お買物探偵団

福井県美浜町日の出屋〝サバのへしこ〟一度食べたらとりこになる|からだに美味しいお取り寄せ(33)

出典:日の出屋

 

今回は、福井県ならではの、サバを使った絶品グルメをご紹介します。

 

美と健康を損なう大きな原因になるのが「血行不良」。薬膳においては、「活血」食材を取り入れて、血行促進に努めることが重要とされています。

 

活血食材の代表ともいえるのが「サバ」。血行を促進し、老廃物を洗い流す働きがとても高いのです。ダイエット、肩こり、婦人科系トラブル、美容面においてはシミに役立つ魚でもあります。

 

一度食べたらとりこになると絶賛の〝サバのへしこ〟についてご案内します。

 

福井県美浜町は「へしこの町」

 

出典:筆者にて作成(へしこ発祥の地、福井県若狭地方の美浜町で、日の出屋さんはへしこ作り60年)

 

サバが古来より郷土料理として身近なのが「鯖街道」を有する福井県若狭地方。「行き腐れ」といわれるほど足がはやいサバの鮮度保持のために、独自の加工技術が発達しました。代表的なものが「サバのへしこ」(サバのぬか漬け)。この地域ならではの保存食で、独特の旨みがクセになる味わい。ご飯にも、酒の肴としても最高の一品です。

 

三方五湖に面する美浜町は、若狭の中でもとくにへしこづくりが盛ん。なにせ、20196月に「美浜のへしこ」として地域団体商標登録をしているほどです。

 

出典:福井県美浜町(美浜町を代表する伝統食「サバのへしこ」。20055月に「へしこの町」として商標登録。さらに、わかさ東商工会が20196月に「美浜のへしこ」として地域団体商標登録)

 

とにかく町はへしこ一色。へしこのポスター、のぼりがいたるところに掲げられた「へしこワールド」!そして美浜町の観光キャンペーンガールは、「へしこちゃん」!ゆるキャラアワード2009でグランプリを受賞。へしこを漬ける樽から飛び出したサバ、首にはぬかのマフラーという斬新さと愛くるしさを兼ね備え、イベントで大活躍!

 

出典:福井県美浜町(へしこちゃん。全身でへしこを体現。LINEスタンプも人気)

 

そんな美浜のへしこは、「ほかのエリアにはない特徴があるんです」と語るのは、発酵食品ソムリエ・へしこ料理研究家の伊達美鈴さん。

 

一般的に、へしこは塩とぬかだけで作られることが多いのですが、美浜は醤油、みりん、酒粕、トウガラシなど各家庭によって秘伝の隠し味を使っているのだそうです。「へしこは珍味ではなく、日々の食卓にもあがるお惣菜。毎日食べても飽きないように工夫されているんです」。

 

「へしこがあればごはんが何杯でも食べられる」という人もいるほど、地元で愛されているのです。

 

その味わいは、たしかに食べやすくて一口食べるともう一口、と止まらなくなる美味しさ。全国の多彩なサバ料理が楽しめる、サバグルメの祭典「鯖サミット」で、毎回1番に完売御礼になるのは美浜のへしこ。リピーター続出の人気商品です。

 

へしこ作り歴60年! 丹精込めた絶品へしこ

 

そんな美浜のへしこのなかでも、全国に多くのファンをもつ逸品があります。「日向(ひるが)へしこ酵房 日の出屋」の「日の出屋特製へしこ」は、へしこを作り続けて約60年という加藤美樹子さんによるもの。昔ながらの方法で、丹精込めて作られたへしこは一度食べると、とりこになる美味しさ。二度と忘れられなくなるほどの絶品です。

 

出典:福井県美浜町(加藤美樹子さん。民宿の女将を務めながら、へしこの製造・販売を続けてきた)

 

出典:日の出屋(鯖サミット会場にて、加藤さんと伊達さん。伊達さんはもともと、美浜町観光戦略課で「へしこの町」の仕掛け人として活動し、加藤さんと全国を奔走してきた)

 

加藤さんは生まれも育ちも美浜町出身。20歳で漁師であるご主人のもとへ嫁ぎ、日向湖のほとりにある漁師町・日向で民宿を営む義理のお母さんにへしこ作りを学びました。

 

