江戸川区特産・門倉農園の小松菜。生でも美味しい究極の小松菜|からだに美味しいお取り寄せ(38)

出典:筆者にて撮影
今回は東京都江戸川区の絶品小松菜についてご紹介します。
小松菜は薬膳的に「血(けつ)」を補う効果の高い食材。中医学における血とは、西洋医学の血液としての要素だけではなく、「全身に流れて体のすみずみにまで栄養を与える成分」と考えます。血の不足は貧血、立ちくらみだけではなく、疲れ目・視力低下、不眠、物忘れ・認知症、薄毛といった不調につながるとされているのです。
とくに、女性にとって血は重要。中医学では「血は女子の要」といわれ、一生を通してしっかり補うべきとされています。血の不足は、生理痛・生理不順、更年期障害など婦人科系トラブルの原因になりやすいのです。
また美容面においても肌荒れ、顔色が悪い、髪がパサつくなどのダメージを及ぼしやすくなります。
すみやかにたっぷり血をチャージする優れた働きがある小松菜は、美と健康に大きく貢献してくれるのです。
また、栄養学的にもカルシウムの含有量は緑黄色野菜の中でもトップクラス。その量はなんと、ほうれん草の3.5 倍! ビタミンA、鉄分などのミネラルも豊富で現代人の健康維持に欠かせない野菜なのです。
もくじ
若き小松菜名人が手掛ける「美しすぎる」「生で美味しい」絶品小松菜
出典:筆者にて作成(東京都江戸川区で6代続く小松菜農家・門倉農園では、研究に研究を重ね、生で食べても美味しさが引き立つ絶品の小松菜を栽培しています)
東京都江戸川区は小松菜の発祥の地。その歴史は古く江戸時代まで遡り、名付け親は、かの徳川8代将軍吉宗公と言われています。
日本各地で作られている小松菜ですが、いまも江戸川区は全国でも有数の生産地。小松菜は東京都全体の農作物の中でも大きなウエイトを占め、江戸川区の小松菜は、都内でもトップの収穫量を誇っています。
その味わいも絶品。江戸川区の小松菜の美味しさの秘密は、その土壌にもあります。東京湾に面しているため、海からの潮風の影響で、ミネラルが多く、旨みと甘味を高めていると言われています。
そして、なんといっても長きにわたる江戸川区の生産者が誇る、高い小松菜栽培技術も美味しさの秘密!
江戸川区では先祖代々、小松菜栽培に携わっている農家が多く、ルーツは「江戸時代」という10 代目レベルは当たり前! 小松菜の豊作を祈って、お正月には「青菜断ち」をするという風習を受け継いでいる農家もあります。小松菜に携わる農家として高い技術を受け継ぎ、誇りをもって栽培に取り組む生産者の方たちの努力が、美味しい小松菜を育んでいるのです。
江戸川区鹿骨「門倉農園」で小松菜栽培を手掛ける門倉周史さんもそのひとり。「ぼくで6代目になります」と語る門倉さんは、農林水産大臣賞の受賞をはじめ東京都知事賞を4回も受賞、江戸川区の品評会では5年連続特選などあまたの農業祭での受賞歴を誇る「若き小松菜名人」です。
出典:筆者にて撮影(門倉周史さん。1984年生まれ。小松菜界きっての実力派でもあり、農家モデルもつとめ、多彩な事業も展開する「小松菜界のニューウェーブ」でもある)
門倉さんの父も、神田の青果市場で最高値を史上最年少で叩き出したという、「伝説の小松菜名人」。その背中をみて、門倉さんは幼稚園のころから将来の夢を聞かれると「こまつなをつくるひと」と答えていたそうです。その言葉どおり、大学時代から栽培を手伝い、卒業後に、すぐ就農しました。
はじめて門倉さんの小松菜を見たときに衝撃を受けました。まるで「観葉植物」のように美しい! まっすぐ、垂直に伸びた見事なまでの「立ち姿」。鮮やかなグリーン、いきいきとして、ピンとのびた完璧なまでのフォルムを描く葉、そしてのびやかにまっすぐ伸びた太い茎。
出典:筆者にて撮影(見事な「垂直」ぶりの、門倉農園の小松菜。傷ひとつなく、芸術品のように美しい)
部屋に飾っておきたくなるほど立派な小松菜は、その美味しさも衝撃的。太さのある茎はかじるとシャキシャキ、ジューシー! 葉も甘くやわらかい。「生のままサラダで食べられる小松菜」というキャッチフレーズの意味がよくわかります。そしてなんとも、やさしい、上品な味わい。えぐみや苦みはみじんもありません。しかも、かんでいるうち、ほんのり塩気のある旨みが感じられて何もつけなくても美味しい! どちらかといえば「力強い」小松菜のイメージが覆されます。
徹底した土づくりと「ストレスをかけない」栽培が味の決め手
新小岩駅からクルマで10分ほど。周囲を住宅に囲まれた門倉農園のビニールハウスに入ると、あの美しさのまま、スクッと伸びた小松菜がズラリと並んでいました。
出典:筆者にて撮影(門倉農園の小松菜畑。完成品を土に差したかのような美しさ。葉にまったく「たるみ」がない!!)
