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80代の父。運転免許証の返納をどう考える? |老後のマネー安心に(16)

出典:編集部にて作成


シニア世代の大きな悩みごとのひとつが「老後のお金」にまつわるあれこれです。

 

毎日のように、ァイナンシャルプランナー佐々木先生のもとには、老後のお金まわりの相談が寄せられています。その中から、みなさまにもきっと役立つ相談案件をこちらでご紹介します。金融の知識は〝0〟で大丈夫! 気軽に、一緒に勉強して、老後の安心づくりを進めましょう。

 

【今回のご相談】80代になった父親に運転免許証の返納を意識してもらうには、どのようにしたらよいでしょうか?

 

■年代:50性別:女性 相談カテゴリ:老後のマネー

 

───今回ご紹介するのは、80代になった父親に運転免許証の返納を意識してもらうには、どのようにしたらよいかというご相談です。直接、老後のマネーとは無関係のようですが、実はそうでもないのです。

 

「私は、父に運転免許証を返納してほしいと思っています。父も80代になり、歩くスピードや反射神経、体力や記憶力、さすがに衰えが見えてくるようになりました。それでも、父と同世代の人の中では、かなり若々しく見えて、周りからもよくそう言われます。そう言われると、謙遜しながらもかなり喜んでいるのがよくわかります」

 

「いつまでも若々しいと言われたい思いが、父の活力になっているのですが、その反面、衰えた自分を認めたくないという思いが働いてしまっているようにも思います。そんな感情も、プラスに捉えることもできるのかもしれませんが、車の運転など現実的なことになると話は違ってきます」

 

「小さな会社ですが、創業者の父は今でも毎日車で出勤しています。20分程度の通いなれた道とはいえ、やはり心配です。いつ免許を返納するつもりなのか、さりげなく聞いたことはありますが、本人は車の運転をやめるなんて少しも考えていません。ですが、家族としては、そろそろ運転をやめてほしいと思っています」

 

「運転免許更新の講習や認知機能検査もそんなに難しいものではなさそうです。免許を返納する制度が、もう少し厳しいものになれば、本人も諦めがつくのではと思いますが……。免許返納を意識してくれるようにするには、どのようにしたらよいのでしょうか?」

 

【お答え】個人の問題ではなく、大切な家族に関わる問題と捉えて共有することが重要です

 

 

「運転免許証の自主返納について、警察庁のHPには『運転免許が不要になった方や、加齢に伴う身体機能の低下等のため運転に不安を感じるようになった高齢ドライバーの方は、自主的に運転免許証を返納することができます』と記載されています。強制ではなく、中立的な表現で選択肢の提示をしているだけの印象ですね。あくまでも自主返納です」

 

「この自主返納制度は、1998年4月施行の改正道路交通法によって開始されたものです。背景には高齢者の運転事故増加が挙げられます。2019年の東京・池袋で発生した高齢者による暴走事故が特に印象に残っていると思います。実際にこの事故をきっかけに運転免許証の返納が過去最多になったようです」

 

「このような事故は加害者家族の生活も一変させてしまいます。犯罪者の家族という一生消せない事実・近所の人と笑って話していいものかという負い目・運転を止められなかった後悔など。加害者家族についての記事には、いつ加害者の立場になるかわからない・事故が起きてからでは取り返しがつかない・喧嘩をしてでも免許を取り上げるべきだった。などとあります。加害者家族の経験から考えるべきことは、少なくないと思います」

 

「被害者に支払う賠償金や入院費などは、保険でまかなわれたとしても、家族に残した罪の意識は、加害者本人がこの世を去ってもなお、家族を縛り続けます。自動ブレーキなどの安全機能を搭載した車にする・保険会社などの見守り型ドラレコを活用するなどのハード面の対策も重要だと思いますが、家族の問題として捉え運転免許証の返納についてしっかり話し合うことが最も重要だと思います」

 

「運転免許証返納後の生活が不便にならないよう、どのようなサポートができるのか考えることも必要ですね。公共交通機関の割引などの支援制度などもあります。自治体や高齢者運転免許自主返納サポート協議会などで確認することができます。個人のことではなく、大切な家族に関わることだということが伝わるといいですね」

 

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