出典:福井県美浜町(日向へしこ工房 日の出屋の目の前は日向湖。日向地区は、漁師の家屋や民宿が建ち並ぶ漁村。情緒あふれる集落)

 

「美浜ではそのころ、どの家庭でもへしこを作って冬の保存食にしたり、お米と交換して収入を得ていました。母の教えを受け継いで、わたしもへしこを作るようになりました」と加藤さん。

 

お母さんが亡くなったあとは、しばらくへしこ作りを止めていたそうですが、2005年、日向で民宿を営む女将仲間と「女将の会」を結成。へしこ作りを再開しました。「時代に合わせて、塩辛さを控えめにして誰にでも食べやすいものを」と工夫を重ねたへしこは、漬け込んだ800本があっという間に完売。毎年6500本を漬け込むという人気商品になりました。

 

おりしも、加藤さんたちがへしこ作りを始めたのは、美浜町が地元の誇る食文化であるへしこを、後世に伝えようという動きが高まり、まず「へしこの町」として商標登録したころ。行政や、へしこ加工業者たちが全国発信へと積極的な活動を行うなか、女将の会のメンバーも各地でのイベントへ出店。プロモーション、レシピ発案にも積極的に取り組みました。加藤さんも2008年には、第10回商工会女性部全国大会に出場してプレゼンテーションを行い、優秀賞を獲得。全国に「美浜のへしこ」を広めるために尽力し、大きく貢献してきました。

 

それから17年。県外にも販路が広がり、製造量が増えてすっかりおなじみになった、女将の会のへしこですが、「メンバーはみな80歳前後。さすがに体力が追いつかなくなりました」と加藤さん。へしこ作りは、樽に重たい漬け石をのせるなど、力作業も多いため2022年、多くのファンに惜しまれながら解散。メンバーはそれぞれの民宿で利用客に提供することに。

 

一方、加藤さんは、新たなチャレンジに取り組むことになりました。「次世代へ美浜のへしこの味と作り方を伝えていきたい」という強い想いを胸に、日向へしこ酵房 日の出屋を立ち上げ、へしこの製造とともに、へしこ料理を提供する「へしこ茶屋」をオープン。さらに、へしこの漬け込みや料理作り体験もスタートしました。いまでは県外のみならず、海外の方々にもへしこの魅力を発信しています。

 

出典:日の出屋(へしこ茶屋で、へしこ料理に腕を振るう加藤さん。窓からは美しい日向湖を望むことができる)

 

80歳を超えてもなお、美浜のへしこを多くの人々に広めるべくパワフルに活動する元気の秘密は、もちろん「へしこ」にあり!

 

発酵食品であるへしこは、DHA・EPAを多く含むサバの高い栄養価に加えて、各種ミネラルとアミノ酸が絶妙のバランスで含まれたヘルシーフード。免疫力アップ、新陳代謝の促進などによく、さらに、血圧を抑制し、正常化する効果があるという研究発表もされているのです。

 

元気いっぱいの加藤さんのお肌はツヤツヤ。まさにへしこパワーの生き証人!

「美と健康のためにもへしこを食べなくては」と思わざるを得ないほどです。

 

へしこの浸かり具合は「五感」を駆使。樽という「宇宙」に向かい合う

 

加藤さんのへしこは、昔ながらの手作業によるもの。じつに手間暇かけて、作られています。

 

へしこの仕込みは冬の間に行われ、完成までに約1年を要します。ひとつひとつ手作業でサバを開き、内臓とエラを取り除いて、血合いをとって丁寧に洗浄。そののち、約2週間樽で塩漬けに。このとき、サバから出た水分は「旨み」のもと。「『絶対に、ほかしたらあかん』と母に学んだ、味の決め手です」と加藤さん。捨てずに煮て、さらしで濾して「魚醤」にして、本漬けに使います。

 

出典:日の出屋(サバを開いたら、手早くたっぷりと塩をふる。作業をしているのは、加藤さんの技を継承してともに製造にあたる、息子の祐二さん)

 

塩漬けが終わったサバは、本漬けに。美浜町産コシヒカリの米ぬかに、秘伝のタレを加えて、樽に漬け込みます。加藤さんが目指すへしこの味を生み出すために加えているのは、町内にある三宅彦右衛門酒造の名酒「早瀬浦」の酒粕、美浜産とうがらし、しょうゆ、焼酎、砂糖、みりん。長年の経験で培かった絶妙な配分でブレンドしています。

