【ロジャー堀が答えます】2025年後半の株式投資戦略|オルカン・S&P500一択で問題ない⁉

出典:編集者
「ヤバい!老後資金が足りないかも......どうしたらいいの......?」
そんな最悪の事態を避けて、資産運用で幸せな老後を過ごすための記事です。
今や「人生100年時代」。平均寿命がどんどん延びる中、老後資金不足は社会問題となってきています。
退職金、年金、貯金などに関しては、一昔前とは大きく様変わりしている今、どのように資産を増やしていくかが、豊かな老後生活を送るための鍵となります。
本日の記事では、東京都在住の60代・男性が抱える老後資金へのお悩みを解消すべく、経済界や金融の世界で、株式アナリスト・投資コンサルタントとして活動してきたロジャー堀がお答えします。
【朝の10分間】株で毎日2万5千円の安定収入を目指す方法とは?

もくじ
【今回のお悩み】2025年もオルカン・S&P500で資産運用を続けるべきか?

東京都在住 60代・男性
私は約4年前に33年間務めた職を退職をし、現在年金での暮らしを楽しんでいます。
これまで取れなかった自分の時間を取り戻すかのように、趣味の盆栽や釣り、ゴルフ、そして嫁との旅行と、趣味に没頭する毎日を過ごしてきました。
ただ、ここ最近の物価高で、計画していた以上に貯金額が減っており、このままではやばいと焦りを感じています。
減っていく一方の口座残高
正直、今の減り具合だと20年ももたない内に口座は底をつきそうなのです。
20年後、私はまだ80歳半ばです。人生何が起こるか分かりませんが生きている間は今の生活のレベルを下げたくはないし、なんならこれから高校、大学へと進学する孫たちにはいい思いをさせてやりたいと思っています。
「オルカン・S&P500」vs. 「個別株」
そんな時、目に留まった新NISAのCMから投資を始めてみようと、去年の夏に投資信託で有名な「オール・カントリー・ワールド・インデックス」での資産運用を始めました。今のところ、初心者の私が投資をしているのは、このオルカンのみになります。
資産は順調に少しずつ増えてはいますが、増えたら増えたでもっと増やしたいと思ってしまい、今年は「個別株」にも手を出して行きたいなと考えているところです。
そこで、まずは個別株の前に「S&P500」へも投資を始めるべきなのか。また「個別株」へ安心して投資を始められる方法などを教えていただけますでしょうか。
よろしくお願いいたします。
【ロジャー堀からのお答え】2025年以降は“選別の時代”。攻守のバランスで資産を守り育てよう

2024年からスタートした新NISAの影響もあり、昨年とくに注目を集めた投資信託といえば「S&P500」と「オルカン(全世界株)」です。
テレビや雑誌などでも多く取り上げられ、投資初心者からベテランまで幅広く人気を集めています。
実際に2024年の運用成績も堅調で、年後半に一時的な調整はあったものの、最終的には大きな上昇を記録しました。
そのため、今年も「S&P500とオルカンに積立しておけば安心」と考える方も多いかもしれません。
ただし、僕は「S&P500やオルカンに積み立てておけば安心」という考え方には、少し注意が必要だと感じています。
なぜなら、これらの指数はその多くを米国株が占めており、米国経済の影響を強く受ける構造だからです。
S&P500は依然として堅調、ただし“上昇の第二波”に注目
2025年の米国株は引き続き堅調に推移する可能性が高いと見ています。
S&P500はすでに史上最高値圏にありますが、AI関連企業の収益拡大や金利政策の安定化によって、まだ成長の余地があると感じています。
もちろん、短期的な調整や地政学リスクによる乱高下は避けられません。
なので僕は、S&P500を“コア資産”として長期保有する姿勢を推奨しています。
短期の値動きに一喜一憂するのではなく、10年単位での成長を信じることが、資産形成において最も大切です。
オルカン(全世界株)のポイント:中国経済の行方がカギ
一方のオルカンは、全世界に分散投資できるのが魅力です。
ただし実際には、上昇を牽引しているのは米国や欧州など、中国以外の地域です。
今後は、中国経済の動向が重要な要素になるでしょう。
米中関係の悪化はリスク要因になりますが、もし中国が政策的に立て直しを図れば、オルカン全体がもう一段上昇する可能性もあります。
ただし「世界に分散している=リスクが少ない」とは限りません。
地域の構造変化を把握することが大切です。
2025年後半〜2026年に向けて注目しているテーマ
ここからは、僕が個人的に注目しているテーマを2つ挙げておきます。
①AI産業の再編が始まる
AIは引き続き中心的なテーマですが、今後は“勝ち組と負け組”の明暗がハッキリ分かれる段階に入ります。
たとえば、NVIDIAのような強者企業のエコシステムに組み込まれる企業は伸びていくでしょう。
しかし、劣勢企業と提携してしまうと、逆に株価が下落するケースも増えると思います。
これからは「AI関連だから買う」ではなく、“どのAI企業と組んでいるか”を見極める選別眼が求められます。
②日本の政策テーマに注目
国内では、高市政権の政策動向にも注目しています。
とくに「防災・防衛・エネルギー」は今後の重要テーマになる可能性が高いです。
政策の方向性次第では、日本株が再び脚光を浴びる展開もあるでしょう。
為替動向を含めて、海外マネーの流入先としての日本市場にも期待しています。
ロジャー堀が勧める「コア・サテライト戦略」とは?
資産形成の基本は、「守り」と「攻め」のバランスです。
そこで僕は「コア・サテライト戦略」と呼ばれる手法を推奨しています。
コア・サテライト戦略とは、資産形成の核となるコア資産=(守り)と、その周囲に存在するサテライト資産=(攻め)を組み合わせることでリスクとリターンの最適化を目的とする投資戦略になります。

