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60代。土地を贈与したら損をする? |老後のマネー安心に(4)

出典:編集部にて作成


シニア世代の大きな悩みごとのひとつが「老後のお金」に関するあれこれです。

 

毎日のように、ファイナンシャルプランナー佐々木先生のもとには、老後のお金まわりの相談が寄せられています。その中から、みなさまにもきっと役立つ相談案件をこちらで紹介します。金融の知識は〝0〟で大丈夫! 気軽に、一緒に勉強して、老後の安心づくりを進めましょう。

 

【今回のご相談】子供が親の土地に家を建てる場合の負担を、少しでも軽減できる方法があれば教えてください!

 

■年代:60性別:男性 相談カテゴリ:老後のマネー

 

───今回ご紹介するのは、子供が親の土地に家を建てる場合の負担を、少しでも軽減できる方法があれば教えて欲しいというご相談です。

 

「息子夫婦から嬉しい知らせがありまして、来年には孫が生まれる予定です。せかすようなことは言わずにいましたが、内心では孫の誕生を心待ちにしていました。男の子ならいいな~なんて思っていたこともありましたが、今は、とにかく元気に生まれてきてくれることを願うだけです」

 

「住まいも近くなる予定です。共働きでの子育ての大変さは分かっているので、孫の面倒を見ることもできますし、妻も私も今から楽しみにしているところです。息子にとっては、都合の良い親というところです()

 

「我が家の近くに私名義の土地がありまして、そこに息子夫婦が家を建てる予定です。私も相続した土地ですし、いずれは息子に渡すつもりでいましたから、そのタイミングが早くきたということですね。贈与になるのでしょうか?」

 

「贈与税は高いと聞いたこともあります。土地を譲り受ける息子の負担を少しでも軽くできればと思います。税金の軽減方法など、上手いやり方があれは教えて欲しいと思います」

 

【お答え】贈与より相続を選択する方がメリットは大きい場合が多いですが、ケースバイケースのため専門家のアドバイスを受けると安心です

 

 

「親の土地に家を建てるケースはよくありますね。親の土地に家を建てれば、家の購入にかかる費用を抑えられますし、住宅ローンの審査も通りやすいといったメリットもあり、いいことばかりです。ですが、高い税金がかかってしまうことがありますので工夫が必要です」

 

「土地を譲り受けるのだから、子供には『贈与税』がかかります。不動産は高額な資産なので、贈与税が数百万円になることもあります。親の土地を譲り受けるだけなのに……、できれば払いたくないのが本音でしょう」

 

「では、格安で購入してしまえばどうでしょう。例えば時価3,000万円の土地を、親から1,000万円で購入した場合、2,000万円に相当する贈与を受け取ったとみなされ、2,000万円に対して贈与税を支払う義務が生じることになります。他にも、子供には不動産取得税、親には譲渡所得税が課税されます」

 

「では、親から無償で土地を借りてしまえばどうでしょう。子供が権利金や地代を支払わずに親の土地を借りることを使用貸借と言います。これは贈与に該当しないため、贈与税は課税されません。ですが、その土地は親の相続財産となるため、親の相続が発生した際には相続税が課税されます」

 

「また、『相続時精算課税制度』を利用する方法もあります。相続時精算課税制度とは、最大2,500万円以内であれば贈与税が課税されず、2,500万円を超過した贈与財産については税率が一律20%となる制度です。しかし、贈与者の相続が発生した際には、相続時精算課税制度で課税されなかった贈与財産につては、相続財産として相続税が課税されます。いわゆる先延ばしの制度です」

 

「贈与税よりも相続税の税率の方が低く設定されている傾向にあります。また、相続税には基礎控除[3,000万円+600万円×法定相続人の数]があり、遺産総額が相続税の基礎控除額の範囲内であれば、課税はされません」

 

「親の土地に家を建てる場合には、ケースごとに税金が異なります。そして、上記に関しても更に細かい要件や特例制度があるため、専門家にアドバイスを受けた方が安心です。知らないと損をしてしまうこともあります。賢く土地を活用しましょうね!」

 

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