 

出典:日の出屋(本漬け。米ぬかに加える調味液もすべて吟味したもの。添加物は一切不使用)

 

樽の上にサバを入れ、ぬかをまぶして重ね入れたら、上に重石をのせて約10か月寝かせます。寝かせるのは港に面した舟小屋の一角です。「ここが一番おいしく仕上がります。浜風が通りぬけることで、小屋の中の酵母がいきわたり、うまくサバが熟成するんです」と加藤さんが教えてくれました。

 

出典:日の出屋(へしこは、日向港に面した舟小屋で寝かせる)

 

そして「漬け込んだら終わり」ではありません。「美味しく仕上げるために欠かせないのが『見回り』やね」と加藤さん。

 

日々、樽の傾き加減や、重石の石の位置をチェックして均一に浸かるように調整するのです。「20キロ以上の重石がのった樽を開けて確認するのは無理。中が見えなくても外からわかるんです」と加藤さんが説明する。

 

いったい、どうやって?

 

「あのね、へしこは生きものなんです」。

 

へしこが発酵する「ポコポコ、プチプチ」とした音や、小屋に漂う香りの変化……。加藤さんは長年の経験から、五感を使ってへしこの浸かり具合を判断するのです。

 

60年近く、へしこを漬けているけれど、『これが最高』というのはないんですよ。もっともっと美味しくなるんやないかと思って」と加藤さん。「へしこは樽の位置でも味わいに違いがあると思うんです。上のほう、真ん中、下のほうでは違う味。樽の中は『宇宙』やね。ほんまにへしこは奥深いものです」

 

だから、加藤さんは日々「美味しくなあれ、美味しくなあれ」とつぶやきながら、わが子を育てるように見回りを続けているのです。

 

ごはんもお酒も止まらなくなるクセになる味わい。ぬかまで絶品!

 

9月を迎えたころ、ようやく樽上げ。美しいあめ色のへしこが完成します。

 

出典:日の出屋(樽上げしたへしこ。上げたらすぐに、身を割いて試食。「これがとんでもなく美味しいんですよ」と伊達さん)

 

出典:日の出屋(日向へしこ酵房 日の出屋を訪ねると、いつも加藤さんが出してくれる「へしこ刺身」。あめ色のへしこと大根が、お花のように美しい盛り付け)

 

冬の厳しい寒さと夏の暑さという美浜の四季のもと、加藤さんが手をかけて育てたへしこをいただきます。

 

出典:筆者にて撮影(日の出屋特製へしこ。見事なサイズ)

 

まずはそのままで。

 

出典:筆者にて撮影(へしこはぬかを落として、そのまま食べられる)

 

一口食べると、まず感じるのは「しょっぱさ」ではなく、まろやかさ。さりげない食べ口のあとにやさしい旨みが広がり、深いコクがジワジワ広がり、なんとも「後引く」味わい。これまで「へしこが苦手」だった人も、加藤さんのへしこを食べると、大ファンになるというのもうなずける、おだやかな味わいだ。

 

サバを使っているけれど、サバの味わいとはまったく別次元の味。チーズのようで、アンチョビのようで……いや違う。はて。世の中にこんな食べものがあったかな?? たとえようのない、唯一無二の味わい。そしてごはんが進み、日本酒も進む! さらに、意外なことに白ワインにもぴったり!

 

じつは、加藤さんのへしこは「ぬか」の部分もとんでもない美味しさです。通常、へしこを食べるときにぬかは落としてしまうことが多いのですが、とんでもない!サバの旨みが染み出したぬかだけでごはんが食べられる、あるいはおつまみになるほど! わずかたりとも捨てられないほどの「お宝」です。伊達さんはその美味しさをいかした「へしこの糠のふりかけ」を開発。こちらもぜひ、お試しください。

 

出典:へしこ姫(日の出屋自慢のへしこを漬け込んだ味わいのあるぬかに白ごまを加え、弱火で焦がさぬように炒って仕上げた、へしこの糠のふりかけ)

 

へしこは、こんがり焼いて食べるのもおすすめ。さらに、地元で定番の「へしこ茶漬け」もまたよし。ごはんにのせて、熱いお茶をかけて身をほぐして、サラサラとかきこむ。へしこの旨みがじんわりほどけた、だしの美味しさったら!

