まめ得のタネ

株式投資初心者なら「自社株買い」がおすすめ!株価上昇に繋がる仕組みを解説

出典:編集者


株式投資をする上で重要なことはたくさんありますが、本記事では特に覚えておいて欲しい「自社株買い」について解説をします。

 

この「自社株買い」は、株主への還元や敵対的買収の防止、投資家へのアピールなどを目的に行われます。

 

ですが具体的に、どのようなメリットがあるのか、よくわからないという方もいるのではないでしょうか。

 

そこで本記事では、ロジャー堀がそんな自社株買いの目的や株価への影響などをまとめて解説します。

 

 

【朝の10分間】株で毎日2万5千円の安定収入を目指す方法とは?

 

関連記事 

 

自社株買いとは?

 

出典:Motion Array(モーションアレイ)

 

「自社株」とは、自社が過去に株式市場から発行した株式のことです。

 

自社株という言葉単体で使われることもありますが、「自社株買い」という表現が多く使われます。

 

そして自社株買いとは、自社の資金を使って自社の株式を自社が取得すること、すなわち自社の株式を買い戻すことです。

 

自社株買いのメリット・目的

 

出典:Motion Array(モーションアレイ)

 

資金調達のために株式を発行したにもかかわらず、なぜ自社株を買い戻すのでしょうか?

 

以下では、企業が自社株買いをする目的をご紹介します。

 

株主への還元

 

自社株買いを行う一番の目的は株主への利益還元です。

 

自社株買いを行うと株式数が減り、株主にとっては1株当たりの利益配分が増えるため、間接的に株主への利益還元に繋がります。

 

例えば、

 

自社株買いの実行前は、5千万円の利益を100万株で山分けすることになるため、1株あたりの利益は、50円(= 50,000,000 ÷ 1,000,000)です。

 

一方、自社株買い後は、5千万円の利益を80万株で山分けすることになるため、1株あたりの利益は、62.5円(= 50,000,000 ÷ 800,000※)となります。

 

投資家へのアピール

 

自社株買いは、企業を評価するPERPBRROEなどの指標改善に繋がります。

 

なので既存株主だけでなく、自社の株式を保有していない投資家に対しても魅力的な投資先であることをアピールする効果があります。

 

また、さまざまな投資や新たな事業資金が必要になる中で自社株買いを実施するということは、財務状況が健全であり経営陣が自社の将来の収益に対し自信を持っていることも同時にアピールできます。

 

敵対的買収の防止

 

敵対的買収とは、対象企業の経営者の同意なく会社の経営権を得るために実施される買収のことです。

 

一般的には議決権のある発行済株式総数の過半数以上の取得を目指します。

 

そして自社株買いはこの敵対的買収に対して対策を打つことができます。

 

・自社株買いによって株価が上昇し、経営権の獲得に必要な株式の取得コストを増大させる。

 

・自社株買いを行うことで、株式市場に流通する株式数が減少し、敵対的買収者に大量の株式を取得しにくくさせる。

 

ストックオプションへの活用

 

会社が自社株買いをするのは、ストックオプションとして活用する目的もあります。

 

ストックオプションとは、社内の関係者が自社株をあらかじめ決められた価格で取得できる権利のことです。

 

将来的に株価が上昇した段階で株式を権利行使価格で購入し、時価で売却して差額の純利益を得られるというメリットがあります。

 

自社の業績が向上するほど持ち株の価値も高くなるため、社員のモチベーションも高まります。

 

その結果、より真剣に成果を上げようと仕事に取り組み、業績アップに繋がります。

 

自社株買いのデメリット

 

出典:Motion Array(モーションアレイ)

 

自社株買いにはメリットが多くありますが、もちろんデメリットも存在します。

 

ここでは、そんな自社株買いのデメリットについて解説します。

 

自己資本比率の低下

 

自社株買いを行う際、企業は資金を使って自社の株式を購入するため手元資金が減少します。

 

これにより自己資本比率が低下し、企業の財務基盤が弱くなるリスクがあります​。

 

企業の自己資本が減少すれば、長期的な財務の安定性が損なわれる可能性があるため、特に資金が限られた企業にとっては注意が必要です。

 

取得した株式の処分で株価下落の可能性

 

自社株買いによって取得した自己株式の取扱い方法は3つあります。

 

  1. 資産として自社で保有
  2. 売却して処分する
  3. 消却

 

このなかの内「2.売却して処分する」をしてしまうと、売却した株式は市場に戻り、発行済株式総数が増える(元に戻る)ため1株当たりの利益は減少します。

 

なので結果的に株価下落の可能性が出てきてしまいます。

 

