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高齢両親と同居する60代。相続には手続き期限があるの? |老後のマネー安心に(20)

出典:編集部にて作成


シニア世代の大きな悩みごとのひとつが「老後のお金」にまつわるあれこれです。

 

毎日のように、ファイナンシャルプランナー佐々木先生のもとには、老後のお金まわりの相談が寄せられています。その中から、みなさまにもきっと役立つ相談案件をこちらでご紹介します。金融の知識は〝0〟で大丈夫! 気軽に、一緒に勉強して、老後の安心づくりを進めましょう。

 

【今回のご相談】高齢の両親と同居しているのですが、相続に関する手続きや期間について教えてください

 

■年代:60性別:男性 相談カテゴリ:老後のマネー

 

───今回ご紹介するのは、高齢のご両親と同居していることから、そろそろ相続について知っておく必要があると考え、手続きや期間について教えてほしいというご相談です。

 

「私は、90歳をすぎた両親と同居しています。圧迫骨折や白内障など、加齢が原因と思われる病はありますが、今のところ自分のことは自分でできる状態です。ですが、認知症は始まっているように思います。また、父に関しては、歩くことが辛くなってきているようで、一日のほとんどを部屋で過ごしています」

 

「食事も部屋でとるようになりましたので、妻には色々と面倒をかけて申し訳ない思いと、有難いという思いでいます。私は、まだ現役で仕事をしているため、忙しくて両親の世話はあまりできていません。妻に任せている部分が大きいです」

 

「私の兄弟が、その辺のところを汲み取ってくれるといいなと思っていますが、あまり主張しすぎると、相続の時にトラブルになってしまうかもという心配もあります。相続手続きには期限があると聞きました。その時になって慌てないよう、そろそろ相続について知っておく必要があると考えています。相続の手続きや期限について教えてください」

 

【お答え】相続発生から10ヶ月以内に遺産分割協議等を行う必要があります

 

 

「相続が発生すると、限られた期間内にさまざまな手続きが必要となります。主なスケジュールとしては、相続発生から10ヶ月以内に、遺産分割協議や相続税の申告を行う必要があります。また、原則として遺産分割協議が終わるまで被相続人の預貯金は払い戻しを受けることができません(ただし、一部払戻しができる制度があります)

 

1ヶ月以内の目安としては、健康保険や国民年金等の手続き。生命保険等の手続き。

お葬式(通夜・告別式)[知っておきたいポイント:葬式等費用は相続財産から控除することができます(葬式代・墓石代など)。ただし、香典返しは除きます]」

 

3ヶ月以内の目安としては、遺言書の確認。相続財産・負債の確認。

相続放棄の申立[知っておきたいポイント:死亡保険金は受取人固有の財産のため、相続放棄をした場合でも受け取ることができます]」

 

10ヶ月以内の目安としては、遺産分割協議書の作成。相続税の申告と納付。

遺産分割協議(相続人全員が遺産の分け方を話し合いで決める方法です。相続人全員の合意がなければ無効となります)。[知っておきたいポイント:遺言書がある場合は、法定相続より遺言による相続が優先されます]」

 

「遺言書がある場合:原則、遺言で指定された方が遺産相続します(所定の要件等あり)

遺言書がない場合:法定相続人が法定相続分をもとに、話し合いによって相続する財産を決定します」

 

「遺産分割が確定しない場合、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を受けることができません。ご両親が、のこされたご家族への想いや希望を書き残したことで、相続手続きがスムーズにすすんだケースもあります。トラブルがご心配であれば、そのような工夫も必要ですね」

 

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