家庭菜園を荒らすモグラとは?遭遇したときの対応方法を紹介
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家庭菜園を楽しんでいる方の中には、モグラに畑や庭を荒らされた経験がある方も多いのではないでしょうか。
モグラが野菜や果物を直接食べることはないものの、畑や庭に穴をあけて台無しにしてしまいます。
そのため、家庭菜園を安全に楽しく続けるためには、モグラの駆除対策が欠かせません。
本記事ではモグラを駆除しないと受ける被害や、駆除の効果的な方法について詳しく解説します。
家庭菜園でモグラの被害に悩んでいる方は、ぜひ本記事の内容を参考にしてみてください。
もくじ
家庭菜園を楽しんでいる方はモグラに注意
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モグラは地中で暮らす生き物なので、日常生活で見かけることはほぼありません。
しかし、人が営む畑や庭に住み着いて被害をもたらすケースがあります。とくに家庭菜園をしている畑や庭で穴を見つけたら、モグラの可能性が高いです。
モグラの特徴や分布について詳しく解説するので、生態を知って駆除に役立ててみてください。
モグラの特徴
モグラは地中にトンネルを掘って暮らしている生き物で、哺乳綱真無盲腸目モグラ科に分類されます。
日本にはアズマモグラやコウベモグラなどをはじめ、多くのモグラが生息しています。
体長は約10cm~15cmで、黒ずんだ茶色い毛で覆われていることが特徴です。見た目はネズミに少し似ていますが、目や耳がなく手足が大きく発達しています。
モグラの主食は昆虫であるため、野菜や果物、花などの植物は基本的に食べません。
農作物をモグラに直接食べられることはありませんが、ミミズやテントウムシなどの益虫まで食べてしまうので、間接的に被害を受けます。
モグラの分布
モグラは北海道を除き、日本の全国各地に分布しています。
基本的に地中で生活する生き物なので、アスファルトに覆われた都市部で見かけることはほぼありません。
反対に、山岳地帯や丘陵地帯など土の地面が広がっている地域には多く生息しているようです。
モグラは寒さに強く、どの地域でも冬眠せず一年中活発に動き回っています。
そのため、北海道以外の地域にお住まいの方は、季節問わずモグラの対策をおこなう必要があります。
モグラを駆除しないと受ける被害
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モグラを駆除しないまま家庭菜園を続けていると、次のような被害を受ける可能性があります。
- 植物が枯れてしまう
- 水田のあぜが崩壊する
- 益虫がいなくなる
- ねずみやへびをおびき寄せる
それぞれの被害について、詳しく解説します。
植物が枯れてしまう
モグラは地中を移動して生活しているため、植物の根元にダメージを与えて枯らしてしまう可能性があります。
またモグラがトンネルを掘る際に植物の上に土が被せられると、成長を止めてしまうかもしれません。
とくに秋から冬にかけては、モグラ塚の影響で植物が枯れていないかを注意深く観察する必要があります。
通常、植物は秋から冬にかけて成長を停止し、春から夏にかけてぐんぐん育つものです。
しかし、秋から冬に植物がダメージを受けると、春になっても成長が再開せず、枯れたままの状態になってしまいます。
水田のあぜが崩壊する
水田で作物を育てている方や、家庭菜園の付近に水田がある方は、あぜ道のモグラ塚にも気を配らなければなりません。
あぜ道に穴をあけられると、水田の水が抜けてしまうことがあるからです。
水田で育てる稲や作物などは、水が抜けると水分が不足して枯れてしまう恐れがあります。
ひどい場合は水田のあぜ道が崩壊し、水田や周囲の畑に甚大な被害を招きかねません。
水田で作物を育てる際には、あぜ道のモグラ対策が必須です。
益虫がいなくなる
モグラは昆虫を主食としている生物なので、畑の中に生息している益虫を食べてしまいます。
畑の代表的な益虫はミミズです。ミミズには土壌の微生物を増やす働きがあり、肥沃な土を作るのに欠かせないといわれています。
モグラはミミズを好んで食べるため、対策をしなければ畑のミミズが増えず、土の状態が徐々に悪くなる恐れがあります。
農作物を育てるためには土壌の状態が非常に重要なので、ミミズがいないと思うように作物が育ちません。
