お買物探偵団

宮崎・日南の絶品マガキ〝ひとしおオイスター〟。エレガントな味わいに驚く|からだに美味しいお取り寄せ(31)

出典:ひとしお

 

今回は、日本最南端のマガキの養殖地、宮崎県日南市で育まれた絶品のマガキ「ひとしおオイスター」をご紹介します。

 

薬膳において、カキはじつに多彩な効能があります。老化をつかさどる臓器「腎」の働きを高め、アンチエイジングに役立ちます。また、精神安定、不眠にもおすすめ。血を増やす作用もあり、貧血・めまいにもよく婦人科系トラブルにも威力を発揮します。女性にとっては肌に潤いを与える美肌にうれしいシーフードでもあるのです。

 

とびきり美味しい魚を育む宮崎の海を、もっともっと元気にしたい!

 

出典:筆者にて作成(株式会社ひとしおは、日南市で丹精込めてひとしおオイスターの養殖を行っています)

 

宮崎県南部に位置する日南市。美しい海岸線で知られる「日南海岸国定公園」を有し、古くからカツオ一本釣り漁業やまぐろ延縄漁業で栄えてきました。

 

近海には黒潮が流れ、市域のおよそ8割が森林のため、栄養豊富な山からの水にも恵まれ、豊かな漁場で獲れたアジ、ブリ、イセエビをはじめとする魚介の美味しさでも知られています。

 

この地で話題をよんでいるブランドガキがあります。その名は、「ひとしおオイスター」。現状、日本最南端の養殖マガキです。

 

ひとしおオイスターの養殖を手掛けるのは「株式会社ひとしお」の古川三記子さん。養殖をスタートして5年目になる、日本では数少ない女性牡蛎養殖家です。

 

出典:ひとしお(古川三記子さん。1982年生まれ。宮崎県庁で水産技師として「宮崎キャビア」や「めいつ美々鯵」などのブランド化にも携わってきた)

 

古川さんは愛知県名古屋市出身。大学で水産を学ぶために、宮崎の地をふみました。「宮崎の暮らしは心地よく、楽しいことばかりでした」と古川さん。

 

「とりわけ、魅了されたのは宮崎の美しい海。そして豊富な栄養を含む黒潮が育んだ、魚のとびっきりの美味しさ」でした。

 

大学卒業後も迷うことなく、宮崎県庁に入庁、水産技師として宮崎の漁業に携わることに。精力的に現場へ足を運び、さまざまな魚種のブランド化にも関わるなど充実した日々を送っていましたが、そのなかで思うことがありました。

 

「全国に誇るべき宮崎の魚は、牛や鶏、豚などの畜産物に比べて、まだまだ発信ができていないのではないかと感じていたんです」と古川さん。

 

「この豊かな海をいかした、特色ある水産物を生み出せる可能性が大いにあるのではないか、と思うようになりました」

 

そして、もうひとつ気がかりだったことは「水産業が厳しい現状にあること」。高齢化が進み、後継者不足。けれど、漁獲資源は低下、収入は不安定といった状況では、後を継ぐ若手が現れるわけもなく、衰退の一途をたどるばかり、と危惧していたのです。

 

「持続可能性がある水産業で地域が元気になったら」と考えるようになった古川さん。次第に、「自らそんな水産業ができないか、と思うようになりました」と語ります。

 

女性でもできる、持続可能な「カキのバスケット養殖」への挑戦

 

「わたしでもできる水産業はなんだろう?」と、さまざまな方法を模索、視察するうちに古川さんに「運命の出合い」が訪れました。

 

「これならわたしもできるはず!」

 

それは「カキのバスケット養殖」でした。

 

現在、日本におけるカキ養殖の多くは「垂下養殖」といわれる、イカダなどからカキを吊り下げる方法です。一方、オーストラリアなどでは、海に設置したポールをワイヤーでつなぎ、カキを入れたバスケットを取り付けて一粒ずつ育てる「シングルシード方式」が主流。

 

出典:ひとしお(バスケットを使ったカキのバスケット養殖システム「シングルシード方式」。海に設置したロープに、カキを入れたバスケットを取り付け養殖する)

 

