレンジすることも可能です。
また、FIREを達成するためには家計の見直しを行ったり資産運用の知識を習得したりする必要があり、お金に関する知識が幅広く身に付く点もFIREのメリットのひとつです。
お金のことは単に知らないだけで損をするケースがありますが、知識が身に付いて節約や節税、資産運用ができるようになるとお金の使い方がうまくなります。
FIREのデメリット
FIREの主なデメリットとしては次のような点が挙げられます。
- 想定通りに計画が運ぶとは限らない
- 仕事をやめると生きがいを失ったり、再就職が難しくなったりする場合がある
仮に計画通りの資産を用意できて早期リタイアを実現した場合でも、資産運用で想定通りの運用益を得られるとは限りません。
株式や投資信託などによって一定の運用利回りを確保することは必ずしも簡単ではなく、反対に損失が出て資産が減ってしまう可能性もあります。
また、病気やケガ、親の介護などの想定外の出費によって、運用益の範囲で年間支出をまかなうことができなくなる可能性があります。
その他、FIREにより仕事をやめてしまうと、人によってはむしろ時間を持て余してしまい、生きがいを失ってしまう場合があります。再度仕事に就きたいと思っても、キャリア形成が止まってしまうことで、できることが少なくなってしまう場合もあります。
このような事態に陥るリスクを少しでも減らすには、リタイア後に自分がどんな人生を送りたいのかを明確にしておき、余裕を持った資金計画を立てることや、リタイア後もキャリア形成に資する何らかの取り組みを継続しておくことが大切です。
まとめ:FIREを目指すために必要なこと
FIREは一部の限られた人の話ではなく、戦略的な資産形成と生活設計によって誰でも目指せる目標です。
まずは自分の支出を把握し、必要資産を試算すること。
そして、早い段階で資産運用や節約の習慣を身につけ、長期的な視点で計画的に進めていくことが重要です。
【朝の10分間】株で毎日2万5千円の安定収入を目指す方法とは?

出典:筆者にて撮影(ロジャー堀プロフィール画像)
元タカラ社(現タカラトミー社)役員
(その他、複数の上場企業の役員歴あり)
株式アナリスト 投資コンサルタント
ロジャー堀
野村證券、上場企業2社(タカラトミー、インデックス)の役員を歴任し、2007年に日本マネジコを創業。「短期間で倒産寸前の状態から設立以来の絶頂期へと蘇らせるスペシャリスト」として上場企業の経営者から絶大な信頼を寄せられる。
タカラとトミーの合併など日本の経済界に名を残す大企業の再建を成功させるなど、堀氏がプロデュースした企業は数知れず。
これまでに請け負った会社再建で創り上げた時価総額は総額1兆円を超える。著書に『Yahoo!ファイナンス公式ガイド』など。
※本記事は、有価証券への投資を勧誘することを目的としておらず、また売買を推奨するものや利益を保証するものでは御座いません。
投資リスクをしっかりご理解の上、最終的な投資判断はご自身で行うようお願いします。