益虫が減れば減るほど、畑は大きなダメージを受けることになるでしょう。
ネズミやヘビをおびき寄せる
モグラによる二次被害の中でもとくに深刻なのは、ネズミやヘビに畑を荒らされることです。
モグラが地中に掘ったトンネルによって、ネズミが畑におびき寄せられることがあります。
肉食のモグラとは異なりネズミは農作物を食べるため、せっかく育てた野菜や果物が台無しになるかもしれません。
またネズミが集まると、ヘビをおびき寄せる可能性があります。地域によってはヘビだけでなく、ネズミの天敵であるキツネやイタチなど他の害獣も出没するようになります。
モグラを皮切りに別の害獣が畑に現れる可能性があるため、根本的な原因であるモグラ対策は必須といえるでしょう。
モグラを駆除するまでに必要な準備
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モグラを効率よく駆除するためには準備が必要です。駆除するまでにおこなっておきたい準備は次のとおりです。
- 1:地面にできたモグラ塚を探す
- 2:モグラトンネルを探す
- 3:トンネルのうち本道を探す
それぞれの手順について、詳しく解説します。
1:地面にできたモグラ塚を探す
まずは畑や庭を注意深く観察し、地面にできたモグラ塚を探してみましょう。
モグラがトンネルを掘る際、地上に押し出した土の塊のことをモグラ塚といいます。
そのため、土が盛り上がっている部分がないかを探してみてください。
モグラ塚を発見した時は、足で踏んで平らにしましょう。モグラは匂いに敏感な生き物なので、人間の匂いをつけることでモグラ除けの効果が期待できます。
畑をひととおり観察してモグラ塚を踏み終えたら、次のステップに進みましょう。
2:モグラトンネルを探す
次にモグラが堀ったトンネルを探します。
モグラが地上近くを掘り進めると地面にひびが入るため、畑や庭にひびがないかを確認してみてください。
地面のひびを掘ってみると、モグラが堀ったトンネルの穴になっていることがあります。
モグラが通り抜けできないよう、トンネルの穴を土で塞いでいきましょう。
しかし、トンネルを土で塞いだだけでは再び穴を掘り返されてしまうため、次の対策が必要です。
3:トンネルのうち本道を探す
モグラが掘るトンネルには、メインで使用する本道と、サブで使用する支道の2種類があります。
支道は一度使用したら二度と使用することはないため、土で塞ぐだけで問題ありません。
一方の本道はモグラが頻繁に行き来するので、塞いでも塞いでも掘り返されてしまいます。
そのため、モグラを駆除するためには本道を見極めて罠や忌避剤を仕掛ける必要があります。
モグラのトンネルをすべて塞ぎ終えたら、時間を置いて再び見に行きましょう。塞がったままになっているところが支道、モグラに掘り返されているところが本道です。
モグラを駆除する効果的な方法
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モグラを駆除する準備が整ったら、実際に駆除していきましょう。効果的な駆除の方法は次の3つです。
- モグラの嫌がる匂いで追い払う
- 超音波を利用して撃退する
- 捕獲器で捕まえる
それぞれの方法について詳しく解説するので、モグラ被害を止めたい方はぜひチェックしてみてください。
モグラの嫌がる匂いで追い払う
モグラは嗅覚が発達している生物であるため、嫌がる匂いを散布すれば追い払えます。
効果的にモグラを追い払うためには、モグラ専用の忌避剤を使用しましょう。忌避剤のタイプは主に次の3つです。
- 地面に置くタイプ
- 穴に直接差し込むタイプ
- 穴に噴射するタイプ
地面に置くタイプは、一定の間隔をあけて畑に設置するだけで済みます。モグラの穴が見つからない場合や、被害を防止したい場合におすすめです。
穴に直接差し込むタイプや噴射するタイプは、モグラの本道が特定できている場合に効果的です。
農作物に忌避剤が付くのを避けたい場合は、トウガラシや木酢液などを本道に仕掛けましょう。いずれもモグラが嫌がる匂いであるため、忌避効果が期待できます。
超音波を利用して撃退する
モグラは聴覚も発達しているため、超音波を利用した撃退方法もおすすめです。
家庭菜園で手軽に設置できるのは、ペットボトル風車です。ペットボトル風車を本道に差し込んでおけば、音と振動が地中に伝わってモグラ除けになります。
ペットボトル風車の作り方は次のとおりです。
- ペットボトルの底とキャップに穴をあける