カキは日本では「むき身」が前提ですが、欧米では「殻付きで提供」。そのため、「殻のかたちが美しく、身入りも一定」であることが大前提。イカダを使った養殖方法では、カキが密集して育つため、殻のかたちも身入りもバラついてしまいます。

 

シングルシード方式であれば、カキの生育が安定し、身入りがよく、殻も付着物がなく美しい形に仕上がります。

 

「バスケットであれば、自分で持てる数を入れればいいから女性でも扱いやすい。これなら養殖にチャレンジできると思いました」と古川さんは振り返ります。

 

そして、カキのバスケット養殖は「持続可能性の高い水産業」であることも、大きな魅力でした。

 

カキの養殖は、海と太陽があれば肥料や薬品も不要。エサとなるプランクトンは、海が育ててくれます。

 

「カキは浄化作用がとても高い生物なので、プランクトンを濾過することや、環境に負荷をかけないバスケット養殖であれば、生態系を保全した持続可能な水産業の発展と地域貢献に寄与できるのでは、と思いました」

 

カキのバスケット養殖に出合って、ずっと秘めていた想いがあふれ出た古川さん。思い描いていた夢に向かって、チャレンジすることを決意しました。

 

一年を通して、宮崎の海はカキの「あたたかなゆりかご」

 

ただし、「南国宮崎」でのカキ養殖には高いハードルがありました。カキは高水温での養殖が難しい水産物。海水温の高い宮崎に合った品種が必要でした。

 

宮崎の海に適したものを、と探し続けた結果、出合ったのが「三倍体カキ」。

 

マガキは、夏に産卵した後に痩せて、また次の産卵に向けて栄養を蓄えます。よって、夏場は身が痩せた「水がき」の状態になってしまいますが、三倍体カキは、通常二倍体のカキを品種改良した「産卵しないカキ」。産卵に費やすエネルギーが身に入るため、高水温にも強く、宮崎の海でも養殖が可能でした。

 

出典:ひとしお(三倍体カキの稚貝。三倍体カキを養殖するには、水産庁の特別な認可を得る必要があり、ひとしおオイスターは2020年に認可を取得/<現在は許可取得は不要>)

 

一方、宮崎の海ならではのメリットもありました。「通常、冬場はあまりカキが成長しませんが、あたたかな宮崎の海では、カキは元気よく成長することもわかりました」。つまり、年を通して、美味しいカキを育てられる環境だったのです。

 

「きれいすぎる海」で時間をかけて育まれる味わい

 

養殖の場として選んだのは、日南市の海。栄養が豊富な河川水と透明度が高い黒潮が混ざり合う、豊かな海域です。

 

じつは、なんと古川さんは「カキが苦手」!

 

「カキのえぐみや臭みが苦手だったんです。だからこそ、そんなわたしが食べられるカキを作ろうと思ったんです(笑)」と古川さん。

 

目指すカキは「えぐみのない、スッキリした味わいのカキ」。その想いを実現するために「生活排水などの影響が少ない、美しく澄んだこの海を選びました」と古川さんは説明します。

 

ただし、ここでも問題点がありました。

 

日南の海はカキの養殖にとって、決して「向いている海域」ではありませんでした。

 

一般的にカキは内湾のおだやかな海で育てられています。一方、ひとしおオイスターが育つ海は潮通しがよく、「海がきれいすぎる」。安全性は高いけれども、エサとなる植物プランクトンが少ない、という問題点がありました。

 

けれど、古川さんはこれを逆手にとりました。

 

「たしかに、ここは他産地よりも身入りするまでに時間がかかります。でも、海外では、外洋で2~3年ほどかけて、じっくり育てるところもあるんです」

 

時間はかかっても、時間がかかるからこそ、育まれる味わいがあるはず。この海で、カキを育てよう。古川さんは、果敢に目指す味わいのカキ養殖に取り組みました。

 

古川さんは、毎朝、5時半に起きて、お弁当を作って宮崎市内の自宅から1時間半かけて養殖現場へ向かいます。事務作業を済ませてから8時半に出船。

 

出典:ひとしお(古川さんの愛船「ひとしお号」)

 

