70代でNISAを始めてしまいましたが大丈夫? |老後のマネー安心に(9)

出典:編集部にて作成
シニア世代の大きな悩みごとのひとつが「老後のお金」に関するあれこれです。
毎日のように、ファイナンシャルプランナー佐々木先生のもとには、老後のお金まわりの相談が寄せられています。その中から、みなさまにもきっと役立つ相談案件をこちらでご紹介します。金融の知識は〝0〟で大丈夫! 気軽に、一緒に勉強して、老後の安心づくりを進めましょう。
【今回のご相談】70代でNISAを始めてしまいましたが、大丈夫でしょうか?
■年代:70代 ■性別:女性 ■相談カテゴリ:老後のマネー
───今回ご紹介するのは、銀行から勧められて、70代でNISAを始めてしまったが大丈夫だろうか?というご相談です。
「現役で仕事をしている70代です。病気はありません、足腰も丈夫で、健康な体に恵まれて本当に有難いと思って過ごしています。自分で言うのもなんですが、若く見られることが多いです(笑)」
「貯金はありますが、銀行にただ預けてあるだけです。ある程度の金額があるので安心していましたし、ずっと仕事をしていましたので、銀行さんの案内や話を聞くことはありませんでした。もっと早く話を聞いていたら、もっと貯金も増えていたのに……。まぁ仕方ないです」
「相続のことを考えて、外貨建て保険を勧められましたが、すぐには決断できないタイプなので一旦断りました。それなのに、勧められるままNISA口座を作ってしまい、運用?を始めてしまいました。相続もできるようですし、非課税は良いと思いましたが、70代でNISAを始めて本当に大丈夫でしょうか?」
「お金を増やすことに興味は出てきましたが、とにかく損をするのは嫌だという話をしていたら、今度は個人向け国債をすごく勧められました。これはよく分からないので返事はしていません。金利は高くなっているようですが、どうなのでしょうか?」
【お答え】NISAに変えることで大きな利益が出る可能性はあります。ですがデメリットも認識しておきましょう
「年齢的にも、相続を視野に入れた守りの資産運用となりますね。保険の非課税枠はしっかり活用してください。70代からのNISAですが、相場が悪化した場合の立て直しまでの時間リスクが高くなります。元本保証もありません。生活費などを運用するのはNGと決めてください。相続を見据えた余裕資金での運用であれば、この際ですから積極的に投資にチャレンジしてみるとよいと思います」
「NISAの相続での注意点をお伝えしておきますね。死亡日以降の配当金や分配金は非課税にならないため、所得税・地方税が課税されます。また、NISAの株は、相続すると普通の株と同じ課税対象になりますが、取得費は、被相続人の取得費を引き継ぐのではなく、相続発生日の時価となります。税金的に損をしてしまうケースもあります」
「例えば、『通常の株:親が100万円で取得→売却150万円【利益50万円→税金10万円】』『NISA口座の株:親が100万円で取得→子供が相続(取得)50万円→売却150万円【利益100万円→税金20万円】』となります。覚えておくといいですね」
「個人向け国債については、確かに金利が上昇してきましたね。安全・安定という面でも悪くはありませんが、そんなに勧められると、銀行にノルマでもあるのかな?なんて勘ぐってしまいますね(笑)。また、金利といえば、普通預金の金利を2%(条件付き)とするネット銀行も出てきました。預金の獲得競争が激化する中で、これからは、銀行選びも資産運用目線での選択となっていきますね」