- ペットボトルの底を切り落とす
- 縦に切れ目を入れ、羽を作る
- 切り落とした底をペットボトルの中にはめ込んで接着剤で固定する
- 針金を通して90度に折り曲げる
完成したら中空パイプに針金の部分を差し込み、トンネルの本道に設置しましょう。
捕獲器で捕まえる
匂いや音を仕掛けてもモグラの被害が止まらない場合、捕獲機を設置して捕まえましょう。
モグラの捕獲器はホームセンターやインターネット通販などで購入できます。
ただし、捕獲器を設置するためには自治体の許可を取らなければなりません。鳥獣保護管理法によって生き物の捕獲が規制されているためです。
無断で捕獲器を設置した場合、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処される可能性があります。
なお、自治体に申請してから許可が下りるまで、1~2週間ほどの時間が掛かります。
モグラの一部の種は絶滅危惧種に指定されているため、捕獲器で捕まえたときは逃がしてあげましょう。
モグラ被害を防ぐ対策
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モグラを一度駆除しても、時間が経てば再び現れる可能性があります。そのため、次のような対策をおこなっておきましょう。
- 金網や柵を設置する
- 忌避剤を常に使用する
それぞれの対策について、詳しく解説します。
金網や柵を設置する
モグラを駆除したあとは、再び侵入されないように金網や柵を地中に埋めて設置しておきましょう。
まずは網目が1cm程度の金網を用意します。次に、畑や庭を囲むように地中50cm~60cmの深さまで金網を埋めてみてください。
地上は20cmほど金網が出ていれば問題ありません。そのため、70cm~80cmほどの高さがある金網を用意しましょう。
金網が地中深くに埋まっていれば、モグラが畑に侵入するのを防げます。
忌避剤を常に使用する
畑を管理する一環として、忌避剤を常に使用していればモグラが出現する可能性を最小限に抑えられます。
忌避剤の効果が持続する時間は短時間であることが多く、一度使用しただけではモグラの侵入を防ぎきれません。
また雨が降ると忌避剤の効果は薄まってしまいます。
忌避剤を常に使用していれば、モグラが匂いを嫌って畑に近付かなくなるでしょう。
無添加で農作物を育てている方には、天然由来成分のみで作られた忌避剤がおすすめです。
モグラの駆除に関するよくある質問
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モグラの駆除に関して、よくある質問は次のとおりです。
- モグラ退治にガムを使用すると効果がありますか?
- モグラの天敵は何ですか?
- モグラは光に弱いですか?
それぞれの質問に回答します。
モグラ退治にガムを使用すると効果がありますか?
モグラ退治の方法の一つとして、チューインガムを仕掛ける方法があります。
強い香りを放つガムをトンネルに置いておくと、モグラが餌だと勘違いして食べ、消化不良を起こして死亡するためです。
ただしガムを使用すると、モグラの死骸が畑の中に残る可能性があります。
また他の駆除方法と比べて効果は薄いため、基本的には匂いや音を利用した対策をおこないましょう。
モグラの天敵は何ですか?
モグラの天敵はネコやイタチ、キツネなどの肉食動物です。
またフクロウやタカ、ワシ、ハヤブサなどの猛禽類もモグラの天敵として知られています。
モグラは光に弱いですか?
モグラは地上で見かけることがほぼないため光に弱いと思われがちですが、実際は昼間の地上でも問題なく活動できます。
しかし、モグラは視力が極端に低いため地上での生活には適していません。
また身体に土が触れていないとパニックを起こす性質もあることから、一生の大半を地中で過ごしています。
まとめ
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モグラを駆除する方法や、畑や庭への被害を防ぐ方法を解説しました。
家庭菜園を楽しんでいる方は、モグラの被害を受けないように対策をおこないましょう。モグラが畑に出現すると、作物が育ちにくくなります。
モグラ対策として手軽で有効なのは、忌避剤の使用です。定期的に忌避剤を使用していれば、モグラが侵入する危険性を抑えられます。
ぜひ本記事で紹介した内容を参考に、モグラ対策をおこなってみてください。