カキや卵など「眠りを誘う食材」で、ぐっすり安眠
眠れない、眠りが浅くて、すぐ目が覚める……。睡眠不足は健康と美の大敵。スッキリと目覚めて、パワフルな一日を過ごすためにも、食べて快眠を目指しましょう。
不眠は中医学で「心(しん)」とよばれる臓器と関わりが深いとされています。心は血液を全身に循環させるとともに、感情などの精神活動、意識、思考などもつかさどります。
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その働きが低下すると、不眠、やたら夢をたくさん見て寝た気がしない、不安感、くよくよ思い悩んでうつ状態になる、無気力といったトラブルが現れやすいのです。
また、心が弱っているときには「もの忘れ」しやすいという特徴もあります。記憶力の低下というよりも、いわゆる「カギのかけ忘れ」や「エアコンの消し忘れ」といった“うっかり系”が増えることが多いのです。
ちなみに心は舌との関連が深く、舌の先が赤くなっているときは心に熱がこもり、眠れなくなりがち。舌に口内炎ができたときも同様です。
不眠解消のためには、心のパワーをアップして、精神を安定させる効果の高い食材を取り入れましょう。これらの食材は、落ちこんだ気分を解消するのにも役立ちます。
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おすすめはカキ。その効能は「養心安神(ようしんあんじん)」といって、文字どおり心を養い、精神を安定させる優れた効果があるのです。中国ではカキの殻を砕いたものが、不眠・精神安定の生薬として使われているほど。もちろん、身にも十分薬効があり、心をおだやかにして深い眠りへと誘うパワーがあります。更年期障害による不眠の改善にもおすすめ。
野菜ではレンコンが不安感を解消し、安眠を促す作用に優れています。また、百合根も不眠を解消する薬膳に欠かせない食材。乾燥したものは生薬としても用いられ、パワフルな効能があります。シーズンにはぜひ、取り入れていただきたい食材です。
また肉類は鶏や豚のハツ(心臓)が改善に役立ちます。中医学の考え方として「同物同治(どうぶつどうち)」といって、身体の弱りは同じ臓器で補うという考え方があるのです。動悸など心臓のトラブルにもおすすめ。焼き鳥屋や焼肉店に行ったらぜひ、オーダーを。
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薬膳でよく使われるなつめも、不眠と精神安定の改善に威力を発揮します。心身の疲れを回復して気と血を補うとともに、不眠を解消する優れた働きがあるのです。最近では中華食材コーナーに乾燥したものが販売されているので、症状が気になるときにはぜひ、取り入れてみてください。煮出してお茶として、ほんのり甘みがある程度で味にクセがないので汁もの、煮ものに入れて一緒に煮込んで使うとよいでしょう。
そのほかにはぶどう(レーズン)、ココナツ、牛乳、卵、はちみつも安眠に役立ちます。
眠れない夜には、手軽にできる「安眠ドリンク」もおすすめ。あたためた牛乳にレーズン、はちみつを加えた「レーズンミルク」、グレープジュースを炭酸水で割り、ナタデココ、はちみつを加えた「ナタデココのグレープカクテル」で、安らかな眠りを。
■「安眠に誘う」おすすめ薬膳レシピ
出典:筆者にて撮影(カキのスクランブルエッグ)
★カキのスクランブルエッグ
安眠効果バツグンのカキ。シーズン以外は「カキ燻製缶」を使えば手軽に取り入れられます。同じく不眠によい卵をプラスしたスクランブルエッグは、スモーキーな風味が、ハイボールやウイスキーのおつまみにもぴったりです。
【材料】 2人分
カキ燻製缶(60g) 1缶
卵 4個
A(にんにくのすりおろし 少々、牛乳 大さじ1)
オリーブ油、塩、こしょう 適量
パセリ(みじん切り)適量
【作り方】
①ボウルに卵を入れて溶きほぐし、塩、こしょうをふる。
②①に缶汁をきったカキ、Aを入れて混ぜる。
③フライパンにオリーブ油を入れて熱し、②を入れて、へらで大きく混ぜながら火を通し、半熟になったら器に盛って、パセリを散らす。