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【2025年最新版】株式投資初心者なら「自社株買い」がおすすめ!株価上昇に繋がる仕組みを解説

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株式投資をする上で重要なことはたくさんありますが、本記事では特に覚えておいて欲しい「自社株買い」について解説をします。

 

この「自社株買い」は、株主への還元や敵対的買収の防止、投資家へのアピールなどを目的に行われます。

 

ですが具体的に、どのようなメリットがあるのか、よくわからないという方もいるのではないでしょうか。

 

そこで本記事では、ロジャー堀がそんな自社株買いの目的や株価への影響などをまとめて解説します。

 

 

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自社株買いとは?

 

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「自社株」とは、自社が過去に株式市場から発行した株式のことです。

 

自社株という言葉単体で使われることもありますが、「自社株買い」という表現が多く使われます。

 

そして自社株買いとは、自社の資金を使って自社の株式を自社が取得すること、すなわち自社の株式を買い戻すことです。

 

自社株買いのメリット・目的

 

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資金調達のために株式を発行したにもかかわらず、なぜ自社株を買い戻すのでしょうか?

 

以下では、企業が自社株買いをする目的をご紹介します。

 

株主への還元

 

 

自社株買いを行う一番の目的は株主への利益還元です。

 

自社株買いを行うと株式数が減り、株主にとっては1株当たりの利益配分が増えるため、間接的に株主への利益還元に繋がります。

 

例えば、

 

自社株買いの実行前は、5千万円の利益を100万株で山分けすることになるため、1株あたりの利益は、50円(= 50,000,000 ÷ 1,000,000)です。

 

一方、自社株買い後は、5千万円の利益を80万株で山分けすることになるため、1株あたりの利益は、62.5円(= 50,000,000 ÷ 800,000※)となります。

 

投資家へのアピール

 

自社株買いは、企業を評価するPERPBRROEなどの指標改善に繋がります。

 

なので既存株主だけでなく、自社の株式を保有していない投資家に対しても魅力的な投資先であることをアピールする効果があります。

 

また、さまざまな投資や新たな事業資金が必要になる中で自社株買いを実施するということは、財務状況が健全であり経営陣が自社の将来の収益に対し自信を持っていることも同時にアピールできます。

 

敵対的買収の防止

 

敵対的買収とは、対象企業の経営者の同意なく会社の経営権を得るために実施される買収のことです。

 

一般的には議決権のある発行済株式総数の過半数以上の取得を目指します。

 

そして自社株買いはこの敵対的買収に対して対策を打つことができます。

 

・自社株買いによって株価が上昇し、経営権の獲得に必要な株式の取得コストを増大させる。

 

・自社株買いを行うことで、株式市場に流通する株式数が減少し、敵対的買収者に大量の株式を取得しにくくさせる。

 

ストックオプションへの活用

 

会社が自社株買いをするのは、ストックオプションとして活用する目的もあります。

 

ストックオプションとは、社内の関係者が自社株をあらかじめ決められた価格で取得できる権利のことです。

 

将来的に株価が上昇した段階で株式を権利行使価格で購入し、時価で売却して差額の純利益を得られるというメリットがあります。

 

自社の業績が向上するほど持ち株の価値も高くなるため、社員のモチベーションも高まります。

 

その結果、より真剣に成果を上げようと仕事に取り組み、業績アップに繋がります。

 

自社株買いのデメリット

 

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自社株買いにはメリットが多くありますが、もちろんデメリットも存在します。

 

ここでは、そんな自社株買いのデメリットについて解説します。

 

自己資本比率の低下

 

自社株買いを行う際、企業は資金を使って自社の株式を購入するため手元資金が減少します。

 

これにより自己資本比率が低下し、企業の財務基盤が弱くなるリスクがあります​。

 

企業の自己資本が減少すれば、長期的な財務の安定性が損なわれる可能性があるため、特に資金が限られた企業にとっては注意が必要です。

 

取得した株式の処分で株価下落の可能性

 

自社株買いによって取得した自己株式の取扱い方法は3つあります。

 

  1. 資産として自社で保有
  2. 売却して処分する
  3. 消却

 

このなかの内「2.売却して処分する」をしてしまうと、売却した株式は市場に戻り、発行済株式総数が増える(元に戻る)ため1株当たりの利益は減少します。

 

なので結果的に株価下落の可能性が出てきてしまいます。

 

自社株買いをする際の注意点

 

出典:Motion Array(モーションアレイ)

 

自社株買いをする際ですが、いくつか注意すべき点があります。

 

・会社法上のルールを把握する

・買取後の株主構成も想定する

 

ここでは、自社株買いをする際の注意点を解説します。

 

会社法上のルールを把握する

 

会社法では、自社株買いを認めた上で、取得できるケースを限定しています。

 

なのでルールを把握して、法に反しないよう注意が必要です。

 

例えば、株主との合意がある必要や種類株式の効果としての取得など、自社株を取得する際に規定が設けられる場合があります。

 

また上限金額や1日の買い付け可能数量などのルールが定められていることもあります。

 

買取後の株主構成も想定する

 

自社株として取得した株式には、議決権がありません。

 

そのため、大量に自社株を買い取りすると、残った株主の議決権比率が大きく変化する可能性があります。

 

既存株主の議決権比率が高くなることで多くの権利行使が認められるようになり、経営に影響を及ぼす可能性もあるでしょう。

 

