お買物探偵団

湘南藤沢〝みやじ豚〟は豚肉の概念を変えるトンでもない豚|からだに美味しいお取り寄せ(36)

出典:みやじ豚

 

薬膳において、豚肉は身体に潤いを与える効果が高い食材。「潤燥」とよばれる効能があり、のどの渇き、咳の改善や、肌に潤いを与えて肌の乾燥やしわにも良い「美肌ミート」なのです。滋養強壮にも優れ、便秘改善や更年期のホットフラッシュにもおすすめです。

 

今回は神奈川県藤沢市の「トンでもない」美味しさのブランド豚を紹介します。

 

藤沢市の宮治さんファミリーが育てた「みやじ豚」

 

出典:筆者にて作成(湘南藤沢の地で、宮治さんファミリーはトンでもない美味しさの豚〝みやじ豚〟を作っています)

 

神奈川県藤沢市は、じつは古くから養豚が盛んな町。明治時代、横浜外国人居留地相手にスタートし、その後大きく成長。高い飼養管理技術によって良質な豚肉を生産してきた歴史があります。

 

そんな藤沢で、「個人名」を冠した珍しいブランド豚が生産されています。「みやじ豚」。その名のとおり「宮治さんファミリー」が育てた豚です。

 

宮治昌義さん、息子である勇輔さん、大輔さん兄弟による「株式会社みやじ豚」が手がける豚は、美味しさをとことん追求して育てるため、出荷は「月にわずか約100頭」。これは松坂牛より少ない頭数です。

 

出典:みやじ豚(宮治昌義さん、勇輔さん。養豚歴50年の大ベテランである昌義さんを、勇輔さんが経営面からサポートしている)

 

それにもかかわらず、名だたる三つ星レストランのシェフから食通、さらには「これまで豚が苦手だった人」にも多くのファンを持つ逸品です。

 

「日本には400種類ものブランド豚があるとされていますが、育てた人の名前が付いた豚はとても珍しいと思います」と語るのは、みやじ豚営業統括担当の神保美穂さん。

 

いまでこそ、メディアにも多く取り上げられ、ブランドを築いたみやじ豚。けれどもそれまでには長い道のりがありました。

 

宮治家は代々、農業を手がけていましたが、3代目の昌義さんが1966年から養豚をスタート。もともと豚の品質のよさには定評がありましたが、そのころは地域の「銘柄豚」として流通していました。

 

息子の勇輔さんは、大学卒業後人材派遣会社に就職。ただし、ゆくゆくは起業したいという想いがあった勇輔さんは、入社後も仕事に邁進するかたわらで、アイデアを練っていました。ただし当初、家業を継ぐつもりはまったくなかったそうです。

ところが、あるとき農業関連の本を読んだ勇輔さんは、次第に家業が気になり始めました。

その背景には大学時代の「とある出来事」がずっと頭に残っていたから、でした。

開催したバーベキューで、昌義さんが育てた豚肉を提供したところ、友人たちから 「いままで食べた豚肉のなかで一番美味しい!」と大好評。「こんなに、うちの豚肉は美味しかったのか」と初めて気づいた勇輔さん。

ところが、なにげない友人のひとことに頭が真っ白に。

「また食べたい。どこで買えるの?」

勇輔さんは答えに窮しました。「どこで売っているのかわからなかったから」です。

大切に美味しく育てた豚は、ひとたび手を離れてしまうと「神奈川県産のブランド豚」になり、どこで販売されているか知る由もない、というのが通常の流通過程。自分たちが育てた豚を、誰が食べていて、どんな感想をもってくれているのかわからないのです。

この流れに疑問をもっていた勇輔さんは、「宮治家が作った豚」をブランド化しようと決意。

父の事業を継承するべく、実家に戻りました。2006年、株式会社みやじ豚として法人化。昌義さんと、弟の大輔さんがともに養豚を手がけ、勇輔さんはプロデュースを担当。さらに独自の直販システムを確立しました。

 

また顧客とのコミュニケーションをはかるために藤沢の観光農園で、バーベキューイベントの定期開催を行うなど、積極的な情報発信も行いました。

 

出典:みやじ豚(みやじ豚バーベキュー。料理人や食の専門家の参加も多く、新たなつながりが生まれる機会にもなっている。不定期開催)

 

「一度食べていただくと、みなさん、その味わいに感動して、次々とお客様が増えていきました」と神保さん。家族だけで、美味しさにこだわって生産されるみやじ豚は口コミからはじまって、食材にこだわる飲食店からの引き合いも次第に増えていきました。

 

〝血統〟ストレスフリーな〝腹飼い〟〝とうもろこし不使用のエサ〟で絶品の味わいに

 

食べたひとを虜にするみやじ豚。その秘密は昌義さんが徹底的に研究、確立した養豚法にあります。

 

まず、肉質や品質の安定を決める「血統」。みやじ豚では、系統の異なる3種の豚を交配する「三元交配」を採用。ただ血統を見るだけではなく「親豚の肉のつき具合や、歩き方などを観察して肉質のやわらかい豚に育つかどうかを判定しています」と神保さん。

 

