北村物産「伊勢ひじき」。栄養豊富な伊勢志摩育ち、伝統の蒸し製法で絶品の味わい|からだに美味しいお取り寄せ(45)

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薬膳において、ひじきはアンチエイジングに役立つ食材。中医学において老化をつかさどる臓器「腎」の働きを高めて老化トラブル全般に高い効能があります。
また、ひじきは「血」を補う効果も兼ね備えています。貧血、立ちくらみ、めまいの改善にも役立ちます。さらに、薄毛や抜け毛など気になる頭髪問題にも威力を発揮。不眠や情緒不安定など心のトラブルにも役立ち、ひじきは心身の健康維持にマルチに活躍してくれるありがたい海藻なのです。
今回は、昔ながらの製法で仕上げられた、絶品のひじきをご紹介します。
もくじ
栄養豊富な伊勢の海で育った、若いひじきのみを収穫
出典:筆者にて作成(伊勢市にて、最高品質の「伊勢ひじき」の加工販売を行う老舗・北村物産)
古くからひじきの産地として知られる三重県。ひじき加工品は全国トップクラスの生産量を誇ります。その歴史は古く、平城宮の木簡には伊勢志摩の海藻類が納められていたという記載があるとされています。伝統あるひじきは、現在も市場において他産地と比較して、高値で取引されるなど高い評価を得ています。
なかでも、伊勢志摩地方は良質なひじきが水揚げされることで知られ、「伊勢ひじき」の名前で、地域の優れた産品と生産者を認定する「三重ブランド」として認定されています。
出典:筆者にて撮影(三重ブランドに認定されている北村物産の「伊勢ひじき」。長ひじきと、芽ひじきがある)
「伊勢ひじきは長くて太く、やわらかでもっちりした食感、旨みがあり、実詰まりがよいのが大きな特徴です」と語るのは、伊勢市・北村物産社長の北村裕司さん。
出典:北村物産(北村裕司さん。「ひじきを食する日本の文化を後世に残したい」とイベント登壇や学校での出前食育授業なども積極的に行う)
北村物産は創業寛政年間(約200年前)の歴史を誇る老舗。北村さんは10代目として、「伊勢ひじき」をメインとした海藻の加工販売を行うとともに、ひじきの魅力を発信する活動も積極的に行っています。
出典:北村物産(伊勢市の北部、伊勢湾そばに位置する北村物産。三重県産あおさ、のり、わかめ、めかぶ、あらめなどの加工も扱う)
伊勢ひじきの美味しさの秘密はまず、「収穫される場所にある」と北村さん。「伊勢ひじきの原料が獲れるのは、伊勢湾の入出口。鈴鹿山脈~紀伊山脈の森の恵みを受け取った宮川や木曽三川からの栄養豊富な水が流れ込んでいます。そして、太平洋の荒波にもまれることで、美味しいひじきが育ちます」。
また収穫時期がおもに4月から5月ごろと、「ひじきの成熟前」であることもポイント。この時期はひじきの生育状態が若いため、気胞が入らずに食感がよい状態で採取されます。
出典:北村物産(大潮の干潮時に岩場に生えたひじきを鎌で刈り取る)
「本来であれば、ひじきが育ったほうが収穫量が多くなりますが、伊勢志摩は古代から都に納める上質な海藻を採ってきた文化があります。漁師や海女さんは、ひじきが育ちすぎていない、もっとも美味しい時期に収穫するので、ひじきに空洞がなく実詰まりがよいのです」と北村さんが説明します。
出典:北村物産(水揚げされたひじき。長さは50センチほど。伊勢志摩地区のひじきは生体が強く、幹がほかと比べ太いといわれている)
伝統の「蒸し製法」で、ひじきの旨みを最大限に引き出す
そして原料のみならず、伊勢ひじきは水揚げ後の「加工」にも他にはない特徴があります。それは、いまでは数少なくなった、伝統的加工法である「蒸し製法」で仕上げること。「湯がかずに蒸すという方法で、ひじきの旨みを最大限に引き出します」と北村さん。「蒸すことで水っぽくならずにひじきの旨みを逃さず、濃く豊かな風味を残すことができるんです。これはわたしどもにとっては、絶対的なこだわりですね」。
北村物産では、収穫、天日干しの後出荷されたひじきの中から、さらにもっとも良質なものを厳選して加工にあたります。
出典:北村物産(加工前のひじき。左が長ひじき、右が芽ひじき。長ひじきはひじきの「茎」の部分、芽ひじきは「葉」の部分)
