セイコーが世界初。クオーツ腕時計の“クオーツ”って何?|お買い物トリビア(60)
出典:photoAC(クオーツ時計の登場が時計の進化スピードを早めた)
近ごろでは野球の大谷翔平選手をスポンサードしていることでも知られる、日本の世界的時計メーカー・セイコー。
記者会見時に大谷選手が付けていた機械式時計「グランドセイコー」なども世界中から高い評価を受けていますが、そのセイコーが1969年に発売した世界初のクオーツ腕時計「セイコークオーツアストロン」は、腕時計の常識を一変させた画期的なものだったと言われます。
それまで精度の高いものであっても一日に数秒から数十秒はズレることが当たり前だった腕時計を、わずか月5秒のズレという精度にまで一気に高めたのです。
その精度の理由が「クオーツ」であり、現在では100円ショップで売られている腕時計にも搭載されているほど一般的なものとなっていますが、ではこの「クオーツ」とは一体何のことなのでしょうか?
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お買い物トリビア「セイコーが世界初。クオーツ腕時計の“クオーツ”って何?」の答えはこちら。わかりましたか?
出典:photoAC(この何十万分の一の大きさの水晶が腕時計の中に入っています)
正解は、「水晶」でした。
時計の精度向上と小型化は古くから多くの時計メーカーにとっての悲願であり、各メーカーは日夜しのぎを削っていました。その頃の時計と言えばゼンマイ式が一般的でしたが、ゼンマイの強度や耐久性にも限界があり、進化は行き詰っていきます。そこで登場したのがクオーツ(水晶)時計でした。
水晶に一定の電圧をかけると一定の周期で正確に振動することは以前から知られており、実際に水晶を利用した時計も既に作られていましたが、その大きさは大型のロッカーほどで、とても腕に付けられるようなものではありません。
そこでセイコーはクオーツ時計の小型化に全力を傾け、1962年に卓上型の開発に成功。東京オリンピックでの採用を経て、1966年には懐中型も開発し、ついに1969年、クオーツ腕時計「セイコークオーツアストロン」の発売につなげます。販売価格は45万円で、これは当時の大衆車と同じくらいの値段だったのだとか。
それくらい高級な商品でしたが、この登場が腕時計の世界を一変させます。その後、セイコーが特許を公開したことで各社によるクオーツ腕時計開発が加速し、精度の高いクオーツ腕時計が安価で手に入れられることによって、世界中の機械式時計が売れなくなったと言われています。