60代。いらない田舎の土地の処分方法を教えて! |老後のマネー安心に(11)

出典:編集部にて作成
シニア世代の大きな悩みごとのひとつが「老後のお金」に関するあれこれです。
毎日のように、ファイナンシャルプランナー佐々木先生のもとには、老後のお金まわりの相談が寄せられています。その中から、みなさまにもきっと役立つ相談案件をこちらでご紹介します。金融の知識は〝0〟で大丈夫! 気軽に、一緒に勉強して、老後の安心づくりを進めましょう。
【今回のご相談】いらない田舎の土地の処分に困っています……
■年代:60代 ■性別:男性 ■相談カテゴリ:老後のマネー
───今回ご紹介するのは、相続を考えているが田舎の土地の処分に困っているというご相談です。
「60代後半になり、真剣に相続のことを考えるようになりました。人生を振り返ってみると、仕事優先だったように思います。私は仕事をして養っているのだから、子育ては妻の仕事だと考えていたように思います。そんなことを言うと、今の若い人たちに嫌われそうですが」
「そんな父親ですが、息子との関係は良好です。特に社会人になってからは、職場の様子などを話してくれます。どちらかというと、妻との会話のほうが減ってきているように思います。定年して、せっかく時間ができたというのに……。それが妻にとっては、厄介なことなのかもしれませんね。それでも、一緒に庭の手入れをしているときは楽しそうに見えるので、良い老後が過ごせているのかな~と思っています」
「しっかり仕事をしてきましたから、老後の生活資金の心配はありません。相続についても、できる相続対策はしています。ただ一つ、困りごとがあります。欲しい人がいたら差し上げてしまいたいと思うような、どうにもならない田舎の土地の処分に困っています。私の代で、処分できるものならしてしまいたい。どのような処分方法があるのでしょうか?」
【お答え】土地の処分には費用がかかることを踏まえて、最適な処分方法を選択しましょう
「いらない田舎の土地の処分に悩む人は多いですね。持っているだけでも、固定資産税などの税金がかかり、そのまま放置しておくわけにもいかず維持管理費もかかります。処分するには、どのような方法があるのか見ていきましょう」
「『売却』…売るには買い手が必要。『土地活用』…活用できる立地でないと収入にならない。『相続放棄』…土地だけの相続放棄はできない。これらができる土地であれば、困りませんね」
「『国に返す』…令和5年に改正された新しい制度[相続土地国庫帰属制度]があります。ですが、審査基準が厳しく、更地にすること・負担金原則20万円(土地の種類や面積により変動)の納付などの要件があります。相続や土地に関連した仕事をしている専門家が、この制度を利用したという話は聞いたことがないと言っていたことを思い出しました」
「『寄付』…土地を自治体へ寄付するという選択肢もあります。有効な手段ではありますが、自治体にメリットがない土地は寄付を受け付けてもらえないようです。また、固定資産税が自治体の収入源であるため無条件での受け入れは少ないようです。ですが、土地の所在する自治体に相談してみる価値はあると思います」
「従来の方法の他に、『土地の売買マッチングサイト』等があります。いらない土地を売りたい人と土地が欲しい人が、メルカリのように個人間取引できるプラットフォームです。また、全財産を生命保険にして相続放棄をするという裏技的なことを実践している農家さんもいるとかいないとか……。土地を所有し続けるデメリットと、処分にかかる費用の兼ね合いを考慮し、上記を参考に上手く処分できるといいですね」