自社株買いをする際の注意点

 

出典:Motion Array(モーションアレイ)

 

自社株買いをする際ですが、いくつか注意すべき点があります。

 

・会社法上のルールを把握する

・買取後の株主構成も想定する

 

ここでは、自社株買いをする際の注意点を解説します。

 

会社法上のルールを把握する

 

会社法では、自社株買いを認めた上で、取得できるケースを限定しています。

 

なのでルールを把握して、法に反しないよう注意が必要です。

 

例えば、株主との合意がある必要や種類株式の効果としての取得など、自社株を取得する際に規定が設けられる場合があります。

 

また上限金額や1日の買い付け可能数量などのルールが定められていることもあります。

 

買取後の株主構成も想定する

 

自社株として取得した株式には、議決権がありません。

 

そのため、大量に自社株を買い取りすると、残った株主の議決権比率が大きく変化する可能性があります。

 

既存株主の議決権比率が高くなることで多くの権利行使が認められるようになり、経営に影響を及ぼす可能性もあるでしょう。

 

取得後の株主構成がどう変わるかを事前にチェックし、経営への影響を考慮した計画が必要です。

 

自社株買いをした企業一覧

 

出典:Motion Array(モーションアレイ)

 

近年、この自社株買いが急増しています。

 

この背景には、東京証券取引所が上場企業に資本効率の改善を要請したというのがあります。

 

そのため2023年以降、自社株買いをする企業が増えてきています。

 

ここでは実際に2024年に自社株買いをした注目企業をご紹介します。

 

KDDI 株式会社(2024年11月1日発表)

 

・取得し得る株式の総数 :28,000,000株(上限)(発行済株式総数(自己株式を除く)に対する割合 1.39%)

・株式の取得価額の総額 :1,000億円(上限)

・取得期間 :2024115日~2025324

 

KDDI株式会社が自社株買いをした理由は以下の通りです。

 

経営環境の変化に対応した機動的な資本政策の遂行及び株主還元策の一環

 

2024111日に自社株買いが発表されて以降、一気に株価が上昇していることが分かります。

 

株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ(2024年11月14日発表)

 

・取得し得る株式の総数 :23000万株(上限)(発行済株式総数(自己株式を除く)に対する割合 1.96%

・株式の取得価額の総額 :3,000億円(上限)

・取得期間 :2024 1115日~2025331

 

株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループが自社株買いをした理由は以下の通りです。

 

資本効率の向上に資する株主還元策として

 

20241114日に自社株買いが発表されて以降、緩やかに株価が上昇しました。

 

オリンパス株式会社(2024年5月10日発表)

 

・取得し得る株式の総数: 60,000,000株(上限)(発行済株式総数(自己株式を除く)に対する割合 5.15%)

・株式の取得価額の総額: 1,000億円(上限)

・取得期間: 2024 513日~20241231

 

オリンパス株式会社が自社株買いをした理由は以下の通りです。

 

資本効率の向上に資する株主還元策として

 

20241114日に自社株買いが発表されて以降、一気に株価が上昇しました。

 

まとめ

 

以上、自社株買いの概要についてご紹介しました。

 

メリットの多い自社株買いは、現在多くの上場企業が過去最高ペースで実施しています。

 

また自社株買いによって株価上昇が期待できるので、株式投資をする上では狙い目でもあります。

 

買取後の株主構成や買取価額の設定にも注意し、効果的な自社株買いを行いましょう。

 

【朝の10分間】株で毎日2万5千円の安定収入を目指す方法とは?

 

関連記事 

 

出典:筆者にて撮影(ロジャー堀プロフィール画像)

 

元タカラ社(現タカラトミー社)役員

 (その他、複数の上場企業の役員歴あり)

株式アナリスト 投資コンサルタント

ロジャー堀

 

野村證券、上場企業2社(タカラトミー、インデックス)の役員を歴任し、2007年に日本マネジコを創業。「短期間で倒産寸前の状態から設立以来の絶頂期へと蘇らせるスペシャリスト」として上場企業の経営者から絶大な信頼を寄せられる。

 

タカラとトミーの合併など日本の経済界に名を残す大企業の再建を成功させるなど、堀氏がプロデュースした企業は数知れず。

 

これまでに請け負った会社再建で創り上げた時価総額は総額1兆円を超える。著書に『Yahoo!ファイナンス公式ガイド』など。



本記事は、有価証券への投資を勧誘することを目的としておらず、また売買を推奨するものや利益を保証するものでは御座いません。

投資リスクをしっかりご理解の上、最終的な投資判断はご自身で行うようお願いします。

 

新着記事

もっと見る


ページ準備中
しばらくおまちください。