認知症予防のススメ(3)睡眠の質アップで認知機能のキープを!
出典:photoAC
もくじ
60歳以上の約3人に1人が睡眠で悩んでいる
出典:photoAC
新型コロナウイルスの感染拡大により外食や旅行の機会が減り、生活スタイルの変化に戸惑っている方も多いかと思います。こういった変化に加えて、不安な日々が続くことにより「以前に比べてよく眠れなくなった」と感じる人も少なくないのではないでしょうか?
※参考:2018年厚生労働省調査
コロナウイルスの感染拡大以前に行った日本人を対象とした睡眠に関する調査を見てみると、5人に1人が「睡眠で休養がとれていない」「何らかの不眠がある」と回答 しており、それは加齢とともに増加していることがわかりました。60歳以上の方では約3人に1人が睡眠で悩んでいることも分かったそうです。もともと、日本人の「睡眠」は課題となっていましたが、生活スタイルの変化によりさらに大きくなっているといえるでしょう。
※参考:厚生労働省 e-ヘルスネット
睡眠の質は認知機能に影響あり
睡眠と認知機能に関するこれまでの研究結果から考えると、しっかり眠れていない人は認知機能低下リスクが増加してしまうかもしれません。 例えば、65歳以上の580名について認知機能と睡眠について調べた調査では、認知機能に何らかの障害がある人は、そうでない人に比べて浅いノンレム睡眠が多く、深いノンレム睡眠やレム睡眠が少ないことがわかりました。この結果だけではなく、睡眠が認知機能低下リスクと関係する可能性はいくつもの研究から示唆されています。
※参考:「Neurology 2017; 88: 463-469」
睡眠が認知機能に重要な理由
そもそも、なぜ睡眠が認知機能と関係するのでしょう。認知機能が低下している人の脳を見てみると、いわゆる老廃物がたまっています。この老廃物がたまると、脳の機能が低下するといわれており、しっかり深い眠りについたときには、老廃物は脳内から排出されていることがわかりました。
つまり、深い睡眠をとることは脳の機能低下を防ぎ、認知機能を維持することにつながる可能性があるのです。睡眠と認知機能の関連性は、近年提唱されはじめ、まだまだ研究途中のテーマのため、新たなデータや事実が今後明らかになる可能性もあります。 少子高齢化で、認知機能が低下する方の増加が社会問題となっている今、運動や食事などと共に、睡眠についても意識してみることをおすすめします。
質の良い睡眠をとるには?
出典:photoAC
認知機能にも関係がある睡眠。睡眠時間の確保ももちろんですが、質のアップも大切です。そこで、睡眠の質向上のためにおさえておきたいポイントをご紹介します。
規則正しい生活サイクルを意識
体の中には体内時計があり、睡眠のタイミングを決めるだけではなく、前もってホルモンの分泌や生理的な活動を調節し、睡眠に備えてくれます。これらの準備は自分の意志ではコントロールできません。規則正しい生活習慣こそが、体内時計を整えて睡眠を円滑に導く秘訣です。
起きたらカーテンを開けて太陽の光を浴びる
目覚めが悪い方は朝陽をたっぷりと浴びることを意識してください。太陽の光は体内時計をリセットしてくれます。さらに、ストレッチをしたり、窓際で朝食をとったりして身体を起こしましょう。朝にたっぷり光を浴びると、夜、眠りのホルモン「メラトニン」分泌も活発に行われ、ぐっすり眠りにつけるようになります。
運動の習慣化
国内外の疫学研究において、運動習慣がある人には不眠が少ないことがわかっています。特に睡眠の維持に習慣的な運動の効果があるようです。
(参考)味の素社PRレター