知って得する保険の知識(5)経済的負担を支える民間の介護保険
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要介護状態にならない健康づくりは何よりも大切ですが、もし介護が必要となった場合はどうしたらよいのでしょうか。そういったリスクに備える社会保障制度として公的介護保険がありますが、それを補完する方法として民間の介護保険が注目されています。今回は保険のプロの監修のもと、民間の介護保険について学びましょう。
2025年には約5人に1人が認知症に?
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我が国の65歳以上の認知症の人の数は約600万人(2020年現在)と推計され、2025年には約700万人(高齢者の約5人に1人)が認知症になると予測されています(厚生労働省:「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)の概要」資料より)。認知症は、脳の病気や障害などさまざまな原因により、認知機能が低下し、日常生活全般に支障が出てくる状態をいいます。認知症は誰にでも起こりうるものといってもいいかもしれません。
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一方、認知症の様に普段の生活に支障をきたすほどではありませんが、記憶などの能力が低下し、正常とも認知症とも言えない状態のことを「軽度認知障害(MCI)」といいます。MCIの方の約半数は5年以内に認知症に移行するといわれています。お金の計算ができない、家事の段取りが出来ない…、こんな状態が出だしたら要注意です。公的介護保険の介護度は認知症の進展とともに上がるケースが少なくなく、経済的のみならず、家族の物理的・精神的負担が強いのも認知症なのです。
認知症アシスト付き年金払介護補償が人気
民間の介護保険は若年時から加入すれば比較的安く加入できますが、反面ニーズが高まる高齢期には保険料が高くなってしまいます。高齢者にとっても加入しやすい保険料で人気なのが、東京海上日動火災保険の「認知症アシスト付き年金払介護補償」です。
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この保険は、長期化する介護に対応した補償と認知症高齢者およびその家族などに対する支援サービスを備えた保険です。要介護状態(公的介護保険制度に基づく要介護3以上に該当)が継続する限り、最大10年にわたって、毎年定額の保険金が受け取れます。年間50万円の保険金額を10年間受け取る契約の場合、保険料は64歳男性で月々340円、64歳女性で月々310 円となります。また、この保険は親を保険の対象とすることも可能で、今後増加すると予想される「仕事と介護の両立」が必要な家庭にも向いた商品です。
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民間の介護保険の加入率は14.1%(生命保険文化センター発行『平成30年度「生命保険に関する全国実態調査」』より)と、決して十分な水準ではありません。保険料負担がある上に、保険・加入の仕方によっては要介護状態になっても必ず給付が受けられるとは限らないなどの注意点もある介護保険ですが、最大のメリットは、やはり経済面の支えとなる点。厚労省によると認知症は介護費用がその他の介護よりも高くなる傾向にあり、要介護者を抱える家族にとって、経済面だけでも安心感は欲しいところです。将来に備え、民間の介護保険加入についても一度考えてみましょう。
※本記事は情報の提供を目的としており、保険加入その他の行動を勧誘する目的で作成したものではありません。また記事の内容は、記事公開時の情報に基づいております。制度等が変更されることもありますので、ご注意ください。
監修:福地 健/1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®(日本FP協会会員)
構成/まめ得編集部 取材・文/秋山ヒロ(amap企画)