出典:みやじ豚(より良い肉質を実現するために三元交配を採用)

 

また「育つ環境」を重視。「豚の味わいに大きな影響を与えます。とくにストレスは、くさみやアクにつながるんです」と神保さん。そこで、みやじ豚が行っているのが「腹飼い」。これは同じ親豚から生まれた兄弟豚だけを同じ部屋で飼育する方法です。なおかつ、本来なら20頭は入るであろう広々したスペースで、10頭前後を育てます。「気心の知れた」兄弟同士がのびのびと「ストレスフリー」な環境で過ごしているのです。

 

「豚舎を見学された方が『幸せそうな顔をしている』とおっしゃいますね(笑)」。そして「豚舎ににおいがない」と驚かれるのだそうです。

 

出典:みやじ豚(みやじ豚では「腹飼い」でのびのび育てる。成長段階における引っ越し回数も減らし、ストレスを排除している)

 

「プロの方からは、みやじ豚は脂や筋の入り方が均一でムラがなく、火の通り方が均一だと高い評価をいただいています。これはストレスがない豚の特徴だそうです」と神保さん。

 

そして豚の味を決める大きな要素である「飼料」にも大きな特徴があります。みやじ豚では、従来食肉用の豚のエサの主流である「とうもろこし」を与えていません。「豚は雑食でなんでも食べる動物。だからこそエサは重要です」と神保さん。旨みに富み、白くきれいな脂肪のある豚にするために大麦、小麦、さつまいも、いも、米類を特別に配合した飼料を与えているのだそうです。

 

出典:みやじ豚(みやじ豚が目指す旨みに富み、甘み、透明感のある味わいのためにとうもろこしは除外、麦やいも、米などを特別配合した飼料を与える)

 

じつは昌義さんはかつて、大きな豚舎で「銘柄豚」を育てるとともに、「自分用」の豚舎で、「もっともっと美味しい豚肉を作りたい」と餌や育て方に工夫を重ねていました。「そこで培った方法が、いまのみやじ豚の味わいを生み出しています」と神保さん。

 

昌義さんが常識にとらわれず、生産性ではなく「美味しい豚」づくりに真摯に取り組んできた成果によるものなのです。

 

いずれも手間がかかり「効率的」ではありません。だから、月間出荷数は約100頭程度。けれども、規模の拡大を追うことなく、きちんと手をかけていいものをつくる。ブランドに冠した自分の名にかけて、生産現場から出荷まで責任をもって送り届けているのです。

 

脂身まで美味しすぎる!優しくて、甘くて、軽い味わい

 

そんなみやじ豚の魅力は、なんといっても「繊細で上品な味わい」と神保さんは語ります。「旨みが豊富でありながら、クセがなく『女性的』な感じ。パンチがあって男性的な『黒豚』とは真逆かもしれません」

 

また、肉質は、きめ細やかでやわらかくジューシー。「火を通してもパサつかず、ふわふわ」なのだそう。

 

出典:みやじ豚(みやじ豚の人気部位「肩ロース」。一般的にはロースより固くて脂身が多いけれど、みやじ豚はとても柔らかく脂身が軽い)

 

さらに、「甘みがある脂」も大きな特徴。「クリーミーであっさりした脂はみやじ豚ならでは。とくに豚バラ肉を食べたときに、その違いは歴然だと思います」と神保さん。

 

出典:みやじ豚(みやじ豚のバラ肉。くどくなりがちなバラ肉もみやじ豚の場合は、赤身の旨みが強く脂身が軽いので、バラ肉が苦手という女性にも好評)

 

実際に、みやじ豚の美味しさはデータでも実証されています。うま味成分である遊離グルタミン酸の含有量は、全国の銘柄豚のなんと2倍!

 

さらに、美味しさの評価を高める「オレイン酸」の比率は、44.1%。これは、国産ブランド豚平均に比べて3割多い数値です。一方、獲り過ぎが懸念されるリノール酸の割合は国産銘柄豚が平均9.5%に対して、みやじ豚は6.8%。良質な脂質で、ヘルシーで美味しい脂を実現しているのです。

 

「お客様からは『いくら食べても、もたれない』『いつもは避ける脂身がこんなに美味しいなんて』とよく言われます」と神保さん。その言葉がうなずける結果です。

 

「肉の締まりもいいんですよ」と神保さん。「肉のかたまりを持ち上げても、たらーんと両脇が垂れることなく「ピシっ」としているんです(笑)」

 

そんなみやじ豚を味わうなら、まずは、ぜひ「塩、こしょうで食べてもらいたい」と神保さん。「『優しくて、甘くて、軽い』味わいをダイレクトに楽しんでいただけたらと思います」。

 

「また、火が通りやすいので、やさしくじっくり加熱すること」もポイントだそう。

 

もはや〝新ジャンル〟の肉!? 塩で食べたい奇跡の美味しさ

今回は、湘南みやじ豚ロース食べ比べセット(ロースしゃぶしゃぶ・とんかつ用)をいただくことにしました。

 

出典:筆者にて撮影(お取り寄せした湘南みやじ豚ロース食べ比べセット (ロースしゃぶしゃぶ・とんかつ用)。梱包パッケージがかわいい)

