アリナミンのニンニク臭を消すヒントとなったあるものとは? |お買い物トリビア(30)
武田薬品の「アリナミン」シリーズは、1954年発売のロングセラーです。数多くの方が、疲れが取れることを実感しているからこそ長く売れ続けているのでしょう。
体の疲れを改善させるには、ビタミンB1が欠かせません。ビタミンB1は、ブドウ糖をエネルギーに変えるときに必要な栄養素で、ビタミンB1がなければ、人は力を出すことができないのです。残念なことにビタミンB1は水溶性で、調理をすると流れてしまいます。そのため、多くの人にとってビタミンB1は足りなくなりがちで、疲労も回復しにくかったのです。
アリナミンには発売当初から「ビタミンB1誘導体」が含まれ、疲労回復の助けになっていました。しかし、ビタミンB1誘導体は、“ニンニク臭”がするのが難点でした。もともとニンニクを研究して生まれた成分だったので、当然といえば当然です。後に、この“ニンニク臭”を大きく改善できたことが、アリナミン大ヒットの大きな要因になったそうですよ。
ここで、アリナミンにまつわるクイズです。ニンニク臭を改善させるために、私たちにも身近な「あるもの」が使われています。それはいったいなんでしょうか?
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お買い物トリビア「アリナミンのニンニク臭を消すヒントとなったあるものとは?」の答えはこちら。わかりましたか?
出典:photoAC(実験を繰り返す研究者のイメージ)
正解は、「コーヒー」です。
1954年に発売されたアリナミンですが、当初はニンニク臭に対する改善策はまだ追いついていませんでした。アリナミンの唯一の欠点が「ニンニク臭」だったというわけです。アリナミンのニンニク臭を改善させることが、開発チームにとっても大きな課題でした。
ある日、武田薬品の研究室に、大きなヒントが舞い降りました。「ヨーロッパではニンニクのにおいを消すために、ステーキを食べた後にブラックコーヒーを飲むらしいよ」。
このことから、研究室ではコーヒーの芳香成分、フルフリルメルカプタンをアリナミンに活用することになりました。研究者たちにより、成分の分析と改良が日夜繰り返され、ようやく「フルスルチアミン」が誕生します。フルスルチアミンは、ニンニク臭を抑えた画期的なビタミンB1誘導体でした。
そして、1961年4月、フルスルチアミンを配合した新しいアリナミンが「アリナミンF」として発売される運びとなったのです。知識が豊富な研究者の方々であっても、私たちでもするような日常の話をヒントにしているのがおもしろいですね。フルスルチアミンは、今もアリナミンのラインナップ全商品に配合されているのだそうです。