取得後の株主構成がどう変わるかを事前にチェックし、経営への影響を考慮した計画が必要です。

 

【2025年最新版】自社株買いをした企業一覧

 

出典:Motion Array(モーションアレイ)

 

近年、この自社株買いが急増しています。

 

この背景には、東京証券取引所が上場企業に資本効率の改善を要請したというのがあります。

 

そのため2023年以降、自社株買いをする企業が増えてきています。

 

ここでは実際に2025年に自社株買いをした注目企業をご紹介します。

 

【8058】三菱商事株式会社(2025年4月3日発表)

 

 

・取得し得る株式の総数 :689,000,000株(上限)(発行済株式総数(自己株式を除く)に対する割合 17.13%)

・株式の取得価額の総額 :1兆円(上限)

・取得期間 :2025年4月4日~2026年3月31日

 

三菱商事株式会社が自社株買いをした理由は以下となります。

 

資本効率の向上および株主還元の強化を目的としており、中期経営計画において設定したROE目標の達成手段の一つとして自社株取得を位置付けています。

 

【9531】東京ガス株式会社(2025年1月31日発表)

 

 

 ・取得し得る株式の総数: 発行済株式総数の約10.2%に相当する株式数(200万株相当)                                 

・株式の取得価額の総額: 5,000億円(上限)

・取得期間: 2025年5月21日~2026年4月24日

 

東京ガス株式会社が自社株買いをした理由は以下となります。

 

株主価値の向上を目的としており、非効率資産の整理やポートフォリオの最適化を進める中で、株主還元を重視する姿勢を示しています。また、アクティビスト投資家からの圧力も要因の一つとされています。

 

【4063】信越化学工業株式会社(2025年4月25日発表)

 

 

・取得し得る株式の総数: 60,000,000株(上限)(発行済株式総数(自己株式を除く)に対する割合 5.15%)  

・株式の取得価額の総額: 1,000億円(上限)

・取得期間: 2024 513日~20241231

 

信越化学工業株式会社が自社株買いを行った理由は、株主への利益還元を強めるとともに、お金の使い方をより効率的にするためです。

 

発表の際には「利益率や資金のコストに気を配りながら進める」と説明しており、会社のお金の運用を改善することを意識した取り組みだと考えられます。

 

まとめ

 

以上、自社株買いの概要についてご紹介しました。

 

メリットの多い自社株買いは、現在多くの上場企業が過去最高ペースで実施しています。

 

また自社株買いによって株価上昇が期待できるので、株式投資をする上では狙い目でもあります。

 

買取後の株主構成や買取価額の設定にも注意し、効果的な自社株買いを行いましょう。

 

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出典:筆者にて撮影(ロジャー堀プロフィール画像)

 

ロジャー堀(堀 篤)

株式会社日本マネジコ 代表取締役社長

野村證券で13年間、IPOコンサルティングやM&A業務を担当し、日本証券アナリスト協会の検定会員資格を取得。その後、インデックス・ホールディングスおよびタカラ(現タカラトミー)の取締役を歴任し、タカラとトミーの合併スキームを実行しました。2007年に日本マネジコを設立して以来、企業再生やIR財務コンサルティングを手がけ、1兆円を超える企業価値の創出に関わってきました。

 

■経歴と実務経験

・証券会社時代(1985–1998年)

野村證券にてIPOコンサルティングやM&A業務を担当。1992年に日本証券アナリスト協会検定会員資格を取得。

 

・上場企業役員時代(2001–2007年)

インデックス・ホールディングス取締役、タカラ取締役を歴任。合併スキームや財務戦略を主導。

 

・独立・起業後(2007年–現在)

株式会社日本マネジコ、株式会社東京スコットマネジメントを設立。上場企業向けIR・財務戦略の支援や企業再生を担当。

 

■専門分野

投資・市場分析

証券アナリストとして培った分析力をもとに、個人投資家から機関投資家まで幅広く対応。暗号資産や宇宙産業といった新分野にも関心を持ち、柔軟に学び続けています。

 

 ・企業財務・IR戦略

 株価戦略、投資家向け情報開示、合併・買収の実務経験を活かし、上場企業の経営課題に対応。

 

■主な実績

・出版・著書

『3年で資産1億円の築き方』(2018年、サンライズパブリッシング)

『預金封鎖であなたの資産が消滅する』(ガイア出版)

『Yahoo!ファイナンス公式ガイド2000』(共著、ソフトバンクパブリッシング)ほか多数。

 

・メディア寄稿・執筆

 日経ビジネスへの寄稿。みんかぶ「予想の達人」としても活動。

 

・教育・講演

 独自の投資教育手法「Roger’s Method」に基づき、20年以上投資教育を継続。YouTubeチャンネル「日経平均株価予報」(登録者1.5万人超)を毎週更新。

 

■活動の特徴

 出版・新聞寄稿・YouTube配信など複数の場で一貫した発信を継続しています。

 株式会社日本マネジコおよび東京スコットマネジメントの代表取締役として、企業経営の現場経験を持ちながら、一般投資家にも分かりやすい情報提供を心がけています。



本記事は、有価証券への投資を勧誘することを目的としておらず、また売買を推奨するものや利益を保証するものでは御座いません。

投資リスクをしっかりご理解の上、最終的な投資判断はご自身で行うようお願いします。

 

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