ロジャー堀の投資勉強会|投資と貯金どっちがいいの?プロが教える投資信託の秘密
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結論から言ってしまうと、大切な老後資金の運用方法に迷っているのなら、投資信託はおすすめできません。
初心者でも手軽に投資がスタートできると、注目を集める投資信託。最近では、新NISAも始まり、より多くの方が資産運用として活用するようになりました。
しかし、投資信託は預金と違って元本保証がない商品です。
一見安心できそうに感じる投資信託には、損失に繋がってしまういくつもの大きな落とし穴が存在します。
当記事では、知られざる投資信託にまつわる秘密を解説しながら、大切な老後資金をどう運用すればいいのか、僕の見解を詳しくお伝えしていきますね!
※本稿でいう投資信託とは、アクティブ運用(運用担当者が自らの意思で、運用成績を上げようと売買する)のものを言い、市場に連動するETFなどのパッシブ運用(指数などと連動することを目指す)ものは含みません。
もくじ
投資信託とは?プロが運用するから安心?
投資信託とは、簡単に言うと「たくさんの人からお金を集めて、プロが代わりに色々な株や債券に投資してくれる仕組み」を持つ投資商品のことを指します。
誰が販売し、どんな人がどう運用するのか?
そして、個人投資家にとってどんなメリットがあるように作られた仕組みなのでしょうか。
以下でさらに詳しく解説していきます。
銀行や証券会社など、大手金融機関が販売
投資信託を販売するのは、銀行や証券会社の営業担当者、または保険会社の代理店など、いわゆる金融のプロと言われる人たちです。
大手の金融機関が販売していることから、信頼性と安全性を感じられる点が特徴です。
また、近年では、オンライン証券を通じて自分で投資信託を購入するケースも増えています。
オンライン証券を利用すれば、担当者を介さずにウェブサイトやアプリ上で商品を選んで購入することが可能です。
プロの投資家が代わりに運用してくれる
投資信託を運用するのは、信託会社や資産運用会社に所属する、ファンドマネージャーと呼ばれる投資のプロ達です。
ファンドマネージャーは、投資信託で集めたお金を、株式や債券、不動産などのさまざまな資産に投資して運用します。
ファンドマネージャーという投資のプロフェッショナルに運用を任せるため、個人投資家は細かく投資判断をする必要がありません。
このようにプロの知識を活用して投資できる点が、投資信託の最大の魅力であり、人気の理由となっています。
分散投資でリスクを軽減
投資信託では、複数の企業や地域、業界に分散して資金を投じる「分散投資」で資産を運用していきます。
投資信託の投資先には以下のようなものがあります。
・株式: 企業の成長や業績向上を期待して株を買う
・債券: 政府や企業が発行する債券を購入し利息収入を狙う
・不動産: 不動産や不動産関連の証券に投資する
・その他の資産: コモディティ(例えば金や原油)や、REIT(不動産投資信託)など
分散投資を行うことによって、特定の企業や国の株価が急落したとしても、大損するリスクを減らすことができます。
投資信託に隠された落とし穴を解説!
・大手の銀行や証券会社、保険会社代理店が販売
・投資のプロが運用する
・分散投資ができる
これらの要素から「リスクが低そう」「安定していそう」「手堅く利益を出していけそう」……そう思う方が大半です。
しかし、その認識は大きな間違いなのです。
大きなファンドはほとんど損失に……理由は?
僕はかつて、大手の証券会社に勤めていました。
その頃に見聞きした経験を元に、お伝えしたいのが……
会社の評判を上げるために莫大な資金を集めて運用する投資信託は、そのほとんどが損失に繋がってきたと言えるのです。
プロが運用するのに損失ばかりなんて、不思議ですよね。なぜでしょうか?
①資金が莫大すぎると分散投資が不十分に
プロの知識によって分散投資できる点が投資信託のメリットではありますが、資金があまりにも莫大になると分散投資のバランスが不十分になります。
莫大な資金を集めたら、それだけ投資先も必要になりますよね。
一般的にはあまり知られていませんが、資金が多すぎると、反ってすべてに適切な投資先を見つけるのが難しくなるのです。
例えば、成長が期待される企業や市場は規模が小さいことが多く、そこに莫大な資金を一度に投入するのは現実的ではありません。
その結果、規模の大きな企業や国債など、限られた大規模な投資先に多くの資金が集中してしまい、分散投資の効果が弱まることが考えられます。
この集中投資によって、特定の市場や業界が不調になった場合、ファンド全体が大きな影響を受けるリスクが高まってしまうのです。
また、大きなファンドには銘柄を取引する際に、買値が高くなってしまいやすいといった弱点があります。
たとえ安定した大企業の株であっても、大きな資金で一定の銘柄を買えば、自らの注文で株価を上げてしまう要因となり、結果的に高値で買うリスクが増してしまいます。
特に、相場の方向性が変わった場合に、最も「割を食う」のは、投資資金の大きいファンドです。
もしも、保有する銘柄が市場の注目テーマから外れた場合に、一度に大量に売却すれば、自らの売却によって株価を押し下げてしまい、売り切る頃には逆に割安な水準になっていることもあります。
さらに、新たな注目テーマの株を一気に買えば、またしても自らの買いで価格が高騰してしまい、下手すれば天井をつけてしまう恐れもあるのです。
②ファンドには、常に「効率が悪い」という宿命がある
当然と言えば当然ですが、投資したすべての銘柄・すべての企業が利益を生み出してくれるわけではありません。
莫大な資金を運用するファンドは、資金の一部を安全性が高い資産に配分する必要があります。
しかし、これらの安全な資産(例えば、国債や大企業の株式)は、すでに成長が成熟していることが多く、リターンが低くなりがちです。