まず、天日干しの際に付着した海水と塩分は渋みや苦みの原因になるため、洗い流しながら水戻しします。ただし、たんに洗い流せばいいわけではありません。「塩分やアクは落としても、旨みを逃さないように行います」と北村さん。
「ひじきのコンディションは時期によって異なります。ほどよい加減で余分なものを洗い流し、ベストなタイミングで作業を終える必要があるんです。この見極めは『長年の経験』が必要。水洗いしながら『手の感触』で判断していきます」。
出典:北村物産(ひじきの水戻し風景。2.5m四方の槽に、乾燥したひじき240キロを入れて水を加えながらほぐしていく)
蒸し加工も当然ながら、ひじきの状態から考慮して微調整。釜で2時間蒸してから、蒸しむらができないようにひじきの位置を調整して再度釜に仕込み、2時間蒸してからさらに2時間じっくり蒸し上げます。
出典:北村物産(ひじきは、100℃の蒸気で蒸し上げる)
「手間はかかりますが、風味や食感を残すためには、重要な工程です」と北村さん。
出典:北村物産(蒸し上がったひじき)
出典:北村物産(蒸したひじきは、乾燥させたのち目視で異物を除去し、選別する)
蒸し加工で、その美味しさをより引き出したひじきは、いったいこれまで食べていたひじきはなんだったのか、という美味しさ。さっとゆでて食べてみると肉厚なひじきは、確かな歯ごたえがあるのに、噛むとむっちり、そしてなめらかでふわりとした上品な口当たり。そして、雑味がない旨み、そして「甘み」! 圧倒的に「ひじきの味」を感じるのです。
たとえは妙ですが、なんだか「最高級のお米」を食べているような気持ちになります。
伊勢ひじきの味わいが引き立つのは「酢の物」
伊勢ひじきのバツグンの風味を堪能するなら、「酢の物がおすすめです」と北村さん。
「ゆでたひじきを合わせ酢であえるだけ、というカンタンレシピですが(笑)、ひじきの味わいが強く感じられます。これは、風味豊かな伊勢ひじきだからこそ、美味しく仕上がる一品です」
また「煮物」のイメージが強いひじきですが、多彩な料理に活用できる、と北村さんが教えてくれました。
ひじきは油との相性がよいのでかき揚げや、ニンニクと一緒に炒めて「ぺぺロンチーノ風」にして食べるのもおすすめだそう。
さらに、肉との相性もバッチリ、とくに北村さんがおすすめなのが「牛肉」と組み合わせた「牛ひじき」。「炒めた牛肉とひじきをだし、しょうゆなどで10分ほど煮ます。ひじきから旨みが出るので、味付けは薄めで十分美味しく仕上がります」と北村さん。
気になるのが「芽ひじき」と「長ひじき」の使い分けですが、北村さんによれば「お好み」でOKだそう。「しいていえば、ひじきの旨みを堪能したいなら長ひじき、ですね。かき揚げにも向いています」と北村さん。ちなみに、長ひじきのおすすめレシピは「巻き寿司」。
甘辛く煮て、酢飯と合わせると美味しく仕上がるそうです。
「ひじきは健康食。和洋中、さまざまな料理で日常的に召し上がってほしい」と力を込めて北村さんが語ります。「伊勢神宮では、2日に1日程度はひじきを神饌としてお供えしています。つまり、神様にとっても『日常食』。ひじきで健やかな身体を目指していただきたいですね」
もちろん、ひじきは北村さんの日常食。その効果を物語るかのごとく、北村さんは元気はつらつ。「健康診断の数値も問題なしです」と笑顔で語る。
美味しい伊勢ひじきは、身体もしっかりと滋養してくれているようです。
ひじきサラダにはアボカドがマスト!?スパイスとの相性もバッチリ
北村さんに教わった伊勢ひじきの美味しい食べ方を参考にしながら、ひじき薬膳レシピを作ってみました。
まず、「伊勢ひじきのアンチエイジング酢の物」。ひじき同様、アンチエイジングに役立つしらす、クコの実を組み合わせたレシピです。芽ひじきをサッとゆがいて、キュウリとともに合わせ酢であえて、しらすとクコの実をのせます。
合わせ酢がしみたひじきは、北村さんがおっしゃっていたとおり、酸味のむこうに伊勢ひじきの旨みの輪郭が浮かび上がります。わかめの酢の物とも、もずくの酢の物とも違う、「複雑みのある豊かな美味しさ」! 食感も心地よいので、食べだすと止まりません!