出典:京葉銀行のマネーWeb「京葉銀行 守りと攻めの資産運用「コア・サテライト戦略」とは?」
一般的にこの手法は、リスクをコントロールしながらリターンを最大化させることに特化しているとされています。
この機会に「コア・サテライト戦略」についての知識を深めてもらい、今後の資産運用に大いに活かしていただければと思います。
具体的な資産例と配分の組み合わせ
コアに置くべき資産とは?
基本は、「長期・積立・分散」。
コア資産は、中長期的に保有する「守り」の投資で、安定したリターンを目指します。長期(10年以上)・積立・分散を基本にした投資信託やバランス型ファンドが代表例です。リスク軽減のため、株式だけでなく債券も組み合わせるとよいでしょう。
サテライトに置くべき資産とは?
サテライトには「攻めの投資」を中心に配分!
サテライト資産は「攻め」の投資で、リスクを取りつつリターンを狙います。個別株やテーマ別ファンド、アクティブファンドなどが該当します。短期的な値動きが激しい商品を含むことが多いため、全体のポートフォリオでリスク管理を意識しましょう。
コアとサテライトの比率は?
一般的に、コア:サテライト=7:3が目安とされています。
安定重視ならコアを増やし、リターン重視ならサテライトを増やします。初心者はコアを高めにし、徐々にサテライトを増やしていくのも効果的です。
コアで安定、サテライトで+αを狙う。シンプルな戦略で資産運用を始めましょう!
「攻め」の投資として「個別株」への投資を考えている方は、下記で詳しく解説もしています。少しでも気になる方はぜひご確認くださいね!
【朝の10分間】株で毎日2万5千円の安定収入を目指す方法とは?
株のデイトレードで安定収入を目指す6つのポイントとは?|ロジャー堀の朝の10分間トレード
株のデイトレードは何時が一番儲かる?先が読める時間帯の正体とは!? |ロジャー堀の朝の10分間トレード
まとめ

投資は、豊かな老後生活を送るための準備です。
60代からでも株式投資を始めるのは決して遅くありません。むしろ、退職後の時間やライフスタイルに合わせて計画的に運用を考える絶好のタイミングと言えるかもしれません。
大切なのは、焦らず着実に、ご自身に合った投資プランを立てること。
今回お伝えした「コア・サテライト戦略」を活用するなどして、ぜひ今一度、攻守の銘柄を組み合わせバランスの取れた資産形成を目指してくださいね!
そうすれば、リスクをコントロールしながら、充実した老後の生活を過ごせるでしょう。
【朝の10分間】株で毎日2万5千円の安定収入を目指す方法とは?

出典:筆者にて撮影(ロジャー堀プロフィール画像)
元タカラ社(現タカラトミー社)役員
(その他、複数の上場企業の役員歴あり)
株式アナリスト 投資コンサルタント
ロジャー堀
野村證券、上場企業2社(タカラトミー、インデックス)の役員を歴任し、2007年に日本マネジコを創業。「短期間で倒産寸前の状態から設立以来の絶頂期へと蘇らせるスペシャリスト」として上場企業の経営者から絶大な信頼を寄せられる。
タカラとトミーの合併など日本の経済界に名を残す大企業の再建を成功させるなど、堀氏がプロデュースした企業は数知れず。
これまでに請け負った会社再建で創り上げた時価総額は総額1兆円を超える。著書に『Yahoo!ファイナンス公式ガイド』など。
※本記事は、有価証券への投資を勧誘することを目的としておらず、また売買を推奨するものや利益を保証するものでは御座いません。
投資リスクをしっかりご理解の上、最終的な投資判断はご自身で行うようお願いします。