門倉農園が代々徹底してきた、大きなこだわりは完璧なまでの「土づくり」にあります。美味しい小松菜栽培に欠かせない、水はけと水持ちのよいフカフカな土を作るために、いっさい除草剤は使わず手作業で雑草を抜き取ります。「先祖代々、ていねいに手入れしてきた小松菜栽培に適した土は、有益な微生物を多く含んでいます。小松菜の健康のために土壌消毒は行いません」と門倉さん。さらに、父からの教えに加えて門倉さんなりの工夫を重ね、土壌をデータ分析し、足りない栄養素を的確に見極めて与えます。
そしてもうひとつのこだわりは「小松菜にストレスをかけない」こと。門倉さんは、小松菜の植え付けに「十分な間隔をあける」という独自の栽培を行っています。通常、3~4センチの幅のところ、なんと門倉農園では「約13センチ」! 「ひとつの小松菜が、広い面積の土の栄養素を吸えるようにするためです。まわりとのいざこざがなくてストレスがかからないでしょ(笑)」。
出典:門倉農園(あえて「間隔をあけて」種を落として、生えてきた芽。「ほかの小松菜農家さんが見たら『種まきに失敗したんじゃないか』と思われるかも(笑)」と門倉さん)
さらに、間隔の広さは門倉農園の小松菜ならではの、「太い茎」に仕上がるポイントでもあります。
出典:筆者にて撮影(小松菜同士に十分な間隔があるので、茎が太くしっかり、見事)
そして、「水やり」はたっぷり。「日々、小松菜の『顔色』を身ながら、十分な水を与えています。太陽がかなりあたった、飲みたそうだな……と思ったらしっかりと」と門倉さん。「これも小松菜にストレスをかけずに、十分に土の栄養を吸い上げてもらうとともに、水分量を増やし、えぐみを出さないためにとても重要なことなんです」。
出典:筆者にて撮影(日々、「小松菜の顔色」を見ながら、適切な水、肥料を与える)
門倉さんの小松菜が一般的な小松菜に比べて、はるかに「シュッと長い」のは、この「水やり」にも理由があります。じつは、小松菜は大きくなりすぎると価格が安くなります。そのため規定のサイズに収めるために、ある程度の大きさになると、水を切って成長を止めるのが主流。
けれどあえて、門倉さんは水を切らずにのびのび育てています。それが実現できるのもじつは、門倉さんの小松菜の販路の多くは「高級スーパーと百貨店」だから。
「数々の賞をとったのはいいけれど、『どこで買えるの?』と聞かれることがありました。一括出荷ではわからなくなってしまいます。そのための場所としても、受賞の『実績』としても、高級マーケットで販売できないものかと考えました」と門倉さんが説明します。
販路開拓に挑んだ門倉さん。その味わいはバイヤーたちにも高く評価され、あえて江戸川区ならではの紫のテープで束ねた「結束」スタイルではなく、高級スーパーのバイヤーとともに考えた高級感あふれるデザインの袋詰めで販売。
出典:筆者にて撮影(美しく袋詰めされた小松菜。小松菜の束の入れ方も重要。「スタッフには、売り場で『お客さんの足が止まるほど』美しい見え方を意識してもらいたい、と伝えています」(門倉さん))
「門倉農園」の名前が明記された小松菜は、いまでは成城石井、紀伊國屋、クイーンズ伊勢丹、三越伊勢丹などで販売され、好評を博しています。
つまり「売り先が決まっている」からこそ、もともとのポテンシャルに加えて「のびのびと『みずみずしく』より、美味しい小松菜を育てられる」ということ。
「江戸川区は都市部に近い分、良質な小松菜を鮮度がよい状態で送り届けられるというメリットがあります。でも、農地は限られています。都市農業の経営として、自分で値段が付けられる、価値の高い小松菜を計画的に栽培することが重要です」と門倉さん。
