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50代。外貨建てに入ったけど円高傾向で為替リスク大丈夫? |老後のマネー安心に(3)

出典:編集部にて作成


シニア世代の大きな悩みごとのひとつが「老後のお金」に関するあれこれです。

 

毎日のように、ファイナンシャルプランナー佐々木先生のもとには、老後のお金まわりの相談が寄せられています。その中から、みなさまにもきっと役立つ相談案件をこちらで紹介します。金融の知識は〝0〟で大丈夫! 気軽に、一緒に勉強して、老後の安心づくりを進めましょう。

 

【今回のご相談】退職金の一部を外貨建て保険にしたけれど、最近の円高傾向に不安を感じます。このまま続けていてもよいのでしょうか?

 

■年代:50性別:男性 相談カテゴリ:老後のマネー

 

───今回ご紹介するのは、退職金の一部を外貨建て保険にしたが最近の円高傾向に不安を感じている。このまま続けていてもよいのかどうか?というご相談です。

 

「私は、健康面での心配もあり早期希望退職制度を利用して退職しました。退職金を受け取ったときは、長年頑張って仕事をしてきた証のようで嬉しく思いました。その反面、もう仕事をしないのか……という寂しさのようなものも感じました。退職金は私にとって大金ではありますが、これからの家族の人生を考えると余裕の持てる金額ではありません」

 

「その退職金をどう活用したら良いのか迷っているとき、長年お付き合いのある保険外交員さんに勧められて、『米ドル建ての一時払い終身保険』に加入しました。同時期に銀行からも同じような案内をされていたので、今は外貨建てが良いのかな~と思ったことも加入の決め手となりました」

 

「また、一つの資産価値が下がっても、資産をすべて失うようなことにならないよう、資産を分散しておくことが重要だという点も、なるほどと思いました。元本保証がない投資より、保険金額や解約返戻金が決まっている(ドルベースですが)ことで、計画的な資金準備ができる点も、なるほどと思いました」

 

「そして、やはり利率が高いことが魅力だと思いました。それもあって、為替リスクについても承知して加入しましたが、最近は円高が進んでいるので少し不安に思っています。SNSなどでも、外貨建ては円高で入って円安で受け取るのがベスト。と、いうような見出しが目についてしまって…。このまま続けていてもよいのでしょうか?」

 

【お答え】損益分岐点を把握し解約のタイミングをコントロールできれば、為替リスクの影響はそれほど心配することではありません

 

 

「外貨建て保険に加入してから円高が進んでくると、為替相場の変動によるリスクを意識してしまうお気持ちはよくわかります。説明を受けて納得して加入したつもりでも、円高が進むと損をしてしまうのではないか?と、ご心配になることと思います。ですが、為替リスクだけを取り上げて焦る必要はありません」

 

「外貨建て保険の一番のメリットは、円建て保険より保険料が割安であることです。そのため解約返戻率も高くなります。保険料に影響を与えているのが『予定利率(運用による収益をあらかじめ見込んで保険料を一定の利率で割り引いている)』です。円建てと外貨建てで、予定利率に差がつくのは何故でしょうか? 円建て保険は日本国債など、米ドル建て保険は米国債などを運用対象にしています。現時点では、米国債の利回りの方が高いため予定利率に差が出ています」

 

「また、損益分岐点(損も益も出ない為替レート)を把握しておくと安心できるかと思います。一時払い保険料60,000米ドル(9,600,000円[1米ドル⁼160円])で加入して、例えば、10年後の解約返戻金80,000米ドルの場合は[1米ドル120円]が損益分岐点。15年後の解約返戻金90,000米ドルの場合は[1米ドル約107円]が損益分岐点となります。予定利率が高いことによる効果が大きく表れます」

 

「外貨建てのデメリットは、為替リスクなどによって元本割れする可能性があることです。お子様の教育資金として満期保険金を活用するなど、そのタイミングで為替リスクを負いたくないケースにはお勧めではありません。円建て商品や個人向け国債の方が向いていると思います」

 

「では、シニア層にはどうでしょうか? 生命保険金の非課税枠を活用できることや、解約のタイミングをコントロールできるシニア層には、予定利率が高いときに加入された『外貨建て一時払い終身保険』は有利であると思います。短期での解約は元本割れの可能性がありますのでご注意ください。為替は変動するものとして上手く活用してくださいね!」

 

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