50代。働けなくなったときの社会保障はある? |老後のマネー安心に(21)

出典:編集部にて作成
シニア世代の大きな悩みごとのひとつが「老後のお金」にまつわるあれこれです。
毎日のように、ファイナンシャルプランナー佐々木先生のもとには、老後のお金まわりの相談が寄せられています。その中から、みなさまにもきっと役立つ相談案件をこちらでご紹介します。金融の知識は〝0〟で大丈夫! 気軽に、一緒に勉強して、老後の安心づくりを進めましょう。
もくじ
【今回のご相談】友人が長期入院することになったことで、働けなくなったときの保障が気になり始めました⋯⋯

■年代:50代 ■性別:男性 ■相談カテゴリ:老後のマネー
───今回ご紹介するのは、友人が事故により長期入院することになったことで、働けなくなったときの保障が心配になり教えてほしいとのご相談です。
「私は、運輸関係の仕事をしています。毎日、安全運転は心がけていますが、事故を目撃したりすると怖さを感じます。居眠りが原因で怪我をしてしまい、仕事ができなくなった同僚もいます。長年、居眠りなんてすることなく仕事をしてきたベテランの先輩だったので、ショックでした」
「また、自分はどんなに気を付けていても、事故に巻き込まれてしまうこともあります。そんなケースも見ていますし、事故のリスクが高い仕事だと言われることもあります⋯⋯。だからといって、仕事を辞めるとまでは考えませんし、自分は大丈夫と思っているところもあると思います」
「話は少し変わりますが、バイクで通勤している友人が通勤途中に車とぶつかり入院しました。長期で仕事を休むことになるようです。もし、自分がそうなってしまったら⋯⋯、仕事ができなくなってしまったら⋯⋯、生活はどうなってしまうのだろうか?色々と心配になってきました」
「私の収入がなくなっても、家族が生活できるだけの蓄えがあればいいのでしょうが、現状では数ヶ月でも厳しい状況です。出勤できない間も少し給料はもらえると聞きました。働けなくなった時、どんな保障があるのでしょうか?教えてください」
【お答え】働けなくなったときの社会保障はありますが十分な生活保障にはなりません。自助努力による備えが必要です

「働けなくなった場合の備えについては、考えておく必要がありますね。病気で働けなくなることを想像しがちですが、事故に巻き込まれるケースもあります。例えば、交通事故による重症者数は死亡者数に比べるとおよそ10倍以上にのぼります。命は助かっても障害が残り仕事を続けられないこともあります」
「働けなくなると[収入]と[支出]のバランスが崩れます。治療費や介護費用で[支出]が増加します。[収入]は? 働けなければ給与はありません。配偶者の収入+預貯金の取り崩し⋯⋯、それでやっていけるのか。誰しも不安になると思います」
「社会保障はあるのか? 働けなくなったときの社会保障制度は、主に『傷病手当金』と『障害年金』があります。有難いですが、それだけで十分な生活ができるものではありません」
「『傷病手当金』とは?概ね現在の収入の2/3が、通算で1年6か月の間支給されます(国民健康保険の被保険者は対象ではありません)。月収30万円の人は約20万円。現在の収入と比べると10万円の減少です」
「『障害年金』とは? ケガや病気で一定の状態に該当した場合に受け取れます。障害状態の目安に応じて1級から3級があります(国民年金は、1・2級のみ)。支給額は、世帯主の職業・お子さまの人数等により異なります」
「また、40歳以上であれば『公的介護保険』のサービスを受けることができます。訪問介護などのサービスを原則1割負担で受けることができます。39歳以下は対象外、40~60歳は16種類の特定疾病のみ給付対象、原因を問わず対象となるのは65歳以上です」
「社会保障制度だけでは、十分な生活が送れそうにありません。ご家族の負担を少なくするためにも自助努力による備えは必要です。働けなくなった場合の生活費の確保を貯金でするのは難しいですね。生命保険・損害保険でのカバーも検討されると良いと思います」