「江戸川といえば小松菜」を後世まで残したい
江戸川区では小松菜生産者の高齢化が進み、栽培を手掛ける人は減ってきています。「江戸川といえば、小松菜」という文化を絶やしたくない、と語る門倉さん。だからこそ「新しい農業のスタイル」で、就農する人が増えてほしいとさまざまなチャレンジを続けてきました。
現在、百貨店の規格よりも育てた小松菜は、学校給食向けに出荷しています。農園で育てた小松菜は無駄なく「行先が決まっている」。行先が決まっている量だけ、良質な小松菜を作ることは労働時間の短縮にもつながります。かつては朝から晩まで働きどおしだった門倉さんは、いまは午前中におおむねの作業を終えることができるそうです。
「ぼくはシングルファザーなので娘たちとの時間が、とても大切。それに畑ばかりにいるより販売先に行って、いま流行っているものなどをみることが、新しいアイデアにつながります」と門倉さん。
さらに、江戸川区の小松菜栽培を維持するために、門倉さんは高齢になって農業を続けるのは厳しいものの、畑は残したいという生産者から農地を借りて、小松菜栽培を手掛ける試みもスタートしています。
産地としての誇りを代々大切に引き継ぎ、これからも持続可能な農業を維持しながら、農業にふれる人をもっともっと増やしたい。その想いを胸に活動する門倉さん。
さらに江戸川区内で小松菜栽培を手掛ける「小原農園」と「K&KFarm」としての事業提携も開始しました。小原農園の小原英行さんも農林水産大臣賞など数々の受賞歴を持つ高い技術に加えて独自の栽培と学校給食をメインとした出荷方法を開拓し、実績をあげています。
いわば江戸川区の小松菜トップアスリートと、「新しい農家のスタイル」を実践するふたりがタッグを組むことは大きな成果だと門倉さんは語ります。
出典:門倉農園(門倉さんと小原英行さん。K&KFarmでは江戸川区フードバンクに小松菜を提供するなど、地元への貢献も積極的に行っている)
自分で販路を開拓して、価格も決められる契約栽培は高収益につながり、魅力的なものの、失敗は許されない、という側面もあります。だからこそ、突き詰めていつも勝負。とくに、安定した通年出荷のために、本来は冬場が旬の小松菜が弱くなる「夏の栽培」も課題です。
「ふたつの『脳』で考えて、新たな栽培方法に取り組んでみることができます。品種、施肥、水やり、病虫害対策、収穫方法……。同じことを試しても、なぜ違いがあるのか。あるいは違いがなければ、新たな方法として取り入れたり、あるいは無駄な工程だったとわかるので効率化をはかることもできます」と門倉さんが説明する。
そんな二人が挑み続け、その成果として「都市の利点をいかして、高収益をあげることに成功している」とK&KFarmは、昨年東京都代表として日本農業賞の集団組織の部で「特別賞」を受賞。美味しさと経営実績を両立する「小松菜の明るい未来」を感じさせる機会となりました。
そのままサラダに、サッとゆでてしゃぶしゃぶもおすすめ
小松菜人生をあゆみ続ける門倉さんの小松菜。ともかく、その味わいは唯一無二。塩だけで十分な繊細な美味しさ。そして、弾けるみずみずしさ。爽快なまでのシャキシャキ感はうっとりするほどです。
「これまで小松菜が苦手だったという子どもたちが、パクパク食べてくれます。うれしいですね」と門倉さん。もちろん、門倉さんのお子さんも、「パパの小松菜」の大ファンだそうです。
出典:筆者にて撮影(ストレスなく、スクスク育った小松菜は、日持ちもよい。2週間ほど可能だそう)