出典:筆者にて撮影(伊勢ひじきのアンチエイジング酢の物。油でカリカリになるまで炒めたしらすが、もっちりひじきによいアクセント)
同じくアンチエイジング薬膳として「伊勢ひじきとナガイモ、アボカド、くるみのサラダ」。腎の働きを高めるナガイモ、くるみを合わせた一品です。ゆでた芽ひじきと、ナガイモ、アボカド、ツナ、刻んだ玉ねぎを、オリーブオイル・しょうゆ・酢・レモン、にんにくのすりおろしを混ぜたドレッシングであえて、刻んだくるみを散らします。
アボカドが入るのは、北村さんいわく「ひじきはどんな具材と合わせたサラダにしても美味しいけれど、絶対アボカドを入れるのがおすすめ」という教えから。
濃厚なアボカドはひじきと驚くほど相性がバッチリ。とろけるアボカドとひじきが一体になってほかの野菜となじみ、グンと美味しくなります。ひじきサラダを作るときは、ぜひお忘れなく!
出典:筆者にて撮影(伊勢ひじきとナガイモ、アボカド、くるみのサラダ。ナガイモは叩いてから食べやすく切って使うとサクサクしてひじきの食感を引き立てます)
続いて、「伊勢ひじきと牛肉の造血薬膳煮」。北村さんおすすめの牛肉はひじき同様血を補う効能があります。さらに同じく造血食材のにんじん、小松菜をプラス。
長ひじきと牛肉、野菜を炒めてだし汁、しょうゆ、みりん、酒も入れて煮ます。北村さんの教えどおり、しょうゆは控えめにしたのに、ひじきの風味で上品なコクのある仕上がり。これは我が家の定番になりそう!
出典:筆者にて撮影(伊勢ひじきと牛肉の造血薬膳煮。牛肉とひじきの旨みが浸み込んだにんじんと小松菜も絶品の味わい。安い牛肉でも十分ですがご当地の「松坂牛」ならいかほどか!?)
じつは、ひじきはスパイスとの相性もバツグンです。造血効果大の「伊勢ひじきの薬膳スパイスカレー」にしてみました。
血を補って巡らせる黒豆、黒きくらげ、そして造血ドライフルーツ・レーズンをプラス。
豚肉を、刻んだたまねぎ、しょうが、にんにくとともに炒め、火が通ったらひじき、黒豆、黒きくらげも炒めます。スパイスはクミン、コリアンダー、ターメリック、カイエンヌペッパー、フェヌグリークを。トマト缶、水、レーズンを加えて煮たら隠し味にソースを加え、塩・こしょうで味を整えます。
伊勢ひじきは風味がしっかりしているので、スパイスに負けずに深い味わいに。意外かもしれませんが、レーズンとの相性もよく、自然な甘みが加わります。伊勢ひじき効果でカレーも「複雑み」がアップ。プロ風の仕上がりになるのでぜひ、お試しを。
出典:筆者にて撮影(伊勢ひじきの薬膳スパイスカレー。もちろんカレー粉で作ってもOK。じつはソースもひじきとぴったりの相性。「ひじきのソース炒め煮」もおすすめ)
伊勢ひじきを使うと、ひじきの調理にむかう姿勢が変わります。ひじきそのものの味わいが料理を美味しく仕上げてくれるので、シンプルにしてもよし、その風味をいかすのもよし。風味も旨みもいっぱいの伊勢ひじきで「楽しいひじきライフ」を。
■伊勢ひじきは、北村物産公式サイトからお取り寄せください。