 

そしてへしこは、その旨みをいかしてどんな料理にも使えます。押し寿司、ちらし寿司、細巻き、おにぎり……。加藤さんもじつに多彩なへしこレシピをあみだしていますが、へしこ茶屋では「へしこ茶漬け」「へしこおにぎり」「へしこ天むす」「へしこあんかけ粥」を提供。とくに、加藤さんのへしこのやさしい旨みをいかした、あんかけ粥は大好評!

 

出典:日の出屋(加藤さんによる、へしこ茶漬け、へしこおにぎり、へしこ天むす、へしこあんかけ粥。やさしい味わいと大好評)

 

へしこは、和洋中エスニックにも使える万能食材

 

さらに、へしこは、パスタやサンドイッチ、ピザ、グラタンなど「ジャパニーズアンチョビ」感覚で洋風の料理に使っても美味。オリーブオイルやチーズなど乳製品との相性がとてもよく、じつにさまざまな料理に使える懐の広い食材なのです。

 

わたしもへしこ薬膳料理を作ってみました。

 

血行促進におすすめの「へしこのスパイシー薬膳リゾット」。炒めた玉ねぎ、パプリカ、黒きくらげにトマト缶を加え、刻んだへしこ、カレー粉、クミン、コリアンダーなどのスパイスをプラス。ごはんを加えてしばらく煮たら、粉チーズ、刻んだパセリをふりかけます。

 

へしこはトマトや、スパイスとの相性もバツグン。味にグンと奥行きが出て、だまっていたら「いったい何を使ったの!?」といわれるに違いないほど、美味しく仕上がります。粉チーズはぜひたっぷりと。まろやかな風味が加わってより美味しくなります。

 

出典:筆者にて撮影(サバ同様、血行促進効果のある玉ねぎ、パプリカ、黒きくらげ、カレー粉を加えた「血液サラサラ薬膳リゾット」)

 

そして、美白に役立つ「へしこのオリエンタル生春巻き」。スライスしてらっきょう酢に漬けておいたへしこ、赤玉ねぎ、パプリカ、パクチー、レタス、ミニトマト、そしてアクセントに薄切りにしたらっきょうを生春巻きの皮で包みます。

 

エスニックにしても、へしこはバッチリのおいしさ。パクチーとの組み合わせも、旨みに鮮やかさが加わって美味しい! へしこはらっきょうとの相性もとてもよいので、ぜひお試しを。

 

へしこの塩気で何もつけなくても美味しいですが、足りないときはナンプラー+スイートチリソースを合わせたタレをつけるのもおすすめです。

 

出典:筆者にて撮影(血を巡らせるサバ、玉ねぎ、パプリカ、らっきょうに、気を巡らせるパクチーも加えた美白ケアに役立つ、へしこのオリエンタル生春巻き)

 

加藤さんが手をかけたへしこ。食べているうちに、なんだかホッとするとともに、ジワジワと体の奥から元気が出てきます。パッケージにある文字のとおり、まさに「母ちゃんからの贈り物」。美味しいのはもちろん心も身体も癒されるへしこ、ぜひ召し上がってみてくださいね。

 

「鯖サミット2024 in美浜」にお越しください!

 

日本全国のサバグルメが集結する「鯖サミット2024 in美浜」が、美浜町「生涯学習センターなびあす周辺特設会場」にて開催されます。北は東北から南は九州まで、27ブースが並ぶサバの祭典で、多彩なサバグルメが楽しめます。ぜひ、お越しください。

 

◯日時:1026日(土)10001630

    1027日(日)10001600

◯会場:美浜町生涯学習センターなびあす周辺特設会場

    (福井県三方郡美浜町郷市293

◯イベントの詳細は、「鯖サミット2024 in美浜」特設サイトでご確認ください。

 

 

■日向(ひるが)へしこ酵房 日の出屋の「日の出屋特製へしこ」のお問い合わせ・お取り寄せは、下記お電話かメールでお願いします。

・日の出屋メール:hinodeya.heshiko@gmail.com

・日の出屋電話:0770-32-0361

・日の出屋インスタグラム:https://www.instagram.com/hinodeya.22/

 

■「ふるさとチョイス」のこちらのページからもお取り寄せが可能です。

 

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