莫大な資金を運用するため、リスクを取らず、安全性を重視した投資が多くなると、リターンが十分に得られない場合があります。
これにより、ファンド全体のパフォーマンスが市場の平均を下回ることもあるのです。
莫大な資金を運用するファンドは、資金の一部を安全性が高い資産に配分する必要があります。
一般にはあまり浸透していませんが、ファンドというものは、お客様の解約にそなえて、常に現金化のことを考えておかないといけないからです。
実は、ファンドは預けられた資金のうち、かなりの割合を「金利は低いが現金化しやすい」預金や、短期債券で運用しなくてはなりません。
その分、投資効率は悪くなり、株式市場が良いにも関わらず、ファンド全体の収益はそれほど上がらない、という現象が起きやすくなるのです。
③多額の手数料が利益を蝕む
投資信託は、プロに運用をお任せできるかわりに、多くの手数料が設定されています。
投資信託にかかる代表的な手数料は以下の通りです。
・購入時手数料:投資信託を購入する際にかかる手数料
・信託報酬:投資信託の運用や管理にかかる手数料
・信託財産留保額:投資信託を売却する際にかかる手数料
ファンドによっては手数料だけで高額となる場合もあります。
運用がうまくいかないと、手数料だけで利益が吹き飛んでしまうこともあるのです。
ほかにも、投資信託には見えにくい手数料が存在するケースがあります。
例えば、取引に伴う売買手数料や為替手数料などが、投資家には直接見えない形で運用コストとしてかかることがあります。
これらの手数料が運用成績を押し下げるほどのコストとなっていることが後から判明し、結果的に多額の損失を抱えてしまうことになるのです。
④リスクを充分に説明されない場合がある
主に銀行で投資信託の商品を購入する際には、リスクの説明を十分にしてもらえない可能性があるので注意が必要です。
証券会社勤務の担当者に比べて、銀行の担当者は、リスク商品の販売経験がどうしても少なくなることから、投資信託のリスクを理解していない・リスクの説明に慣れていないケースが多いかもしれません。
さらに、説明を受ける側も、販売元が銀行であることから「安全そう」「安心できる」という印象を持ってしまいがち。
よって、損失のリスクや元本保証がないことについてほとんど触れられず、契約してしまうというケースが多く存在しています。
投資信託以外の資産運用方法を知りたい方は、こちらの記事も合わせてチェックしてくださいね。
→ 株のデイトレードで安定収入を目指す6つのポイントとは?|ロジャー堀の投資勉強会
投資信託は結果的に損する可能性が高い
ここまで、投資信託に隠された意外な落とし穴について、解説してきました。
投資信託は、大手の銀行や証券会社などが販売し、プロが分散投資で運用してくれるといった特徴があります。
これによって初心者でも始めやすく、安定利益を得られそうという印象を持たれがちです。
また、運用をプロに一任できるため、とにかくラクという点でも人気な投資方法です。
ですが、プロだからといって一定の利益を出し続けられるわけではありません。
特に、募集金額が大きいファンドは損失リスクも高くなるため注意が必要です。
資金が莫大なことによって分散投資がうまくいかず、かえってリスクとなってしまうことがあるからです。
また、どれだけ莫大な資金があったとしても、投資先全ての銘柄が上がることはまずあり得ません。
購入時手数料や信託報酬、信託財産留保額などの手数料も差し引くと、マイナスの結果になる場合が多いのが現実です。
さらに、銀行ではこういったリスクを充分に説明してくれないといったケースがあります。
これらの理由から、一般的に考えられているよりもマイナスリスクが高いのが投資信託なのです。
投資信託はとにかくラクな投資方法ではありますが、他人任せの投資で多額の損失を抱えてしまうのはすごく悔しいですよね。
銀行や証券会社は、過去の実績などを使って投資信託の商品を言葉巧みに宣伝してきます。
ですが、どんなに素晴らしく見える投資信託だとしても、損失が出るリスクは相応以上にある、ということです。
投資信託の利用を検討する際には、これらの注意点を踏まえて慎重に考えるべきでしょう。
自分でしっかり勉強して投資に回そう
貯金は金利が低すぎるから投資してみたいけど、難しいことはよくわからないし、リスクが怖い。
そんな方が選択しがちなのが、投資信託です。
ですが、投資信託には個人投資家にとって結果的にマイナスとなる要素が多く存在していることがわかりましたね。
投資か貯金で運用方法を迷っている方がいましたら、投資信託という微妙な立ち位置のものではなく、しっかり勉強して投資に回すのが賢い選択ですよ。
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自分の力で投資をして、手堅く老後資金の積み上げを目指したい!という方は、ぜひチェックしてみてください。
出典:筆者にて撮影(ロジャー堀プロフィール画像)
元タカラ社(現タカラトミー社)役員
(その他、複数の上場企業の役員歴あり)
株式アナリスト 投資コンサルタント
ロジャー堀
野村證券、上場企業2社(タカラトミー、インデックス)の役員を歴任し、2007年に日本マネジコを創業。「短期間で倒産寸前の状態から設立以来の絶頂期へと蘇らせるスペシャリスト」として上場企業の経営者から絶大な信頼を寄せられる。
タカラとトミーの合併など日本の経済界に名を残す大企業の再建を成功させるなど、堀氏がプロデュースした企業は数知れず。
これまでに請け負った会社再建で創り上げた時価総額は総額1兆円を超える。著書に『Yahoo!ファイナンス公式ガイド』など。
※本記事は、有価証券への投資を勧誘することを目的としておらず、また売買を推奨するものや利益を保証するものでは御座いません。
投資リスクをしっかりご理解の上、最終的な投資判断はご自身で行うようお願いします。