バスケットを引き上げて、中のカキを確認します。成長過程の個体差にばらつきがないように大きさを揃えてバスケットに入れる選別作業を、収穫まで何度も繰り返しながら、一粒一粒、大切に育てています。

 

出典:ひとしお(バスケットを引き上げて、カキの状態を確認)

 

「手間はかかりますが、カキがバスケットの中で転がることで身が引き締まり、甘く旨みが凝縮されます」と古川さん。宮崎の海の流れ、ひとしおで揺れながら、美味しいカキが育まれていきます。

 

出典:ひとしお(バスケット養殖は、カキの殻に深みがあり、美しく仕上がる。古川さんは殻の美しさにもこだわっている)

 

ただし、「きれいすぎる海」での養殖は簡単なことではありません。美味しいカキを育てるために、さまざまな工夫を凝らしています。たとえば「天日干し」。

 

「バスケットを回転させて、カキを天日干しします。カキをある程度干すと、お腹がすいた状態になってエサをよく食べるようになります」と古川さん。エサが少ない環境ゆえに「いかに身を太らせるか」が重要。「貝柱が鍛えられて大きくなり甘みを増す、という効果もあります」。

 

波による「揺れ」もカキの成育に大きな影響があります。「小さなうちは、あまりストレスをかけないために、揺れを少なくする」など成長に合わせて、バスケットの浮力を変えて、揺れ具合を調整。

 

加えて、宮崎は「台風」という問題もあります。「被害を避けるために、より深く海中にバスケットを沈める必要があります。通常より深海に適したバスケットに入れ替えなくてはなりません」と古川さん。

 

古川さんは「ふだん使い」と「台風用」のために「世界中のありとあらゆるバスケット」を試しているといいます。

 

限りなく試行錯誤が必要でも、目指す味わいのカキにとって宮崎のクリーンな海は「素晴らしい『カキのゆりかご』」。

 

「わたしはカキの美味しさは『濃厚であること』だけではないと思っています。雑味がなく、さわやかな香りと味わいを目指しています」ときっぱり語る古川さん。

 

試行錯誤を重ねて、これだと思うものが完成。

 

出典:ひとしお(古川さんが手掛けたカキ。丸みのある美しい形、立派な貝柱!)

 

「今は、カキって美味しいな、と思います」

 

カキが苦手な古川さんが「美味しい」と思ったカキは、「ひとしおオイスター」と名付けられ、2021年にデビューを果たしました。

 

出典:ひとしお(ひとしおオイスター。通年販売。出荷前には滅菌海水による浄化作業を行い、安心して生食で堪能できる)

 

ひとしおオイスターは地元の直売所で販売。少しづつリピーターが増え、今では店頭に並べるなり買い占めるお客さんも登場!

 

出典:ひとしお(ひとしおオイスターは、地元の農産物直売所「このはな市」で販売中。リピーターが絶えない人気商品)

 

県内のマルシェに出店、白ワイン蒸しで提供するとこちらも瞬く間に完売。イベントでは「幸福感を感じるカキ」と絶賛されています。

 

出典:ひとしお(県内のマルシェで、ひとしおオイスターの白ワイン蒸しを販売する古川さん)

 

その味わいは話題をよび、現在は宮崎県のみならず、全国のオイスターファンに絶賛される人気です。

 

限りなく「ピュア」でまろやか。一口で食べるのがもったいないカキ

 

古川さんが手塩にかけて育てたひとしおオイスター。一目みるなり、その美しさにうっとりします。

 

出典:筆者にて撮影(ひとしおオイスターは、殻をむくためのナイフと軍手もセットで送ってもらえる。古川さんのセンスあふれる、パンフレットもすてき)

 

丸みのある優美なフォルム、枯れ葉のような微妙なニュアンスの色合いが重なる殻をあけると、まるでパールのような貝柱を携えた、クリーム色のふっくらした身がたゆたいます。

 

出典:筆者にて撮影(ひとしおオイスターは「Standardサイズ」(1 6070g 程度)Largeサイズ(1 120150g 程度)の2種類を販売)

 

出典:筆者にて撮影(貝柱はまるでパールのよう。優美な風情)

 

食べてみると、思わず絶句。

 