門倉さんのおすすめは、もちろん「生でサラダ」。パンにレタスのようにはさんでも美味しいそうです。
「さっとゆでて、しゃぶしゃぶに、鍋で味わうのもいいですね」と門倉さん。変わったところでは「麻婆豆腐」に使うのもおすすめだそうです。「仕上げに茎を細かく切って加えるとシャキシャキ感が楽しめて美味しいですよ」
生でよし、そして「さっと」加熱して甘みを楽しむのもよし。わたしも門倉さんの小松菜で、薬膳レシピを作ってみました。
まず、「小松菜とマグロ、いちごのバルサミコドレッシングサラダ」。小松菜同様血を補う、マグロといちごをプラスした「造血薬膳」レシピです。しょうゆ、オリーブオイル、粒マスタードを混ぜたドレッシングでいただきます。
門倉さんのやさしい味わいの小松菜とマグロをしょうゆ入りの甘酸っぱいドレッシングがぴたっとつなぎ、いちごのさわやかな甘みが加わって、白ワインのおともにもぴったりなサラダに仕上がりました。
それにしても、甘くみずみずしい葉とシャキッとした茎の美味しさったら。サラダに最高です。
出典:筆者にて撮影(小松菜とマグロ、いちごのバルサミコドレッシングサラダ。門倉さんの小松菜はフルーツを使ったサラダにもぴったり。貧血、めまい、美容面では肌荒れ、顔色のくすみ改善にもおすすめ)
そして、「薬膳小松菜かきうどん」。こちらも小松菜同様、血を補うシーフード・かきをプラス。白だしでかきをゆでてつけ汁に。うどんを入れ、たっぷりの小松菜、かき、ゆずの皮をのせます。上品な風味の小松菜にかきの旨みが加わって、洗練された「料亭風の味わい」に。
出典:筆者にて撮影(薬膳小松菜かきうどん。ゆずの風味がベストマッチ。小松菜の茎のシャキシャキ感もうどんによいアクセント。美髪&抜け毛対策にもおすすめの薬膳レシピ)
食べてよし、塗ってよしの「小松菜ビューティ」も!
門倉さんはなんと「食べて美味しい小松菜」を「外からのケア」にも使うという斬新なチャレンジも行っています。江東区のビューティーサロン「トータル形成メディカルビューティーJUWEEL(ユウェール)」では、門倉さんの小松菜を使った「生小松菜ハーブ肌治療」がスタート。
もともと美容には関心があったという門倉さんは「カリウムとビタミンが豊富で、健康と美容によいうちの小松菜。身体の外からも利用して美しくなってもらえたら」と相談。
院長のMIKI先生は「小松菜の葉をちぎってパックとして経皮吸収させます。門倉さんの小松菜は水分量が多いので、肌への保湿効果がバツグン。弾力もアップします。お客様にもすぐに、みずみずしさを実感していただいています」と語ります。「門倉さんの小松菜だからこそできるケアですね」。
小松菜に豊富に含まれたカリウムから、むくみがスッキリしたり、鎮静作用があるためニキビにもおすすめだそう。
出典:門倉農園(「肌の再生に門倉さんの小松菜は、おおいに役立ちます」と生小松菜ハーブ肌治療を行うMIKI先生。サロンでは門倉さんの小松菜も販売。茎の部分はスムージーとして提供)
食べてよし、塗ってよし! イン&アウトな「小松菜ビューティ」にも注目したい門倉さんの小松菜。ぜひ味わって、美味しく新たな小松菜の可能性を感じてみてくださいね。
■東京都江戸川区特産の小松菜は、門倉農園公式サイト内の「ご注文コーナー」からお取り寄せください。
■首都圏では以下の店舗でもお買い求めいただけます。
三越日本橋/三越銀座/伊勢丹新宿/伊勢丹立川/伊勢丹浦和/QUEEN’S ISETAN(品川店・白金高輪店・小石川店・本八幡店・笹塚店・新高円寺店・仙川店・石神井公園店・杉並桃井店・武蔵境店・目白店・新小岩店・国分寺店・北浦和店)成城石井/紀ノ国屋