 

まず、見た目の美しさにうっとり。きめ細やかで、ほんのり上気したようなロゼ、雪のように白い脂。

 

出典:筆者にて撮影(ロースしゃぶしゃぶ用。美しい色合い)

 

出典:筆者にて撮影(ロースとんかつ用。こちらも美しい色合い)

 

ロースしゃぶしゃぶ肉、薬膳的に豚肉同様潤いを与える食材である、白菜、ゆりね、白きくらげ、豆腐とともに「薬膳みやじ豚しゃぶしゃぶ」に。なつめをひたしておいた水を熱し、低めの温度のうちに肉を沈めてさっと火を通し、塩でいただきます。

 

出典:筆者にて撮影(薬膳みやじ豚しゃぶしゃぶ。白菜、ゆり根、白きくらげ、豆腐の組み合わせ)

 

「淡い……」

 

口当たりはシルキー。やわらかでなめらかな肉の味わいはきわめて淡い。優しくまろやかな旨みが口の中で、主張することなくたゆたう……。マイルドでエレガントな甘みとともに、静かな余韻を残します。

 

なんだか京都の料亭で、「くみ上げ湯葉」をいただいているような気持ち。

 

そしてクセや雑味は「ゼロ」。

 

豚肉といえば、しょうが焼き、とんかつ、酢豚、ホイコーロー、カレー……「濃い味付けで食べる」のが定番ですが、みやじ豚は調味でその味を消すのはもったいない! 塩で十分。あとはこしょう、わさび程度で。

 

白菜や豆腐などあっさり淡い味わいの野菜とぴったりの相性。とくにほっくり甘いゆり根との組み合わせは、上品な和菓子をいただいているよう。ぜひお試しを。

 

出典:みやじ豚(みやじ豚そのものももちろん、旨みが染みこんだ野菜も絶品。みやじ豚になつめをつぶして、一緒に食べてもとっても美味しい)

 

そして次第に、みやじ豚の旨みが染みだした煮汁の美味しさたるや。出汁も調味料も使っていないのに、「極上のスープ」と化していることに驚きます。

 

とんかつ用は「みやじ豚ソテー ナガイモソース」に。やさしくじっくり、火を通したみやじ豚は、ピュアな肉汁をたたえ、なんとも静謐な美しさ。

 

味わいも「気品」に満ちています。

 

味付けはもちろん、塩・こしょうのみ。まず、はじの脂をいただきます。わたしは脂身が苦手。でも、みやじ豚の脂身は「別次元」のもの。さりげない甘みに透明感のある脂で、まるで「高級なテリーヌ」を食べているよう。まったく「獰猛なアタック」がありません。

 

出典:筆者にて撮影(みやじ豚とんかつ用をソテー。火を通してもしっとり。脂身まで麗しいほどの透明感)

 

赤身の部分はすっと歯が沈みこむやわらかさ。焼いただけでなんの加工も施しているわけでもないのに、例えは妙ですが「セレブリティなハム」のようなしっとり感。そして単調ではないのに、楚々とした旨みのグラデーションを感じます。

 

ナガイモは叩き割ったものをそのままのせて、塩を振ります。みやじ豚の肉汁が加われば、これだけで旨みいっぱいのソースに。しっとりした肉と淡いサクサクナガイモで、心地よく食べ進められます。

 

出典:筆者にて撮影(みやじ豚ソテー ナガイモソース。ナガイモも豚肉同様、潤い食材。クコの実を散らしてさらにパワーアップ)

 

それにしても豚肉の表現とはかけ離れた言葉が、ずいぶん並んでいるかと思いますが、とにかくみやじ豚の場合、「何とこの美味しさを説明したらいいものか」と頭の中で言葉をグルグルと探してしまいます。

 

そんな肉がこの世に存在することも驚きですが、次第に「いま、なんの肉を食べていたっけ?」と自問自答してしまうほど!

 

もはや、豚肉の範疇を超えているのです。

 

いうならば、鶏、牛、豚、「みやじ豚」。

 

みやじ豚は、もはや、新たな「肉のジャンル」といっても過言ではないような気がします。

 

みやじ豚ではオンラインショップで、さまざまな部位が販売されています。加工品も好評。肉汁がはじける「小籠包ソーセージ」、脂身の美味しさを存分にいかしきった「角煮まん」などもおすすめ。

 

出典:みやじ豚(神保さん渾身の開発による「角煮まん」。特製のたれで三枚肉を煮込み、濃厚ながらほどよく、あっさり。ラードを練りこんだまんじゅう生地も絶品!)

 

365日、みやじ豚を食べているという神保さんいわく、「じつは、まだまだみやじ豚は美味しくなっている」のだそう。もはや、完成しきったともいえる味わいですが、昌義さんはさらなる高みを目指して、日々餌をはじめ、試行錯誤を続けているのだそうです。

 

「宮治の名」にかけて。その矜持のもとに進化するみやじ豚の今後が楽しみです。

 

 

■「みやじ豚」は、みやじ豚公式サイトhttps://miyajibuta.com/food/)内のオンラインショップからお取り寄せください。

 

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