「こんなカキ、食べたことがない!」

 

味わいが、きわめて「エレガント」。

 

小粒ながら身が引き締まり、えぐみが一切なく、甘みと旨みが凝縮。たんに「濃厚」ではなく、まるで極上の大豆を使って作った「お豆腐」のような、「ピュア」でまろやかな味わい。そして、その味わいは「単調」ではなく「表情豊か」。繊細で複雑。唯一無二の味わいです。

 

おそらくその理由を物語るのが、「カキのパーツごとの味わいが感じられる」こと。ひらひらしたえらのシャキシャキした歯ごたえある美味しさ、まるでホタテのような甘みのある貝柱、なめらかでマイルドな身の部分。それぞれの「表情」があるのです。クリーンな海で育ったカキだからこそ「本来の表情」が感じられるのだと思います。

 

出典:筆者にて撮影(Standardサイズ。辛口の白ワインにぴったり)

 

一口で食べるのがもったいない。そんなカキに出会ったことはありません。

 

薬膳アレンジとして「薬膳ソース」を添えてみました。黒酢、ブロッコリースプラウトを使った「アンチエイジングソース」と、白ワインビネガーにマスカット、クコの実を合わせた「癒しソース」の2種類。スッキリした味わいのひとしおオイスターに彩りが加わります。

 

出典:筆者にて撮影(「ひとしおオイスターの薬膳アンチエイジングソース/癒しソース添え」。アンチエイジングに役立つ黒酢、ブロッコリースプラウトにごま油をプラスしたソースと、精神安定、不眠によいぶどう、クコの実と白ワインビネガー、オリーブオイル、レモンを合わせたソースを添えて)

 

生でも深い感動がありますが、加熱するとその魅力はさらに際立ちます。

 

ひとしおオイスターのピュアさが、いよいよはっきりするのが、カキフライ。唯一無二の「クリアな味わいのカキフライ」。軽やかな旨みが心地よく、上品。雑味はまったくなし。何もつけなくても美味しいのです。

 

そして身が驚くほど、ふわふわ。まるで白子かフォアグラのフライのような絶品です。

 

そのうえ、またも「パーツ」ごとの特徴が際立つので、一口で食べられない!

こちらも「唯一無二のカキフライ」です。

 

こちらには薬膳アレンジとしてナガイモ、黒きくらげ、松の実を使った「薬膳美肌タルタル」を添えてみました。ナガイモのサクサク食感がとろりとしたカキのアクセントに。

 

出典:筆者にて撮影(Largeサイズを使用したカキフライ。美肌に役立つナガイモ、黒きくらげ、松の実と卵、タマネギを合わせた「薬膳美肌タルタル」を添えて)

 

そのほか、古川さんのおすすめは、「白ワイン蒸し」。甘みや旨みが濃縮し、マルシェなどのイベントでも好評だそうです。

 

出典:ひとしお(鍋にカキを並べ、白ワインを入れて蓋をして蒸してしあげた「ひとしおオイスターの白ワイン蒸し」)

 

ちなみに、養殖におけるすべての作業は、古川さんただひとりで行っています。「世界中で、女性ひとりで行っているのはわたしくらいかもしれません(笑)」

 

カキが入ったバスケットは決して軽いとはいえません。ときには20キロ以上を引き上げることもあります。

 

「でも、作業効率を計画的に見直せば、労力を減らすことはできます。女性でも問題なくカキ養殖は可能です」と、語る古川さん。

 

「ひとりであれば、自分のペースで目指すカキを集中して育てられます。カキと向き合いながら、深く考えることもできますし」

 

もう、完成しきったとすら思える美味しさですが、古川さんは「まだまだ」と語ります。

 

「もっと味わいに広がりや、深み、グラデーションがあるカキを作りたい」。古川さんと話していると、まるでワインの醸造家と話している気持ちになります。

 

あたたかな宮崎の海で、女性ならではの柔軟かつ繊細な感性で、味わいをデザインする。醸し出された「幸福感」あふれる美味しさ、ぜひ味わってみて。

 

 

■「ひとしおオイスター」は、ひとしお公式サイト内のオンラインショップにてお取り寄せください。

 

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